それぞれの二分脊髄の症状、合併症は?
顕在性二分脊椎(開放性)
顕在性二分脊椎で生じる脊髄髄膜瘤(せきずいずいまくりゅう)や脊髄披裂は、脊髄が表皮に覆われずに、直接外表に露出している状態のことです。その様子は人によってさまざまですが、背中側の腰から大きなこぶ(脊髄髄膜瘤)のようなようなものが飛び出ていたり、逆に背中に亀裂(脊髄披裂)のような穴があいているように見えたりします。
顕在性二分脊椎では90%の確率で水頭症を発症します。水頭症とは、脳脊髄液が頭の内側で過剰に留まり、脳が圧迫されてしまう病気です。
水頭症を放置すると、無気力・癲癇(かんしゃく)発作・知能障害などを発症してしまう可能性があるので治療が必要です。通常は生後1ヶ月以内にシャント術と呼ばれる手術が行われます。
また、脳の中にある小脳扁桃や延髄という部分が、正常な位置と形でない「キアリ奇形」という異常を起こしていることも多く、呼吸の問題や、飲み込みの障害などを生じることもあります。
また幼児期になると、下肢の運動障害、股関節脱臼、尿意や便意を感じにくいことによる尿・大便失禁などを生じる場合があり、さらに軽度から中程度の知能障害が約半数で発症すると言われています。
また幼児期になると、下肢の運動障害、股関節脱臼、尿意や便意を感じにくいことによる尿・大便失禁などを生じる場合があり、さらに軽度から中程度の知能障害が約半数で発症すると言われています。
潜在性二分脊椎
潜在性二分脊椎は背中に脊髄髄膜瘤や脊髄披裂を生じませんが、皮膚に多毛、血管腫、母班(色素班)、皮膚表面の小さな穴、たばこによる火傷に見えるような瘢痕(はんこん)、おしりの左右差や臀裂(おしりの割れ目)の歪みなどを生じることがあります。
幼児期はあまり症状が見られませんが、成長期(学童期や思春期)になると排便障害や、下肢の運動・神経障害(脊髄係留症候群)などの症状が出てくることがあります。
これは、正常な神経ができていないことや、脊髄神経が周囲の骨や筋肉とくっついているため、成長によって脊髄神経が引っ張られ障害が起こるためです。
幼児期はあまり症状が見られませんが、成長期(学童期や思春期)になると排便障害や、下肢の運動・神経障害(脊髄係留症候群)などの症状が出てくることがあります。
これは、正常な神経ができていないことや、脊髄神経が周囲の骨や筋肉とくっついているため、成長によって脊髄神経が引っ張られ障害が起こるためです。
二分脊椎の診断と治療
顕在性二分脊椎の検査・診断と治療
顕在性二分脊椎は、妊娠中のエコー検査などでおなかの中にいるうちから発見されることもありますが、生まれてから診断されることもあるようです。出産前に判明していれば、脊髄髄膜瘤が破れないようにするために帝王切開が行われます。
顕在性二分脊椎症の治療は出生後すぐに開始する必要があります。まず、出生後2~3日以内には出髄液感染の予防のために脊髄髄膜瘤を閉鎖するための手術を行います。また、脳脊髄液が脳内に溜まってしまう水頭症に対しては脳室腹腔シャント術という手術を行います。
この手術では頭蓋骨に小さな穴をあけ、専用のチューブで脳と腹腔とつなぎます。これによって脳脊髄液は脳室からチューブを通って腹腔内へ流れ込むようになり、脳に過剰な圧力がかかることを防ぎます。腹腔内に入った脳脊髄液は腹膜から吸収され体の中の循環にもどるようになっています。
顕在性二分脊椎症の治療は出生後すぐに開始する必要があります。まず、出生後2~3日以内には出髄液感染の予防のために脊髄髄膜瘤を閉鎖するための手術を行います。また、脳脊髄液が脳内に溜まってしまう水頭症に対しては脳室腹腔シャント術という手術を行います。
この手術では頭蓋骨に小さな穴をあけ、専用のチューブで脳と腹腔とつなぎます。これによって脳脊髄液は脳室からチューブを通って腹腔内へ流れ込むようになり、脳に過剰な圧力がかかることを防ぎます。腹腔内に入った脳脊髄液は腹膜から吸収され体の中の循環にもどるようになっています。
また、欧米では最新の治療として胎児治療も行われています。
胎児治療とは、母体の安全を確保しつつ、生まれる前の胎児に治療を行い、生後治療よりも効果の高い治療を行う治療手技です。
胎児治療とは、母体の安全を確保しつつ、生まれる前の胎児に治療を行い、生後治療よりも効果の高い治療を行う治療手技です。
