【医師監修】新生児微笑とは?赤ちゃんが笑わない原因や社会的微笑の違い、発達障害との関係

ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
【医師監修】新生児微笑とは?赤ちゃんが笑わない原因や社会的微笑の違い、発達障害との関係のタイトル画像
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10132108373

新生児微笑とは、赤ちゃんが感情ではなく神経の反応として微笑んでいるように見える状態を言います。生後間もない頃に多く見られ、生後2ヶ月頃からだんだんと減り、そのあとは感情を伴った社会的微笑も見られるようになってきます。

なかなか赤ちゃんが笑わないと「何かの病気?」「発達障害」と気になる方もいると思います。赤ちゃんが笑わない原因は発達の個人差などさまざまなことが考えられます。
この記事では赤ちゃんが笑わない原因や新生児微笑から始まる笑顔の発達の順番、笑顔を引き出す方法などをご紹介します。

監修者藤井明子のアイコン
監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
子どものこころ専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
目次

赤ちゃんが笑わない原因は?発達障害と関係ある?

このコラムで分かること

  • 赤ちゃんが微笑んでいるように見える「新生児微笑」と、感情を伴う「社会的微笑」の違いや発達の順番
  • 赤ちゃんが笑わない原因は、性格や発達の個人差、コミュニケーションの状況などさまざまであること
  • 「笑わない=発達障害・自閉スペクトラム症」とは断定できない理由と、専門家への相談のタイミング
  • 赤ちゃんの笑顔を引き出すために、今日からできる具体的な声かけやスキンシップ、生活環境の工夫
赤ちゃんの笑顔を見たり、あやした時に「キャッキャッ」と出す笑い声を聞いたりすると、自然に笑顔になってしまったり、疲れが吹き飛ぶような気持ちになる保護者の方も多いのではないでしょうか?特に3ヶ月を過ぎたころからは抱っこやあやされた際に声を上げて笑うことも多くなってきます。

それだけに、3ヶ月を過ぎたのに自分の赤ちゃんに笑顔があまり見られない、無表情であることが多いと不安に思う人も多いかもしれません。また、「何かの病気や発達障害の影響?」と心配になる方もいると思います。

赤ちゃんが笑わない原因には何があるのでしょうか。赤ちゃんがあまり笑わないかも?と思った時、まず確かめてみるべきことは保護者とのコミュニケーションが十分かどうか、ということです。

赤ちゃんは、まだ自分で言葉を使ってやりとりすることができません。ですが、赤ちゃんは抱っこなどのスキンシップや、大人からの声かけなどを感じ取っています。そしてこのような関わり一つひとつが、赤ちゃんの表情や感情表現の発達に結び付いています。

周囲の大人が赤ちゃんのお世話をする時に不安そうな顔をしたり、イライラした状態のままであったり、ただ無言で赤ちゃんを抱っこしたりすることが続いてしまうことはできる限り避けた方がいいでしょう。

また、赤ちゃんが笑わない原因として、病気や発達障害などの可能性があるのでは?と思う保護者の方も少なくないと思います。赤ちゃんの笑顔と病気・発達障害の関係性については、後ほど詳しくご説明します。

1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、赤ちゃんの笑顔はどう発達していくの?

そもそも、赤ちゃんの笑顔はどのように発達し、豊かな表情につながっていくのでしょうか。赤ちゃんの時に見られる笑顔は、生後間もなくの新生児微笑から始まり、社会的微笑、社会的・選択的微笑の3つの段階を経て発達していきます。

以下、それぞれがどのような笑い方で、いつごろ見ることができるのかご紹介します。

1ヶ月での笑顔は本能的な微笑み。新生児微笑

新生児微笑は、生まれた直後から生後1~2ヶ月ころまで見られることが多いと言われています。「微笑」という名が付いていますが、正確には赤ちゃんが微笑んでいるようにみえる現象です。つまり、赤ちゃんが「嬉しい」「楽しい」などと感じているから微笑んでいるという訳ではありません。単に神経の反射として顔の筋肉を動かしている様子が笑顔のように見えるのが新生児微笑です。他にも自発的微笑や生理的微笑と呼ばれることもあります。

