介護保険法における機能訓練指導員の支援対象

上記、元となる様々な資格を持っている人が「介護保険法」において機能訓練指導員として働くことができるとありましたが、その介護保険法とは、一体どのようなものなのでしょうか。

介護保険法は1997年に制定され、2000年に施行された法律です。高齢化が進む中で、加齢などによって日々の生活に支援が必要となった人を、社会全体でサポートしあう体制を作ることを目的として制定されました。

そして介護保険法に基づいて実施され始めたのが、「介護保険制度」です。介護保険制度では訪問介護から介護保険福祉施設など、さまざまなサービスを展開しています。そのサービスの一部の施設で活躍するのが「機能訓練指導員」なのです。

たとえば、通所介護(デイサービス)や短期入所生活介護、介護老人福祉施設などには機能訓練指導員を一人以上配置することが義務とされています。

そのため、機能訓練指導員の支援を受けることができるのは、介護保険において要介護認定を受け、かつ支援に機能訓練が必要だと判断された方になります。介護を受ける理由としては、「高齢による衰弱」や「認知症」、「パーキンソン病」などが多いようです。
参考文献:遠藤英俊/著『柔道整復師と機能訓練指導: 機能訓練指導員養成テキスト』2016年 南江堂/刊
https://www.amazon.co.jp/dp/4524257594

機能訓練指導員の業務内容

はじめに説明したように、機能訓練指導員は支援を必要とする人がよりよい状態で日々の生活を送り続けられるようなサービスを提供しています。

機能訓練指導員の具体的な仕事の内容には、機能訓練の実施だけでなく、その前後の振り返りや次への計画なども含まれます。ここではそのうちの2つをご紹介します。

・機能訓練の実施
実際の機能訓練では、寝返り訓練、起き上がり訓練、立ち上がり訓練、歩行訓練などの訓練が多く行われています。これらの訓練を行う際にも、利用者の最終的な目標を達成するためのスモールステップとして、訓練を行うことが重要と言えるでしょう。

・機能訓練の評価
実際に機能訓練を行った結果、利用者にとってどのような良いことがあったか、逆にどのようなことが課題として挙げられたかを検討します。その結果何か次に改善したことが良いことがあれば改善し、さらに良い訓練内容を作っていきます。

利用者が機能訓練を最大限に生かすことができるようになるためには、事前に利用者のニーズを把握し、適切な訓練を計画するということが欠かせません。すべての段階において「利用者にとっての目標は何か」「その目標を達成するためにはどのような支援が必要か」を考えながら、ほかの担当職員とも協力して支援をしていくことが求められています。

機能訓練指導員に必要な知識・考え方

機能訓練指導員には、利用者が潜在的に抱えている「ニーズ」を把握し、そのニーズに対して適切な支援をすることが求められています。そのために必要な能力として、ここでは2つご紹介します。

・機能訓練とリハビリテーションの違いを理解し、機能訓練を実施する
前にふれたように、介護保険における機能訓練は、障害のある器官そのものの機能を回復することのみを目的としたものではありません。

あくまでも機能を回復した先に、その人が自立した生活を送ることができるようになるためには、どのような支援ができるか、を考えます。それに対してリハビリテーションではその人に存在している器官などの疾病を、早期に回復させることを目的としています。機能訓練とリハビリテーションの違いを理解し、機能訓練として利用者をどのように支援できるか、を考えていくことが不可欠です。

・機能訓練が「寝たきり」にさせないことを目的としていることを理解している
介護保険法における機能訓練では対象が高齢者となっていますが、高齢者の「寝たきり」は、筋力の低下や、体力の低下につながってしまう場合があります。それは本人にとっても、家族や社会全体にとってもマイナスの結果をもたらしかねません。

そのため高齢者を対象とした機能訓練では、なるべく早く訓練を開始することを心がけ、「寝たきり」の状態を短くするよう意識していくことが重要です。

これ以外にも機能訓練指導員として支援を行う際に必要となる能力はたくさんあります。介護や福祉に関する知識に加えて、「その人がその人らしく生きていくために適切な支援」を考え続けていくことが機能訓練指導員には必要であるといえます。
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