精神疾患かな?と思ったら…病院選びから治療、経済面・生活面などの支援、相談先、対応の仕方まで【精神科医監修】
精神疾患とは、何らかの脳の働きの変化により心理的な問題が生じ、感情や行動などに著しいかたよりがみられる状態のことです。国内の精神疾患の患者数は約392万人にものぼります。けして特別ではなく、身近な疾患であるといえます。この記事では精神疾患の治療方法・病院を選ぶポイント・精神疾患に苦しむ方への対応の仕方から経済面・生活面・社会復帰の支援まで紹介します。
精神疾患とは?
ですが、精神医学の領域においても「精神疾患」という言葉は、普遍的かつ確立された定義がありません。使われる場面や診断基準、医師によっても定義や概念にばらつきがあり、いまもなお見解の違いで議論が行われることもあります。
この記事では、こころや脳のはたらき、または発達の過程における問題により引き起こされる、思考、行動、感情のコントロールにおける医療の介入が必要な状態について、ひとまず「精神疾患」という言葉を用いて説明していきます。
精神疾患についての詳しい定義やどのような種類があるかについては以下の記事をご覧ください。
精神疾患とは?症状や診断方法ごとの種類、原因からチェック方法まで解説します【精神科医監修】
精神疾患の代表的な症状
疾患であるかどうかを決めるのは、症状の組み合わせと症状の程度、そして症状が続いている期間です。
しかし、精神疾患ごとに、それぞれ症状の組み合わせも程度も、判断の目安となる期間も異なります。以下において、精神疾患の代表的な症状を紹介いたしますが、あくまでも参考程度にとどめていただき、もし少しでも不安になった場合は専門機関に相談するようにしましょう。
・抑うつ気分:つらい・悲しい・憂鬱・むなしいなどの気持ちになり、気力がでない状態です。
・幻覚:実際には刺激や対象が無いのに、それについて生じている知覚のこと。幻聴が代表的ですが、幻視、体感幻覚などもあり、幻聴にもさまざまな種類があります。
・妄想:根拠が無い非合理で訂正不能な思いこみ。本人は妄想とは認識しにくいものです。
・離人:自分が自分であるという実感がしない、あるいは外界と自分との間に奇妙な隔たりを感じてしまう状態です。
・強迫:止めたい気持ちがありながらも、一方でそれをやらなければ気が済まないようにも感じ、同じ思考や行為を繰り返してしまうことを指します。
精神疾患をチェックする方法はあるの?
ここで注意していただきたいのは、以下に紹介するチェックリストは、何点以上なら病気であると判断するものではないということです。あくまでも、その傾向があるということを示すだけなので、チェック結果の意味づけについては医師と話し合う必要があります。
チェックして少しでも不安に思った場合は結果をもって医療機関に相談しましょう。
ストレスセルフチェック
職場でのストレスレベルを約5分程度で測定することができます。
精神疾患かな?と思ったら、どの病院の何科に行けばいいの?
診察はどのように行われるの?