ですが、周りの大人が新生児微笑を目の当たりにすると、「赤ちゃんが笑った!」と赤ちゃんへの愛おしさが増したり、もっと笑ってほしいからたくさんあやしたくなったりします。新生児微笑は生理的なものであるとはいえ、周りの大人を赤ちゃんに惹きつけるパワーがあるのです。
参考:赤ちゃんの発育発達と親子あそび|公益財団法人母子衛生研究会
https://www.mcfh.or.jp/jouhou/sodachi/shinseiji.html

3ヶ月から見られる3ヶ月微笑・社会的微笑

生後3ヶ月ころになると、赤ちゃんは抱っこなどをされると微笑みを返すようになります。これを社会的微笑といいます。また3ヶ月微笑といわれることもあります。人の顔によく反応しますが、この時期の社会的微笑は保護者などの身近な大人だけでなく、比較的誰に対しても微笑みを向けます。

また、母子健康手帳にも生後3~4ヶ月頃の項目に「あやすとよく笑いますか」とあるように、社会的微笑の出現は発達状況の目安にもなります。
参考:厚生労働省-母子健康手帳について(省令様式)
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/01/dl/s0115-2a2.pdf

6ヶ月頃から見られる社会的・選択的微笑

それまであまり区別せず色々な人に笑顔を見せていた赤ちゃんが、生後6ヶ月ほどになると、笑顔を見せる人を自分の意思で選択していくようになります。

つまり、保護者などいつも身近にいてあやしてくれたりお世話してくれたりする人を認識し、その人に対してよく笑いかけるようになります。一方で、初対面の人やたまにしか会わない人に対しては、ただじっと見つめたり、緊張したような表情を見せたりすることもあります。
0歳~6歳子どもの発達と保育の本 (Gakken保育Books)
河原紀子 (監修)
学研プラス
Amazonで詳しく見る

赤ちゃんが笑わない…サイレントベビー? 病気や障害が不安で気になる時は?

赤ちゃんが笑わない、笑顔を見せない様子が見られると、発達に遅れがあるの? サイレントベビーなの? と不安に思う保護者も少なくないと思います。サイレントベビーは診断名などではなく、表情や感情の表出が少ない赤ちゃんに対して一般的に使われている言葉です。

先ほど新生児微笑は生後1~2ヶ月頃までに見られ、社会的微笑は生後3ヶ月頃から見られる、などとご説明しましたが、これはあくまでも発達の目安です。赤ちゃんの発達には大きな個人差があります。そのため、先ほど挙げた月齢になっても赤ちゃんが笑わない、ということがあっても、それだけで過剰に心配することはありません。

また、保護者の中には、「赤ちゃんが笑わないのは、何か病気や障害があるから?」と不安になる方もいるかもしれません。

自閉スペクトラム症の子どもには、呼びかけやあやしに対してあまり反応がない、抱き上げても喜ぶ様子があまりないというような特徴が見られる場合があります。
ですが、赤ちゃんがあまり笑わないと感じたとしても、それだけで発達障害の影響だと断定することはできません。また、生後まもない赤ちゃんに発達障害があるかどうかは、現在の医学では確定できません。赤ちゃんが笑わない理由には、聴覚などの影響のほか、ただ性格の問題など、さまざまな原因が考えられるからです。
以上のことを踏まえ、それでも不安が残る場合や、赤ちゃんが笑わないということに加えて他にも気になる様子が見られる場合は、一度小児科など身近な窓口に相談してみるといいでしょう。

専門家に赤ちゃんがどのような様子か相談してみるだけでも、不安や困りごとが解消されることがあります。また、赤ちゃんの笑顔を引き出すコツやコミュニケーションの取り方についても教えてもらえるでしょう。

発達障害、自閉スペクトラム症かもと思ったら?

