ユニバーサルデザインとは?定義や事例、バリアフリーとの違いを詳しく解説します!

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ユニバーサルデザインは、障害の有無や年齢、性別、人種などにかかわらず、たくさんの人々が利用しやすいように製品やサービス、環境をデザインする考え方です。1980年代に登場した言葉ですが、さまざまな環境や製品にこの考え方が応用されています。この記事では、ユニバーサルデザインの定義や事例について詳しくお伝えします。

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目次 ユニバーサルデザインとは? 「ユニバーサルデザイン」という考え方はどうやって生まれたの? ユニバーサルデザインの基本的な考え方 ユニバーサルデザインの考え方が日本に普及するまで ユニバーサルデザインのさまざまな事例 ユニバーサルデザインのこれから
教科教育に特別支援教育の視点を取り入れる 授業のユニバーサルデザイン vol.10
東洋館出版社

ユニバーサルデザインとは?

ユニバーサルデザインとは、「特別な製品や調整なしで、最大限可能な限り、すべての人々に利用しやすい製品、サービス、環境のデザイン」を言います。

平成14年に閣議決定された「障害者基本計画」、また2006年に国連総会において採択された「障害者の権利に関する条約」では以下のように定められています。

あらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方。(【障害者基本計画】より) 

出典:http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kihonkeikaku.html

「ユニバーサルデザイン」とは、調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲ですべての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計をいう。(【障害者の権利に関する条約第2条(定義)】より)

出典:http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000018093.pdf
たとえば自動ドアは、特別な道具や動作をすることなく、子どもからお年寄り、車いすに乗っている人や両手に荷物を抱えた人など多くの人が利用することができるデザインになっており、ユニバーサルデザインの代表的な例であるといえます。

シャンプーの容器もよくユニバーサルデザインの例としてあげられます。シャンプーの容器には、触っただけでリンスの容器と区別できるよう、突起がついています。これにより目が不自由な人はもちろん、シャンプーの最中に目をつむっていてもシャンプーとリンスの区別がつけられるようになりました。

一般的にデザインというと、ファッションや商品の「デザイン」を思い浮かべる人が多いかもしれません。

しかしユニバーサルデザインが指す「デザイン」はもっと広い意味あいがあり、見た目だけのデザインではなく構造なども含むトータルコーディネートが大事だといわれています。

この記事では、ユニバーサルデザインの成り立ちや基本的な考え方、さまざまな事例についてご紹介します。

「ユニバーサルデザイン」という考え方はどうやって生まれたの?

ユニバーサルデザインは1980年代、アメリカのロナルド・メイスによって提唱されました。ノース・カロライナ州立大学センター・フォー・ユニバーサル・デザインの所長であり、建築家でもあったメイス氏は、自身もポリオにより障害がありました。

メイス氏がユニバーサルデザインを提唱するきっかけとなったのは、1990年にアメリカで施行された「ADA(Americans with Disabilities Act )」という法律です。


「ADA」は、障害のある人が利用しにくい施設を「差別的」と位置づけ、雇用の機会均等と、製品やサービスへのアクセス権を保障した画期的な法律でした。たとえば、「建物であれば必ずどこかに、車いす利用者の入れるスロープを設けなければならない」などといった細かな規定が盛り込まれていました。

しかしADAも、すべての製品やサービスを対象としているわけではありませんでした。また、法律の基準を満たしているからといって、障害のある人が日常生活であらゆる不便を感じなくなるということでもありません。

メイス氏はこうした法律の限界を踏まえ、障害のある人を特別視せずに、あらゆる人が快適に暮らせるデザインとしてユニバーサルデザインを提唱したのです。

ユニバーサルデザインの基本的な考え方

ユニバーサルデザインは「比較」で考える

ユニバーサルデザインには、「これは完璧なユニバーサルデザインだ!」と言えるようなデザインはありません。

たとえば、壁に取り付けられた室内照明のスイッチについて考えてみましょう。

壁にスイッチがなかった時代は、天井からつり下げられた電球についた紐で照明のオン・オフを行っていました。紐に手が届かない人や指先の複雑な動作ができない人は、照明を点けたり消したりすることができなかったのです。

技術の進展とともに壁にスイッチができると、小柄な人や子どもでも簡単に照明を操作できるようになりました。最近ではこれまでに比べて押しボタンが大きいスイッチも登場し、指先を動かすのが得意でない人も、両手に荷物を持った人も肩を使ってスイッチを押せるようになりました。

では、このような大きくなったスイッチは「完璧なユニバーサルデザイン」と言えるのでしょうか。

スイッチに手が届かない人や、身体が全く動かせない人は、このスイッチでも使うことはできません。紐を使って照明のオン・オフをしていたころに比べれば、たしかに大きなスイッチは”より”ユニバーサルなデザインであるといえます。

