言語発達遅滞とは?言葉が出てこない原因など【専門家監修】
子どもの言葉がなかなか出ない…。子どもの育ちのスピードには個人差があるということは分かっていても、ついほかの子どもと比べて心配になってしまう保護者もいるのではないでしょうか。ここでは、言葉の遅れ(言語発達遅滞)の原因、生活の中で子どもの言葉の育ちを促す工夫や、相談先についてご紹介します。
言葉の遅れ(言語発達遅滞)とは?言葉が出てこない理由は?発達障害が原因のことも
言葉の遅れ(言語発達遅滞)とは
子どもが言葉を覚え、話し始める時期には個人差がありますが、おおむねの基準として、以下のような状態である場合には、言葉が遅れていると判断できるといわれています。
・1歳半で、意味の伴った言葉が2つ以下である場合
・3歳で、「ジュース のむ」など2つの単語による言葉である「2語文」が出ていない場合
乳幼児期の子どもの育ちは個人差が大きく、また性格や環境などさまざまな要因が関わっているため、言葉の遅れの原因を明確に特定することは簡単ではありません。
言葉が出てこない理由は?
一つは個人差です。年齢に応じた話す言葉の基準はありますが、あくまで目安で子どもの発達のスピードは一人ひとり大きく異なります。そのため、単純に目安より遅れているだけで育っていく過程で遅れは目立たなくなることがあります。
もう一つは聴覚や発達に障害が原因であることが考えられます。障害が原因の場合は、障害に応じた対応をしていくことが大事になります。障害についてはこの後詳しく紹介します。
言葉の遅れが見られるときには、聞こえに問題があることがあります。難聴や聴覚障害の場合には、聞く能力を高める目的の治療や訓練、視覚的な手段を使ったコミュニケーションの方法を取り入れるために早期の対応が必要になります。
1歳半、3歳の乳幼児健診のときにも、耳の聞こえのチェックが行われますが、聞こえの問題は家庭生活の中で見つかることも多いです。心配なときには、以下のチェックリストを参照して、聴覚に問題がないか確認してみるとよいでしょう。
聴覚や認知、子どもに周囲への関心やコミュニケーションなどに問題がなく、言葉の遅れだけが見られる場合は、「発達性言語障害」の可能性があります。(ほかにも「レイトトーカー(LT)」や、医学的な名称ではありませんが「特異的言語発達障害」という名称でよばれることがあります)。
発達性言語障害には言葉自体は理解しているが言葉の表出が遅れる「表出性言語障害」と、言葉自体を理解していないことにより言葉の表出も遅れている「受容性言語障害」の2つの種類があります。
2~3歳になっても言葉が出なかったり、遅れていたりする場合には、知的障害(知的発達症)やASD(自閉スペクトラム症)などの発達障害の可能性もあります。
障害があるかどうかは、言葉の表出のみによって判断できず、他者との関係性やコミュニケーションの領域の発達にも目を向けることが必要です。
発達障害がある場合、言語、非言語にかかわらず、人との関わりにおいて発達の遅れまたは困難さが生じることがあります。ASD(自閉スペクトラム症)の特徴を記載しますので、参照してください。
(1)コミュニケーションや対人関係の困難
言葉の遅れが見られ、視線や表情、身振りを使ったコミュニケーションに難しさがあります。また、他者と関心を共有することが難しく、関わり方が一方的になるなど対人関係を築くことに困難が見られます。
(2)興味関心の偏り
活動や物事への興味関心の範囲が著しく狭く、特定の事物へのこだわりがあります。変化への抵抗が強く、道順や日課、ものの位置関係など「おなじ」にこだわるような行動があります。
また、周りの音や肌に触れる感覚などの刺激に敏感な感覚過敏がある場合や、その逆に怪我をしても痛みを感じにくいなどの感覚鈍麻がある場合もあります。
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吃音と言語発達遅滞は違う?