赤ちゃんが笑顔を見せない原因が思い当たらず、「発達障害かもしれない」「自閉スペクトラム症なのかも」と思ったときは、まずは専門機関に相談してみるといいでしょう。

どこに相談していいかわからないときは、かかりつけの小児科に相談することができます。小児科は風邪などの治療とともに、赤ちゃんの発達の様子を見守り、アドバイスや他の医療機関や支援機関の紹介なども行っています。

他にも赤ちゃんの健診を担当している市町村保健センターや児童相談所でも相談を受け付けていて、子どもの発達の専門家が話を聞いてくれます。他にも、自治体の子育て相談窓口などもありますので、市役所などのホームページを確認してみるといいでしょう。
ASD(自閉スペクトラム症)の診断・検査の内容は?【専門家監修】のタイトル画像

ASD(自閉スペクトラム症)の診断・検査の内容は?【専門家監修】

児童支援最大化バナー
PLUSバナー

笑顔のやり取りは赤ちゃんにとってどんな意味があるの?

そもそも、にこっと笑顔を見せたり、笑い声を出すということは、赤ちゃんにどんなことをもたらすのでしょうか。

自尊感情とコミュニケーションを取る楽しさを育む

先ほども触れたように、生まれたばかりの赤ちゃんが、言葉を使ってコミュニケーションを取ることはできません。ですが、保護者が笑顔で自分を見て、話しかけ、お世話してくれているということはきちんと理解しています。そして、このようなやり取りの中で赤ちゃんがコミュニケーションを楽しいと思う気持ちも育まれていきます。

言葉の獲得へつながる

笑顔のやり取りは言葉の獲得にも大きな意味を持ちます。赤ちゃんは社会的微笑ができるようになるに伴い、声も出るようになってきます。その後首がすわるようになるとさらに声が出るようになるので、「いないいないばあ」や「くすぐり遊び」など発声を引き出す遊びを多く取り入れていくといいでしょう。
0歳~6歳子どもの発達と保育の本 (Gakken保育Books)
河原紀子 (監修)
学研プラス
Amazonで詳しく見る

赤ちゃんの笑いを引き出すコミュニケーションの取り方は?

では、赤ちゃんが笑わない場合、笑顔を引き出していくためにはどのようにコミュニケーションを取っていけばよいのでしょうか。いくつかポイントとコツをご紹介します。

子育てをする大人が笑顔で赤ちゃんに接する

赤ちゃんの笑顔を増やしたい、表情豊かな子どもに育てたいと思うのであれば、子育てをする大人自身が笑顔で赤ちゃんに接していくことが大切です。

赤ちゃんはあやしてくれる人の表情をよく見ています。発達が不安なあまり、心配そうにあやしたり、ストレスを抱えた状態であやしたりすると赤ちゃんもその不安やストレスを敏感に感じ取ってしまうでしょう。このような環境では、赤ちゃんはあやしてくれる保護者に笑顔を見せることが少なくなり、表情が乏しくなることがあります。

赤ちゃんの笑顔を引き出すには、保護者自身が明るい気持ちでいられる環境を作り、赤ちゃんに対して自然と笑顔をみせられることが何より大切なのです。

赤ちゃんに対して語りかけたり、何か発した言葉をオウム返しする

赤ちゃんに対して「おっぱいたくさん飲んでお腹いっぱいだね」「おむつを替えて、すっきりしたね」などと赤ちゃんの気持ちを代弁するようにたくさん語りかけてあげましょう。また、赤ちゃんが「うーうー」「あーあー」などと声を出したら、そっくりそのまま真似して返してみましょう。

保護者から赤ちゃんにたくさん関わりかけることで、赤ちゃんは自分が発したことに応えてくれる人がいると感じ、そのやりとりを楽しいと感じます。このような語りかけやオウム返しの繰り返しによって、赤ちゃんの表情や感情がどんどん豊かになっていきます。
喃語(なんご)はいつから?喃語が出ない・遅い原因と発語を促す言葉がけの工夫【医師監修】のタイトル画像

