特別支援教室と通級やほかの特別支援教育との違い、特別支援教室の指導形態や目的を解説
ライター:発達障害のキホン
東京都の公立小学校で導入されている特別支援教室。公立中学校でも段階的に導入が始まっています。また東京都以外にも特別支援教室の取り組みを行っているところもあります。特別支援教室によって、発達障害のある子どもたちの教育はどのように変わるのでしょうか。この記事では、特別支援教室の概要と指導内容などについてご紹介します。
特別支援教室とは?
特別支援教室は、発達障害のある子どもたちをはじめとした個別の教育的ニーズに対応し、より適切で効果的な指導を行うための一つの指導の形態です。
文部科学省は、特別支援教室構想を掲げ、それに伴い全国各地でモデル事業が行なわれてきました。2016年4月からは、東京都内の小学校で本格的な導入が始まり、中学校でも導入が予定されています。
文部科学省は、特別支援教室構想を掲げ、それに伴い全国各地でモデル事業が行なわれてきました。2016年4月からは、東京都内の小学校で本格的な導入が始まり、中学校でも導入が予定されています。
特別支援教室の考え方――「インクルーシブ教育」との関わりは?
2005年以降、文部科学省は「インクルーシブ教育」の推進に力を入れてきました。
インクルーシブ教育とは、障害の有無にかかわりなく子どもたちに教育をするという理念・制度・実践をいいます。
インクルーシブ教育とは、障害の有無にかかわりなく子どもたちに教育をするという理念・制度・実践をいいます。
インクルーシブ教育とは?考え方や背景、具体的な取組み、課題点について【専門家監修】
こうした教育を実現するためには、障害のある子どもだけが「特別なニーズ」を持っているという考えを見直し、「すべての子どもに等しく教育をし、一人ひとりの子どものニーズに適切に対応する」ことが重要です。
文部科学省の特別支援教室構想も、その一環として位置づけられています。通常の学級に在籍する子どもや発達障害の診断を受けていない子どもたちの中にも、実際には個別のニーズのある子どもたちがいると考えられます。そうしたニーズに気づき適切な教育をするために、また、そのほかの子どもたちが発達障害をよりよく理解できる環境をつくるために、特別支援教室の導入を進めています。
文部科学省の特別支援教室構想も、その一環として位置づけられています。通常の学級に在籍する子どもや発達障害の診断を受けていない子どもたちの中にも、実際には個別のニーズのある子どもたちがいると考えられます。そうしたニーズに気づき適切な教育をするために、また、そのほかの子どもたちが発達障害をよりよく理解できる環境をつくるために、特別支援教室の導入を進めています。
特別支援教室って、どんなところ?(東京都の例)
東京都の公立小学校では特別支援教室が2016年4月から順次導入されました。ここでは東京都の公立小学校における特別支援教室の指導形態を説明します。
特別支援教室は、情緒障害や発達障害のある子どもたちを対象に、一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導をする場です。基本的には、対象となる子どもや、指導内容は「情緒障害等通級指導学級」(以下「通級指導学級(通級)」とする)と同じであると考えてよいでしょう。東京都では、情緒障害や発達障害以外の障害を対象とした通級指導学級に関しては従来通りの指導が行われています。
特別支援教室は、情緒障害や発達障害のある子どもたちを対象に、一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導をする場です。基本的には、対象となる子どもや、指導内容は「情緒障害等通級指導学級」(以下「通級指導学級(通級)」とする)と同じであると考えてよいでしょう。東京都では、情緒障害や発達障害以外の障害を対象とした通級指導学級に関しては従来通りの指導が行われています。
教育の内容は?
特別支援教室の指導内容は、これまでの通級指導学級と同じです。つまり、子どもの教育的ニーズに応じて「自立活動」による指導が行われます。
特別支援教室で指導を受けられる対象児童は、東京都のガイドラインによると「通常の学級に在籍する知的障害のない発達障害又は情緒障害であり、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度の児童」とされています。
具体的な対象の障害の種類には「自閉症者」「情緒障害者」「学習障害者」「注意欠陥多動性障害者」があります。
例えば自閉症のある児童がコミュニケーションを取るのが苦手な場合、ロールプレイなどで適切な会話を学んだり、相手の気持ちを考えるなどの指導が行われます。また、学習障害がある場合、自分に合った学習方法を習得するための指導なども行われます。
特別支援教室で指導を受けられる対象児童は、東京都のガイドラインによると「通常の学級に在籍する知的障害のない発達障害又は情緒障害であり、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度の児童」とされています。
具体的な対象の障害の種類には「自閉症者」「情緒障害者」「学習障害者」「注意欠陥多動性障害者」があります。
例えば自閉症のある児童がコミュニケーションを取るのが苦手な場合、ロールプレイなどで適切な会話を学んだり、相手の気持ちを考えるなどの指導が行われます。また、学習障害がある場合、自分に合った学習方法を習得するための指導なども行われます。
誰が教えるの?