吃音には「あ、あ、赤い」など言葉を繰り返したり、特定の言葉を伸ばしたりといった症状が見られます。吃音には発達性吃音と獲得性吃音という種類があり、その中で発達性吃音は2~5歳ごろの子どもによく発症するといわれています。
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言葉が出るために必要な3つのこと
意味の理解
コミュニケーション
コミュニケーションは、最初は、養育者とのふれあいを通じて、体温や匂いなどを感じることから始まります。そして養育者と微笑みを交わしあったり、そして声のトーンやしぐさを真似する模倣という行為へと進展していきます。
こうしたコミュニケーションを取っていくことで子どもが「伝えたい」という気持ちを抱くようになった先に、言葉の出現があります。
発音
これらの意味の理解、コミュニケーション、思い通りに音を出すことのできる体や脳の機能が整ってはじめて、言葉の表出につながるのです。
言葉の育ちのステップを知ろう
言葉の領域について考えるとき、子どもの運動能力の育ちや、情緒面の育ちについても同時に考えることが必要です。
ここでは言葉の育ちのステップと共に、そのステップごとにみられるコミュニケーションや身体の動きの特徴についてお伝えします。
泣く
クーイング
喃語(なんご)
この頃には、身体の動きも活発になり、興味のあるものを目で追ったり、手を伸ばしたりし、表情も豊かになってきます。リズミカルに身体を動かしたり、声を出して笑ったりするようになります。
指差し
知っているものと知らないものの区別がつくようになり、知らないものは不安になるという心の状態も発達します。指差しをして認識する対象はモノだけではなく人にも向けられ、人見知りをしだすのもこの時期です。
他者の視線の方向に自分の視線の方向を合わせようとする行動も現れはじめます。これは「共同注視」と呼ばれる認知行動で、自分と他者、間にあるモノの三項関係が徐々に成立するようになります。
「子どもと他者が物を介して経験を共にすること」がコミュニケーションを獲得するステップには欠かせないので、温かく見守りながら関わりを持っていくことが大切です。
一語文
二語文
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家庭でできる言葉を育む2つのポイント
言葉を育む2つのポイント
コミュニケーションを深める工夫をする
具体的な働きかけとは、子どもの表情や行動や気持ちを察して、「まんま、おいしいね」「イヤだったのね」などと言葉にすることや、子どもの声や言葉をもう一度繰り返すなど、さまざまなものが挙げられます。
子どもが自分から注意を向けた対象について話しかけましょう。視覚的な注意が向いているときに、耳から情報が伝わってきてくることで、情報を頭に取り入れることができます。
たとえば、走っている電車を見つめる子どもに対して、「電車だね」「速いね」などと、実物や経験に対して名称や状態を表す言葉をかけるなどの方法があります。
大人からの働きかけになかなか応じてくれない子どもに対して、大人が子どもの興味関心に合わせて話しかけることで、子どもの記憶に言葉を蓄積させることができます。
■やや高い声で、短くはっきりとした言葉でゆっくりと話す
大人同士で話すときに比べて、大人が子ども(乳児)に話しかけるときには「やや高い声」「短く、はっきりとした言葉」になることが多いと思います。
ある研究によると、大人が子ども(乳児)に話かけるときの「やや高い声」「短く、はっきりとした言葉」は、ほかの話し方よりも子ども(乳児)がより興味を持つということが分かっています。
子ども(乳児)自身が話し声に興味を持つ時間が増えることによって、言語の獲得につながるのではないかといわれています。
環境を整え、妨げになっている要因をなくす
■豊かな体験や経験を味わう
言葉が出始める、あるいはまだ出ていない段階においては、子どもが外界の世界に興味関心をもって、自ら関わっていこうとする力を育てることが大切です。
そのためには、具体的にものにふれたり、身体を使った遊びや活動を行ったり、見たり、聞いたり、味わったりと、五感を十分に使って世界にふれあうことのできる環境をつくり、子どものやりとりや遊びを豊かで楽しいものにすることを意識します。豊かな生活体験の中で引き起こされる、他者に自身の感じていることを伝えたいという思いが生まれ、それが言葉を引き出していくきっかけになります。
■テレビや動画の時間を減らす
テレビからは、言葉や音楽が絶えず流れだしていて、言葉を学ぶ段階である子どもにとっては、とても刺激の強い存在です。テレビだけでなく動画サイトなどでも同様です。
テレビや動画サイトなどを見せることが、必ずしも言葉の遅れにつながるわけではありませんが、一方的に言葉や音楽が流れてくるメディアからは、会話に必要なコミュニケーションを身につけることはできません。テレビ番組や動画サイトなどは、大人と子どもが一緒に楽しく過ごすための道具のひとつなので、つけっぱなしにせず、適度に利用する程度に留めておきましょう。
■視覚的な手がかりを使う
子どもは、ひとつの対象に対して注意を向けにくく、また取り込んだ情報を頭に留めておくという力が未熟です。また、言葉の意味がまだよくわからない子どもの場合には、言葉だけでは説明や、意味が理解できないことがあります。
ですので、このような場合には、聴覚的な情報に加えて、視覚的な手がかりを使うことが有効です。たとえば、ジェスチャーや、指差し、絵を見せるなど、目で見て分かる情報を使い、子どもに情報が入りやすい工夫をしましょう。
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言葉の遅れに気づいたときには、専門機関に相談したほうがいいの?
しかし、専門家に相談してみることで、子どもとの関わり方が学べたり、利用できる支援の情報が得られたりする場合もあります。気になることがある方は、以下のような専門機関を訪れてみるとよいでしょう。
相談する前に…
普段の子どもの様子を伝えることは、専門家が子どもの発達段階を把握するために役立ち、生活の中で取り入れられる工夫や気をつけるべきことについて教えてもらいやすくなります。
病院の小児科
地域子育て支援センター
児童相談所
乳幼児健康診査
また、乳幼児健康診査は、同じ月齢期の赤ちゃんを育てる保護者も来ており、子育てを同じくする人と情報交換できる場所でもあるので、上手に活用しましょう。
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児童発達支援
児童発達支援事業所では、日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供するなど障害児への支援を目的にしています。児童発達支援を利用するには自治体で発行する「受給者証」という証明書が必要になります。
児童発達支援事業所では、子どもの発達について言葉の面だけではなく、運動面やコミュニケーションの面についても総合的に判断して、発達を促す支援を行っています。また、子育てにおいての悩み事を相談することもできます。
言葉の遅れが気になる子どもに対して、言語聴覚療法というトレーニングを行っている施設もあります。詳しくは、施設にお問い合わせください。
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まとめ
言葉に限らず子どもの発達は停滞したり、急に進んだりと個々によってペースはさまざまです。発達の段階を知ることによって、適切な関わり方を知り、子どもの発達をサポートすることができます。
言葉を話す前の子どもは体や心の中で言葉を発するための準備をしている段階です。言葉が遅れていたり出なかった場合には、つい言葉を教え込む方法に目がゆきがちですが、子どもとのやりとりを楽しんだり、子どもの経験を豊かにする環境を整えることも大切です。
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