喃語(なんご)はいつから?喃語が出ない・遅い原因と発語を促す言葉がけの工夫【医師監修】

テレビやスマホなどの電子機器の使用頻度に気をつける

テレビやスマートフォンは、子ども向けのコンテンツもたくさん登場しているので、子どもも夢中になって見てくれますよね。そのため、家事を進めたいときや1人で落ち着きたい時など、テレビやスマートフォンに子どもの相手をしてもらうという場合もあるでしょう。

ですが、テレビやスマートフォンは画面から一方的に刺激が与えられるものです。赤ちゃんがテレビやスマートフォンを見て笑ったとしても、これらの電子機器は赤ちゃんの笑いや反応一つひとつに対応している訳ではありません。それゆえに、テレビやスマートフォンに頼りすぎてしまうと、赤ちゃんの笑いや表情の豊かさを奪ってしまう可能性があります。

赤ちゃんにはできるだけ保護者や周りの大人含め、人との交流を大切にしてあげましょう。そうすることで、赤ちゃんの笑顔を引き出し、表情豊かに育っていくでしょう。

あやし方を変えてみる

しかし「子どもにはちゃんと笑顔で接しているし、語りかけもしている。なのにあまり笑わないのはなぜ…?」と思っている保護者もいるかもしれません。そんな時は、赤ちゃんのあやし方を変えてみるのも方法の一つです。

特に、他の大人にあやされた時は笑うのに、自分があやすと笑わないという場合は、あやし方が赤ちゃんの好みではない可能性があります。赤ちゃんとはいえ一人の人間なので、当然一人ひとり好みも変わってきます。

中には、母親の自分には笑ってくれないのに保育士には笑う、という悩みをもっていた方が、抱っこの仕方を変えたことで自分にも笑ってくれるようになった、という体験談もあります。

負担にならない程度に、あやし方や赤ちゃんへの接し方を色々試してみるのも一つの手です。

まとめ

赤ちゃんの笑いは、周りの大人を幸せにするだけでなく、赤ちゃん自身が健やかに育つために必要なものです。赤ちゃんの発達には個人差がつきものなので、なかなか笑わなくて気になる場合であっても不安になりすぎることはありません。

それでも赤ちゃんが笑わないな?と感じた時は、保護者がにこやかに赤ちゃんと接することができているか、細やかなコミュニケーションがとれているか、あたたかなスキンシップがとれているかについて、日々の子育てを振り返ってみましょう。振り返る中で何か思い当たる点があったら、その点を意識して子育てに取り組んでいくことで、赤ちゃんの笑顔を増やすことができるかもしれません。

いつも笑顔で赤ちゃんに接することは、とても難しいことですが、保護者が笑顔で子育てをすることが、赤ちゃんの笑顔を引き出すことにもつながります。しかし、「笑わない」こと以外にも気になる様子があったときは、家庭だけで抱え込まずにかかりつけの小児科や保健センターなど身近な窓口に相談するようにするといいでしょう。
子育て支援センターとは?サービス内容や活用方法/専門家監修のタイトル画像

子育て支援センターとは?サービス内容や活用方法/専門家監修

【専門家監修】愛着障害とは?医学的な診断名、愛着障害と発達障害との関連についてのタイトル画像

【専門家監修】愛着障害とは?医学的な診断名、愛着障害と発達障害との関連について

乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)とは?症状、予防法について紹介します!【医師監修】のタイトル画像

乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)とは?症状、予防法について紹介します!【医師監修】

ペアレントトレーニング(ペアトレ)とは?種類や効果など/専門家監修 のタイトル画像

ペアレントトレーニング(ペアトレ)とは?種類や効果など/専門家監修

児童支援最大化バナー
PLUSバナー


年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。