一方で、人が触れることなく照明の操作ができるセンサ式のスイッチは、大きなスイッチよりも”より”ユニバーサルデザインに配慮していると言えるでしょう。今後も様々な技術の向上によって「ユニバーサルデザイン」と呼ぶことのできるレベルがより高まる可能性があります。

ユニバーサルデザインは、「このデザインとこのデザインだったらこちらのほうが使いやすい人が多いだろう」という、あくまでも「比較級」の考え方なのです。

ユニバーサルデザインの7原則

ユニバーサルデザインを理解するための視点として重要なのが、ユニバーサルデザインの主宰者たちによって2005年に編集された「ユニバーサルデザインの7原則」です。障害のあるなしにかかわらずどんな人にも利用しやすい製品や環境を発想するときに、作り手やサービス提供者、利用者にこの7原則を役立ててほしいという願いが込められています。

ただし、
・この7原則は製品やサービスがユニバーサルデザインかどうかを評価するものではないということ
・7原則すべてを守る必要はないということ
は、留意したいポイントです。

ユニバーサルデザインの使いやすさを評価するのはあくまで利用者です。もし利用者が「使いにくい」と感じたときは、この7原則の視点に立ち、製品やサービスに何が不足しているのかを確認し、改善していくことになります。

1.誰であろうと公平に使えること
「公平な利用」とは、どのような人でも公平に使えるものであることをいいます。

先程の例に出た自動ドアは、通過しようと人が接近するだけでドアが自動的に開いてくれます。車いすの人でも、小さな子どもでも、目や耳の不自由な人でも、誰かを呼んで介助をお願いしたり、別の出入り口を利用したりすることなく使うことができます。

また、自動ドアは今まで押したり引いたりするドアを使えていた人たちにとっても魅力的です。買い物などで両手がふさがっていても簡単にドアを開閉することができるからです。

このように、利用者全員が同じ手段を使うことができ、特別扱いをされず、色々なユーザーに魅力的であることが「公平な利用」です。

2.使う上での自由度が高いこと
「利用における柔軟性」とは、多様な使い手や使用環境に対応でき、使う上での自由度が高いことを言います。

たとえば、フロアを移動するとき私たちが利用することが多いのが階段やエレベーター、エスカレーターです。

エレベーターやエスカレーターがあることで、ベビーカーを押す人や大きな荷物を持った人、車いすの人も不安なくフロアを上下することができます。また、特に困難を抱えていない人でも階段があれば、急いでいるときに階段を駆け上がることができますし、急いでいなければエレベーターをゆっくりと待つこともできます。

このように利用者が利用方法などを選択できる柔軟性を持たせることも、ユニバーサルデザインの基本の一つです。

3.使い方が簡単でわかりやすいこと
製品の使い方が明快で、誰でも直感的にすぐ理解できることをいいます。

私たちは生活の中で、電気を点けたりテレビの電源を入れたりと、1日に何度もさまざまなスイッチ類を押しています。でも私たちはこれらのほとんどのスイッチを、特別な説明を受けなくても操作することができています。

これはスイッチに不要な複雑さがなく、たとえ言語に壁があったとしても、直感的に押せばいいことが分かるためです。また、異なる言語を使っていても、「出っ張ったところを押すのかな?」という直感と、「押すと何かおこるだろう」という期待が一致している点も大切です。

このように、使った経験がなくても利用方法が直感的にわかるような単純さも、ユニバーサルデザインにおいて重要な視点です。

4.必要な情報がすぐに理解できること
必要な情報が、環境や使う人の能力にかかわらず、きちんと伝わることをいいます。

たとえば電車に乗っているとき、車掌さんのアナウンスが聞き取りづらくて次の駅がどこか分からない…。海外旅行で移動中、周りの表記が現地の言葉ばかりで困った…。そんな経験はありませんか?

最近の電車では、扉の上の画面表示で次の駅を示してくれるようになりました。また駅の名前の表記も漢字だけでなく、ひらがなや英語を用いたり、大きく読みやすく表示する工夫をするといっそう大勢の利用者にとって便利になります。

また、聞き取りやすい発音の声を録音したものをアナウンスで流すことで、文字以外でも情報を伝達できます。一つの情報を様々な手段で伝達していれば、アナウンスを聞き逃しても、次の駅がどこかわかり、さらに耳が聞こえない人や目が見えない人にも情報が伝わります。

このように、音声、画像などできる限り色々な表現で情報を伝えたり、読みやすさを最大限にして情報を伝達したりすることが「認知できる情報」です。

5.うっかりミスができる限り危険につながらないこと
間違えても元に戻せるようにしたり、そもそも失敗が起きにくいように設計したりすることが、利用者にとっての「失敗に対する寛大さ」にあたります。

