ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)とは?仮病とは違う、症状を自らつくり出してしまう病気って?【医師監修】

ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10736005672

ミュンヒハウゼン症候群とは、はっきりとした外的報酬がないにもかかわらず、身体や精神に病的症状があるふりをしたり、症状を自らつくり出したりしてしまう精神疾患です。大人から子どもまで幅広い年代で見られます。この記事では、いわゆる仮病とミュンヒハウゼン症候群の違いを含め解説します。

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監修: 増田史
精神科医、医学博士
滋賀医科大学 精神医学講座 助教
NPO法人ストップいじめナビ 特任研究員
精神疾患の偏見解消に向けた活動や、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症の脳機能に関する研究を行なっている。
目次

ミュンヒハウゼン症候群とは

ミュンヒハウゼン症候群は明確な外的報酬がないにもかかわらず、身体や精神に病的症状があるふりをしたり、症状を捏造したりする精神疾患です。医学的には、「作為症(虚偽性障害)」と診断されます。作為症には、ほかの人に障害を加える「代理ミュンヒハウゼン症候群」も含まれます。

代理ミュンヒハウゼン症候群とは、明らかな外的報酬がないのにかかわらず、自分自身ではなく代理の人に対して障害を加える精神疾患です。結果として自分に周囲の関心を引き寄せることで、自らの精神的満足を他者から得ようとしている場合もあるといわれています。

(「ミュンヒハウゼン症候群」は1951年にイギリスの医師リチャード・アッシャーが発見しました。ミュンヒハウゼン症候群という名前は『ほら吹き男爵』という物語で知られる、ドイツ貴族ミュンヒハウゼン男爵(実在の人物がモデル)の名前から命名されました。)

ここでは主にミュンヒハウゼン症候群について紹介していきます。

ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の主な症状

ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の主な症状は、自分自身に負わせる身体的または心理的な徴候と症状のねつ造・ごまかしです。
病気ねつ造の方法には大げさに表現したり、つくり話をしたり、自傷行為などによる誘発などが含まれます。例えば神経症状(けいれん、めまい、失神など)のエピソードをごまかして周囲の人に話すといったことから、検査で異常がでるように尿に血液を加えるなど病気であるように見せかけます。または敗血症を誘発するために傷口をわざと不衛生にするなどの自傷行為が見られることがあります。
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日本精神神経学会 (監修), 高橋 三郎 (翻訳), 大野 裕 (翻訳), 染矢 俊幸 (翻訳), 神庭 重信 (翻訳), 尾崎 紀夫 (翻訳), & 2 その他
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ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の原因

ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の根本の原因はよく分かっていません。発症する背景として幼少期に精神的および身体的虐待を経験している場合があるといわれています。また小児期に重度の疾患を経験した場合や重病の身内がいた場合もあります。

ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の人は自己肯定感の低さや不安定な対人関係といった問題を持っていることがあります。自尊心や自分に対する関心を高め、維持しようとする手段として、病気をつくり出すこともあるといわれています。

ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の診断基準は?

ミュンヒハウゼン症候群および虚偽性障害については世界保健機関(WHO)の『ICD-10』とアメリカ精神医学会の『DSM-5』が診断基準を示しています。

DSM-5では作為症(虚偽性障害)は、明確な外的報酬がないにもかかわらず、身体や精神の病的症状を捏造し、そのことを周囲に示すという行動が認められます。作為症には「自らに負わせる作為症」と、自分ではなく他者の症状を捏造する「他者に負わせる作為症」があります。その行動は、ほかの精神病性障害の基準にはあてはまらない場合に診断されます。
診断基準に当てはまる項目のほかにも病歴の聴取やこれまでかかった病院遍歴などをもとに臨床的な診断をしていきます。

ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)と似ている精神疾患とは?

いくつかミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)と同じような症状がある精神疾患があります。

・詐病(さびょう)
詐病とは、利益を求めて虚偽またはおおげさに強調された身体的・心理的不調を意図的に装うことです。詐病は利益を得るために行っていますが、ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)はその行動に対して明らかな外的報酬が認められないという違いがあります。

・境界性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害を持つ人は、対人関係、自己像、および感情が不安定になりやすく、また著しい衝動性を示すことがあります。慢性的な空虚感があり、特定の人に「見捨てられるのではないか」という不安を持ち、これを避けるためになりふり構わない努力をしたり、理想化やこき下ろしといった極端な対人関係を揺れ動いたりすることが特徴とされています。

ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)はこれらの障害と鑑別される必要があります。
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ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)かも?と思ったら

もしかすると自分はミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)かも…と思った場合、また家族が身体の不調を訴えているけれどミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の可能性がある場合、どの診療科を受診するのが良いのでしょうか?

基本的にミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の専門科は精神科です。

自覚症状がある場合は本人自らが精神科を受診することをおすすめします。精神科によって専門医に正しい診断と治療の手立てを受けましょう。精神療法をはじめとした治療を早期に開始することで、症状が悪化することを防ぎます。

一方で、本人は自覚がなくとも周囲がミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の可能性が高いと気づいた場合、いきなり精神科の受診をすすめてしまうと、本人が受け入れがたい場合があります。受診を促す際の声のかけ方などを工夫したり、付き添いながら受診したり工夫が必要です。

または本人がかかっている内科や外科などの医療機関にミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の可能性を伝え、精神科への受診を促してもらえるように協力してもらうことも一つの手段です。

検査・診断方法

ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)は特別な検査はなく、問診や家族からの聞き取りなどによる臨床的診断を行います。診断はこれまでの病歴の聴取や診察に加えて、本人が訴える身体疾患を除外するために必要な検査を行います。

ミュンヒハウゼン症候群の治療法はあるの?

ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の治療は難しく根本的な治療法は確立されていません。しかし自身の身体を傷つける行為やそのための治療、あるいは過剰な処方などが繰り返されると、心身や社会生活にも大きな影響が出てきます。そのためなるべく早めに精神科を受診し、精神療法などの治療を開始することが重要です。

本人が積極的に治療に参加すると症状が緩和していくことがあります。また治療は本人だけでなく医師・家族の連携が大切です。

まとめ

ミュンヒハウゼン症候群は作為症(虚偽性障害)という精神疾患の一つです。
この疾患に気づきやすいのは本人よりも、周囲の人たちの方が多いといえるでしょう。治療法はまだ確立していませんが、精神療法などの精神医学的治療を受けることで症状が緩和する場合があります。周囲の人たちの本人に対する接し方などを専門家に聞くこともできます。

周囲の人も本人の症状や訴えの奥にある苦悩に目を向けつつ、病気が悪化・再発しない環境を協力しながらつくることが大切になります。
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