この方法では、子宮切開によって脊髄髄膜瘤の修復を行います。しかし、子宮を切開することにより早産、前期破水、胎盤早期剥離など、さまざまなリスクが高くなり母体への負担が大きいと言われています。また日本で脊髄髄膜瘤の胎児手術を行っている施設はまだありません。
潜在性二分脊椎の検査・診断と治療
潜在性二分脊椎では、出生後に皮膚の異常をきっかけにCTやMRIなどの検査が行われ、その結果として診断される場合があります。
治療としては、症状の軽減や悪化の防止のために手術が行われます。また、症状が出てからでは、手術をしても症状をなくすことはできないので、症状が出る前に手術を実施することもあります。手術しなくても生命の危険性は少ないと言われていますが、排尿障害から腎臓への障害が出ると生命への危険性も生じてくることもあるので注意しなければいけません。
成長期の急速な成長に伴って神経症状が出やすく、いったん神経症状が現れると手術によって治りにくいので、早期手術が推奨されています。
もし背中や腰に見慣れない皮膚症状を見つけ不安に思った場合は、子どもを診療する脳神経外科医や小児神経科医に診てもらいましょう。
治療としては、症状の軽減や悪化の防止のために手術が行われます。また、症状が出てからでは、手術をしても症状をなくすことはできないので、症状が出る前に手術を実施することもあります。手術しなくても生命の危険性は少ないと言われていますが、排尿障害から腎臓への障害が出ると生命への危険性も生じてくることもあるので注意しなければいけません。
成長期の急速な成長に伴って神経症状が出やすく、いったん神経症状が現れると手術によって治りにくいので、早期手術が推奨されています。
もし背中や腰に見慣れない皮膚症状を見つけ不安に思った場合は、子どもを診療する脳神経外科医や小児神経科医に診てもらいましょう。
共通する合併症とその治療
運動障害に対しては車いすや、足に付ける補装具等を利用します。特に歩き始めた子は股関節などの変形が進みやすいと言われています。放置すると歩けなくなることもあるため、ストレッチを行ったり、装具と呼ばれる運動を助ける器具を使用したりします。
また尿や便をもらしてしまったり、自分で排泄ができなかったりする排泄障害についても治療が必要です。自分での排尿が困難な場合に行う導尿は、カテーテルとよばれる専用の管を尿道から膀胱に挿入し、定期的に尿を排出する方法です。
排便に対しては、肛門から指をいれて便を取り除く摘便や、下剤や座薬、浣腸を使用する方法が取られます。また、肛門に挿入して、便が漏れるのを防止する医療用の器具も使用される場合があります。
排泄の状況は一人ひとり異なるため、試行錯誤しながら医師や看護師と一緒になって解決方法を考えることが必要です。
また尿や便をもらしてしまったり、自分で排泄ができなかったりする排泄障害についても治療が必要です。自分での排尿が困難な場合に行う導尿は、カテーテルとよばれる専用の管を尿道から膀胱に挿入し、定期的に尿を排出する方法です。
排便に対しては、肛門から指をいれて便を取り除く摘便や、下剤や座薬、浣腸を使用する方法が取られます。また、肛門に挿入して、便が漏れるのを防止する医療用の器具も使用される場合があります。
排泄の状況は一人ひとり異なるため、試行錯誤しながら医師や看護師と一緒になって解決方法を考えることが必要です。
二分脊椎と発達障害の関係・合併はあるの?
二分脊椎の子どもは、下肢の身体障害などに加えて、認知や心の問題などを抱えていることが多くあります。二分脊椎が引き起こす水頭症などの脳の器質的な障害は、認知・発達的な面への影響も考えられます。
幼少期は二分脊椎によって引き起こされる問題はあまり目立たないかもしれません。しかし、学童期になって学習や集団生活が始まると、数などの概念的な理解や空間認知、手指の器用さ、文脈や場の空気を読む力といったことに苦手な傾向が出ることもあるようです。
幼少期は二分脊椎によって引き起こされる問題はあまり目立たないかもしれません。しかし、学童期になって学習や集団生活が始まると、数などの概念的な理解や空間認知、手指の器用さ、文脈や場の空気を読む力といったことに苦手な傾向が出ることもあるようです。