たとえば電車のホームで最近よく目にするホームドアや二重ドアは、電車の到着までその扉を閉めておくことで、私たちがホームに転落する危険性を最小限にしてくれます。

ほかにも扉を開けると自動的に停止する電子レンジは、私たちが間違えて扉を開けたままにしたとしても事故が起きないように、その可能性を未然に防いでいるのです。

6.身体への過度な負担を必要とせず少ない力でも使えること
身体に負担を感じることなく、自由・快適に使えることをいいます。

最近駅やオフィスなどで、ICカードをタッチすることでゲートを開ける光景をよく目にするようになりました。特に交通機関では、毎回乗り換えのたびに並んで切符を買うような手間が省け、大変便利です。

このように繰り返しの操作を最小限にしたり、疲れにくいようにしたりすることが「少ない身体的努力」です。利用者は、無理のない姿勢や力で操作でき、自分のペースを乱されないという点でより快適になります。

7.使いやすい十分な大きさと空間が確保されていること
使う人の体格や姿勢、使用状況にかかわらず、使いやすい大きさと広さが確保できることをいいます。

たとえば駅や公共施設で見かける「誰でもトイレ」「みんなのトイレ」は、ユニバーサルデザインを意識して設計されたものです。車いすやベビーカー、オストメイトの人(事故や病気で人工肛門を付けている人)、そのほかにもトランクなど大きい荷物を持った人など、色々な人が使用するためには、トイレにも無理のない大きさが必要です。広い空間を利用すれば、赤ちゃん連れの人も利用できるようにベビーベッドを設けることもできます。

このトイレのようにさまざまな身体的特徴を持った人が近づき、操作するための広さや大きさを整えているのが、「利用しやすい大きさと空間」です。

ユニバーサルデザインとノーマライゼーション、バリアフリーはどう違うの?

ユニバーサルデザインと似た考え方としてたびたび登場するのが「バリアフリー」です。また、この2つの考え方のもとになる理念として、ノーマライゼーションがあります。

ノーマライゼーションとは、すべての人が人間として普通の生活ができるよう、ともに暮らし、ともに生きていくことを目指す社会がノーマル(正常)な社会であるという考え方です。ノーマライゼーションの理念を具体的に推進する考え方として、バリアフリーとユニバーサルデザインがあります。

バリアフリーは、その名の通りバリア、つまり障害を除去するという意味です。障害のある人を前提に、その人にとっての障害を排除しようという考え方です。これに対してユニバーサルデザインは、できるだけはじめからバリアのないデザインにしようという考え方です。さまざまな障害がある人々にも便利であるだけでなく、外国籍の人、お年寄り、子どもにも使いやすくしようというのがユニバーサルデザインの趣旨です。

例えば、公共施設で見かける車いす用のトイレに、「車いす使用者以外は利用をご遠慮願います」という貼り紙があったとします。このトイレは、車いすの人が使えるようにバリアを除去してあるという意味で「バリアフリー」と言えるかもしれません。

しかし、実際に公共のトイレを使う障害者は、車いすの人だけなのでしょうか。例えばオストメイトの人も一般的なトイレではなく、車いすの人が使っているようなトイレを利用したいはずです。他にも身体が不自由で介助が必要な人や高齢者、赤ちゃんを連れている人も同様です。

ユニバーサルデザインは、「すべての人が人生のある時点で何らかの障害に直面することがある」ということを発想の起点としています。

障害の部位や程度によってもたらされるバリアに対処するのがバリアフリーであるのに対し、ユニバーサルデザインは障害の有無、年齢、性別や国籍にかかわらず、多様な人々が気持よく使えるようにデザインする考え方なのです。

インクルーシブデザインという考え方

他にも、近年では「インクルーシブデザイン」という表現が使われることも多くなりました。

なにかをつくるときデザイナーはどうしても、世の中の多数派となる人を想像してデザインすることが多いです。例えば駅の改札は切符やICカードのセンサーはすべて右側についています。これは左利きの人には非常に使いづらいデザインです。

もし、改札をデザインする段階で左利きの人や車いすの人、妊婦さんなど様々な人がデザイナーと一緒にデザインしたら、また違った改札が作られていたかも知れません。このように、デザインを考える段階に様々なニーズを持つ人を巻き込みデザイナーと一緒になにかをデザインしていくことを「インクルーシブデザイン」と呼びます。

最近では、商品開発や研修をする際にこのデザイン方法を積極的に取り入れている企業も増えています。

ユニバーサルデザインをはじめご紹介したいくつかのキーワードはそれぞれ、異なった定義を持ちデザインのアプローチや対応の点で違う部分があります。ですが根本となる目的や望んでいるものは同じです。

ユニバーサルデザインの考え方が日本に普及するまで

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