ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)とは?仮病とは違う、症状を自らつくり出してしまう病気って?【医師監修】
ライター:発達障害のキホン
ミュンヒハウゼン症候群とは、はっきりとした外的報酬がないにもかかわらず、身体や精神に病的症状があるふりをしたり、症状を自らつくり出したりしてしまう精神疾患です。大人から子どもまで幅広い年代で見られます。この記事では、いわゆる仮病とミュンヒハウゼン症候群の違いを含め解説します。
監修: 増田史
精神科医、医学博士
滋賀医科大学 精神医学講座 助教
NPO法人ストップいじめナビ 特任研究員
精神疾患の偏見解消に向けた活動や、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症の脳機能に関する研究を行なっている。
滋賀医科大学 精神医学講座 助教
NPO法人ストップいじめナビ 特任研究員
ミュンヒハウゼン症候群とは
ミュンヒハウゼン症候群は明確な外的報酬がないにもかかわらず、身体や精神に病的症状があるふりをしたり、症状を捏造したりする精神疾患です。医学的には、「作為症(虚偽性障害)」と診断されます。作為症には、ほかの人に障害を加える「代理ミュンヒハウゼン症候群」も含まれます。
代理ミュンヒハウゼン症候群とは、明らかな外的報酬がないのにかかわらず、自分自身ではなく代理の人に対して障害を加える精神疾患です。結果として自分に周囲の関心を引き寄せることで、自らの精神的満足を他者から得ようとしている場合もあるといわれています。
(「ミュンヒハウゼン症候群」は1951年にイギリスの医師リチャード・アッシャーが発見しました。ミュンヒハウゼン症候群という名前は『ほら吹き男爵』という物語で知られる、ドイツ貴族ミュンヒハウゼン男爵(実在の人物がモデル)の名前から命名されました。)
ここでは主にミュンヒハウゼン症候群について紹介していきます。
代理ミュンヒハウゼン症候群とは、明らかな外的報酬がないのにかかわらず、自分自身ではなく代理の人に対して障害を加える精神疾患です。結果として自分に周囲の関心を引き寄せることで、自らの精神的満足を他者から得ようとしている場合もあるといわれています。
(「ミュンヒハウゼン症候群」は1951年にイギリスの医師リチャード・アッシャーが発見しました。ミュンヒハウゼン症候群という名前は『ほら吹き男爵』という物語で知られる、ドイツ貴族ミュンヒハウゼン男爵(実在の人物がモデル)の名前から命名されました。)
ここでは主にミュンヒハウゼン症候群について紹介していきます。
ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の主な症状
ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の主な症状は、自分自身に負わせる身体的または心理的な徴候と症状のねつ造・ごまかしです。
病気ねつ造の方法には大げさに表現したり、つくり話をしたり、自傷行為などによる誘発などが含まれます。例えば神経症状(けいれん、めまい、失神など)のエピソードをごまかして周囲の人に話すといったことから、検査で異常がでるように尿に血液を加えるなど病気であるように見せかけます。または敗血症を誘発するために傷口をわざと不衛生にするなどの自傷行為が見られることがあります。
病気ねつ造の方法には大げさに表現したり、つくり話をしたり、自傷行為などによる誘発などが含まれます。例えば神経症状(けいれん、めまい、失神など)のエピソードをごまかして周囲の人に話すといったことから、検査で異常がでるように尿に血液を加えるなど病気であるように見せかけます。または敗血症を誘発するために傷口をわざと不衛生にするなどの自傷行為が見られることがあります。
ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の原因
ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の根本の原因はよく分かっていません。発症する背景として幼少期に精神的および身体的虐待を経験している場合があるといわれています。また小児期に重度の疾患を経験した場合や重病の身内がいた場合もあります。
ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の人は自己肯定感の低さや不安定な対人関係といった問題を持っていることがあります。自尊心や自分に対する関心を高め、維持しようとする手段として、病気をつくり出すこともあるといわれています。
ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の人は自己肯定感の低さや不安定な対人関係といった問題を持っていることがあります。自尊心や自分に対する関心を高め、維持しようとする手段として、病気をつくり出すこともあるといわれています。
ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)の診断基準は?
ミュンヒハウゼン症候群および虚偽性障害については世界保健機関(WHO)の『ICD-10』とアメリカ精神医学会の『DSM-5』が診断基準を示しています。
DSM-5では作為症(虚偽性障害)は、明確な外的報酬がないにもかかわらず、身体や精神の病的症状を捏造し、そのことを周囲に示すという行動が認められます。作為症には「自らに負わせる作為症」と、自分ではなく他者の症状を捏造する「他者に負わせる作為症」があります。その行動は、ほかの精神病性障害の基準にはあてはまらない場合に診断されます。
DSM-5では作為症(虚偽性障害)は、明確な外的報酬がないにもかかわらず、身体や精神の病的症状を捏造し、そのことを周囲に示すという行動が認められます。作為症には「自らに負わせる作為症」と、自分ではなく他者の症状を捏造する「他者に負わせる作為症」があります。その行動は、ほかの精神病性障害の基準にはあてはまらない場合に診断されます。
診断基準に当てはまる項目のほかにも病歴の聴取やこれまでかかった病院遍歴などをもとに臨床的な診断をしていきます。
ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)と似ている精神疾患とは?
いくつかミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)と同じような症状がある精神疾患があります。
・詐病(さびょう)
詐病とは、利益を求めて虚偽またはおおげさに強調された身体的・心理的不調を意図的に装うことです。詐病は利益を得るために行っていますが、ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)はその行動に対して明らかな外的報酬が認められないという違いがあります。
・境界性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害を持つ人は、対人関係、自己像、および感情が不安定になりやすく、また著しい衝動性を示すことがあります。慢性的な空虚感があり、特定の人に「見捨てられるのではないか」という不安を持ち、これを避けるためになりふり構わない努力をしたり、理想化やこき下ろしといった極端な対人関係を揺れ動いたりすることが特徴とされています。
ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)はこれらの障害と鑑別される必要があります。
・詐病(さびょう)
詐病とは、利益を求めて虚偽またはおおげさに強調された身体的・心理的不調を意図的に装うことです。詐病は利益を得るために行っていますが、ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)はその行動に対して明らかな外的報酬が認められないという違いがあります。
・境界性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害を持つ人は、対人関係、自己像、および感情が不安定になりやすく、また著しい衝動性を示すことがあります。慢性的な空虚感があり、特定の人に「見捨てられるのではないか」という不安を持ち、これを避けるためになりふり構わない努力をしたり、理想化やこき下ろしといった極端な対人関係を揺れ動いたりすることが特徴とされています。
ミュンヒハウゼン症候群(作為症/虚偽性障害)はこれらの障害と鑑別される必要があります。
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