特別支援教室の導入に際し、東京都では「巡回指導教員」「特別支援教室専門員」という役割が定められ、「臨床発達心理士」「特別支援教育士」「学校心理士」(以下、「臨床発達心理士等」)の巡回体制を整えました。
これまでの通級指導学級の担当教員は、役割の名前が「巡回指導教員」に変わりました。巡回指導教員は、特別支援教室で子どもに指導をするほか、担任と密に連携し、指導効果を高めるようにします。
「特別支援教室専門員」は、特別支援教室の導入によって新しい職として配置されました。非常勤の職員で、巡回指導教員の指示に基づいて、個別の課題に応じた教材をつくったり、対象となる子どもの行動を記録したりします。
「臨床発達心理士等」は、対象児童が抱える困難について把握し、それに対応した専門的な指導を実施するために巡回指導教員や担任らに必要なアドバイスを行います。
これまでの通級指導学級の担当教員は、役割の名前が「巡回指導教員」に変わりました。巡回指導教員は、特別支援教室で子どもに指導をするほか、担任と密に連携し、指導効果を高めるようにします。
「特別支援教室専門員」は、特別支援教室の導入によって新しい職として配置されました。非常勤の職員で、巡回指導教員の指示に基づいて、個別の課題に応じた教材をつくったり、対象となる子どもの行動を記録したりします。
「臨床発達心理士等」は、対象児童が抱える困難について把握し、それに対応した専門的な指導を実施するために巡回指導教員や担任らに必要なアドバイスを行います。
特別支援教室と通級指導学級の違いは?
保護者にとって最も気になるのが、通級指導学級とは何が違うのかということではないでしょうか。ここでは、変更点や特別支援教室の目的について説明します。
通級指導学級からの変更点
通級指導学級は地域の拠点校にのみ設置されたのに対し、特別支援教室は各学校に設置されています。つまり、通級指導学級では、定期的に拠点校に出向く必要があったのに対し、特別支援教室では子どもたちが普段通っている学校で自立活動による指導を受けられるようになりました。
違いは、特別支援教室では基本的には子どもが移動するのではなく、教員が巡回することです。これによって、子どもの移動の際に送迎していた保護者の負担も軽くなります。
特別支援教室の目的
小学校への特別支援教室導入の目的は、対象となる子どもの学習上・生活上の困難さの改善、指導・支援の工夫が進むことで、在籍学級でほかの子どもと一緒に有意義な学校生活を送ることができるようになることなどとされています。
また、主に次の4つの項目に分けられます。
(1) 発達障害のある児童への適切な指導の実施
特別支援教室の巡回指導教員と在籍学級担任らが協働することにより、発達障害のある児童一人ひとりが抱える困難さをより効果的に改善し、学習能力や集団適応能力の向上を図ります。
(2) 児童・保護者の負担等の軽減
在籍校で特別な指導を受けられるようにすることで、他校への移動時間や移動時の安全といった児童の負担や保護者の送迎の負担を軽減することができます。
(3) 在籍学級における支援の充実による学級運営の安定化
巡回指導教員が具体的な指導内容や支援の方法について助言し、通常の学級での対象児童やほかの児童が学習に集中できる環境を整え、学級運営の安定化を図ります。
(4) 全ての児童にとって分かりやすい授業の充実
巡回指導教員が、在籍学級担任に対して具体的な指導内容・方法や支援の方法について助言し、発達障害のある児童を含む全ての児童にとって分かりやすい授業を実施することを目指します。
また、主に次の4つの項目に分けられます。
(1) 発達障害のある児童への適切な指導の実施
特別支援教室の巡回指導教員と在籍学級担任らが協働することにより、発達障害のある児童一人ひとりが抱える困難さをより効果的に改善し、学習能力や集団適応能力の向上を図ります。
(2) 児童・保護者の負担等の軽減
在籍校で特別な指導を受けられるようにすることで、他校への移動時間や移動時の安全といった児童の負担や保護者の送迎の負担を軽減することができます。
(3) 在籍学級における支援の充実による学級運営の安定化
巡回指導教員が具体的な指導内容や支援の方法について助言し、通常の学級での対象児童やほかの児童が学習に集中できる環境を整え、学級運営の安定化を図ります。
(4) 全ての児童にとって分かりやすい授業の充実
巡回指導教員が、在籍学級担任に対して具体的な指導内容・方法や支援の方法について助言し、発達障害のある児童を含む全ての児童にとって分かりやすい授業を実施することを目指します。