子どもの言語障害とは。さまざまな言語障害の違いを徹底解説します

ライター:発達障害のキホン
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言語障害とは、言葉に関して困難さのあることをさします。中でも医学的なシーンで使われる「言語障害」は、発達期に言語の産出と理解が苦手であるために、言語を獲得すること、言語を使うことに困難さが生じる疾患を指します。このコラムでは、人が言葉を話すコミュニケーションの仕組みを説明しながら、言語障害や、言葉に関する疾患について紹介していきます。

目次

言語障害とは

言語障害とは、言葉がスムーズにでないなどコミュニケーションに何かしらの困難さがある障害を指します。精神医学における言語障害の種類には、失語症や構音障害、吃音、言語発達障害などがあります。一方、教育における言語障害はより広義で、本人の発音や話し言葉によって、コミュニケーションに困難や不都合が生じている状態を示します。

以下は、文部科学省における言語障害の定義です。
言語障害とは、発音が不明瞭であったり、話し言葉のリズムがスムーズでなかったりするため、話し言葉によるコミュニケーションが円滑に進まない状況であること、また、そのため本人が引け目を感じるなど社会生活上不都合な状態であることをいいます。
出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/006.htm
この他にも、介護の世界では、言語能力の発達には問題がないものの、脳卒中や認知症により後天的に話すことができなくなってしまったり、言葉を理解できなくなってしまったりする疾患を「言語障害」と呼ぶことが多いようです。

このように、一口に言語障害と言ってもさまざまな定義が存在しますが、このコラムでは精神医学上の定義に則り、発達期の子どもが発症する言語障害について、人のコミュニケーションの仕組みを踏まえながら説明していきます。

音声言語コミュニケーションの仕組み

言語障害について詳しく解説する前に、まずは人がどのように言葉を操り、他者とコミュニケーションをとっているのか、その仕組みを確認しましょう。

下の図は「スピーチチェーン」といい、人が音声言語コミュニケーションをとる仕組みについて説明するものです。
スピーチチェーンの図
スピーチチェーンの図
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スピーチチェーンに則って考えると、人間が音声を受け取り、理解し、他者に言葉を発するまでのプロセスは、大きく三段階に分けることができます。

第一段階 音響学的レベル
誰かが発した音声が、空気を振動して耳へと伝わります。

第二段階 言語学的レベル
耳を通して伝わった音声を、脳で意味のある言葉として理解し、それについての受け答え(自分が話したい内容など)を考えます。そして、受け答えのための音声を出すために脳から発声器官(口や舌、肺など)の筋肉に信号を出します。

第三段階 生理学的レベル
脳の信号を頼りに声帯や舌、肺などを運動させ、音を発声します。また、口や舌の動きを使い、人が理解できる言葉にします。
参考書籍:内須川 洸 /著『言語臨床入門』(風間書房,2000年/刊)
https://www.amazon.co.jp/dp/4759912185
スピーチチェーンの第三段階目で生成された音声に対して、相手側もまた、耳を通して聞き取り、脳で処理し、受け答えを考え、発生をする…このようなサイクルを通して、人は言葉を発し、他者とコミュニケーションをとっています。

精神医学における言語障害

アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)における言語障害(言語症)は、言語の習得と使用に困難さのある疾患として定義されています。主に、上の図におけるスピーチチェーンの第二段階目にあたる、脳内の言語処理に困難さがある疾患です。その困難さにより具体的には次の3つのような症状があります。

1. 少ない語彙
その年齢の子どもが知っているであろうレベルより単語の知識より少なく、語彙に多様性が欠けている状態です。例えば、言葉の定義(理解)があやふやであったり、類義語や多義語が理解できなかったりなどが挙げられます。

2. 限定された構文
文を形成するために、文法規則に基づいて単語や語を配置することに困難さがあります。言語障害のある子どもが話す文章は、文法上の誤りを伴い、より短く単純であることが多く、特に過去時制が適切に使うことが難しい場合が多くなります。

こうした言葉や文法理解の困難さから、新しい単語や文章を記憶することにも困難さが生じます。例えば電話番号を覚えたり、買い物リストを覚えたりすることです。

3. 話法における障害
一つの話題や一連の出来事を順序をたてて説明・表現したり、会話をしたりすることに困難さがあります。

このような症状は、言語の理解と産出する能力に困難さがあるために起こります。専門用語では、言語の受容性の能力、表出性の能力と言います。言語の受容性の能力とは、言語によるコミュニケーション(主に音声による)の意味のあるものとして理解することを指し、言語の表出性の能力とは、声、身振り、言葉の合図などを生み出すことを指します。

言語障害は、言語がある程度発達し、個人差が少なくなってくる4歳以降で診断されることが多いです。幼稚園、保育園、小学校などに入ることで、さまざまなコミュニケーションの機会に触れる中で、他の子どもと比べてその困難さが際立つようになり、言語障害が明らかになる場合が多いと言えます。
DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版
https://www.amazon.co.jp/dp/4260019074

言語障害と言語発達遅滞との違いは?

言語障害と似たような言葉として、「言語発達遅滞」という言葉を聞きますが、その違いはなんなのでしょうか。

言語発達遅滞とは、言語障害があるかどうかによらず、言語の発達が年齢に想定されるよりも遅いという状況を指す言葉です。言語発達遅滞には2つのパターンがあります。

一つ目は、乳児期の時点では言葉が遅れていても、育ちの過程において、遅れが目立たなくなるような場合です。この場合は、「ただ言葉の習得が遅いだけ」、「育ちのスピードの個人差の範囲」と言えます。

もう一つは、発達や聴覚に障害のある可能性があり、その兆しとして言葉の遅れが生じる場合です。

言葉の発達の遅れは、発達の早期である乳幼児期において生じやすく、その子どもの育ちは個人差が大きいです。また性格や環境など様々な要因が関わっています。そのため乳幼児期に語彙が少なかったり、文や文章の組み立てが苦手であったりといった、言語発達遅滞状態にあっても、その子どもがただちに言語障害であるとは限りません。
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言語発達遅滞とは?言葉が出てこない原因など【専門家監修】

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