次に、集めた情報や診察室で観察される症状から、総合的に診断を決めていきます。
おおむね以上のような流れで進みますが、医師により異なる手順をとる場合もあります。
各診療科の特徴
◇精神疾患が心配なら精神科、精神神経科、神経科
これらの科は、名前が異なりますが診ている病気は精神疾患で共通しています。
◇心理的な問題が関与している身体症状を解消したいなら心療内科
心療内科は、心理的な問題が原因で、胃潰瘍などの身体的な症状が出ている場合(いわゆる心身症)を対象としています。
とはいえ、軽いうつ病などの一部のこころの病気を診ている場合もあるので、もし通いたい心療内科がある場合は、事前に電話して、自分が抱える悩みが対象かどうか調べる必要があります。
◇認知症やてんかんが疑われるなら神経内科も
神経内科は、脳や脊髄、神経、筋肉の病気を主な対象としています。認知症やてんかんなどは精神科だけでなく神経内科でも診ています。
一部の神経内科では、こころの病気を診ている場合もあるので、気になる場合は電話して聞いてみる必要があります。
一般的には看板ごとに以上のような住み分けがされていますが、診療科名からどのような病気を対象としているのか確かめにくいこともあるので、あらかじめ電話やHPで確認するとよいでしょう。
精神疾患かな?と思った時に、病院を選ぶポイント
医療機関の専門性
以下のリンクでは診療科目や診療日、診療時間、どのような疾患を治療しているかなどの全国の医療機関の詳細を検索できます。是非ご活用ください。
精神科医の得意分野
受診前に、電話やインターネットのHPなどで問い合わせたり、どのような分野を得意としている医師が在籍しているのか調べたりすることをおすすめします。
医療機関が実施している治療プログラム
医療機関に配置されている専門スタッフ
カウンセリングを通じて心理的な問題を解決に導く臨床心理士 、デイケアなどで心身のリハビリテーションに携わる作業療法士 、言語機能の回復や発達に関わる言語聴覚士、これらの多職種や外部機関との連携をとり社会復帰をサポートする精神保健福祉士など、精神医療に携わる職種は多岐にわたります。
自分やご家族には今後どのようなサポートが必要なのか見極め、状況にあった医療機関を選びましょう。
医療機関の所在地、受診可能な時間帯
駅から遠かったり、受診可能な時間が自分の生活と合わなかったりすると、どうしても通いづらくて治療中断してしまう可能性もあるので、自分が通い続けられる場所かよく調べる必要があります。
医師との相性、セカンドオピニオン
医師に対して不信感を持ったまま診療を続けるより、信頼関係を構築できる医師を見つける方が、治療もうまくいきます。
どうしても相性が悪いなと思ったり、医師の説明に納得が行かない場合は、セカンドオピニオンを求めてみるのもひとつの方法です。
その場合、紹介状は必ずしも必要ではありませんが、新たに受診してみようとする医療機関に対し、セカンドオピニオン目的での診察を受けてくれるかどうか予め尋ねた方が良いでしょう。
最初にかかった医療機関に全てお任せするのではなく、 医療を使いこなすという姿勢 が大切です。
どの診療科に行くか迷った時に頼れる相談機関
そんな時は、お近くの精神保健福祉センターや保健所に連絡すると、専門家が相談に乗ってくれますので、気兼ねなく連絡してみましょう。
以下のリンクで、全国の精神保健福祉センター、保健所を検索できます。
精神疾患の治療法
身体的治療
心理的治療
たとえば、行動をよりよい方向に改善していく行動療法、患者のかたよって硬直した思考パターンを変えていく認知療法、無意識の葛藤や防衛を分析していく精神分析療法、クライエントの訴えを受容することに徹する来談者中心療法などが代表的です。
それらの技法をさまざまに取り入れた折衷的な方法が、日本における「カウンセリング」の主流となっています。その他にも自律訓練法、箱庭療法、遊戯療法、森田療法などがあります。
医療機関で精神科医が行う面接や心理的治療を「精神療法」、心理士が行うセラピーを「心理療法」と呼ぶことが一般的です。
入院した場合どのような治療が受けられるの?
・幻覚妄想状態
・著しい興奮状態
・躁状態
・重症な自殺念慮
・長く続いている重症うつ状態
などです。
(引用:Q.入院が必要となるのは、どのような時でしょうか?|日本精神神経学会)
精神疾患に苦しむ人への対応の仕方
その人が今どんな気持ちでいるのか、何に悩んでいるのかじっくりと時間をかけて話を聞きます。自分の価値観を押し付けたり、否定したりせず、ただただ聞き手に徹します。こころの不調に悩んでいるときは、ただ自分の気持ちを聞いてもらい、共感してもらうことで、いくらかでも癒やされるものです。
その際、気をつけるべきなのは、本人の苦しみを完全にわかっていると思い込んでしまうことです。
本人が味わっている苦しみを、その人と全く同じように感じることは不可能です。「わたしはあなたのことをわかっている」という思い込みは、一方的な価値観の押し付けにつながりやすく、本人を傷つけてしまうこともあります。
本人が抱えている問題を完全に理解することはできないことを心に留めつつ 回復してほしいと願っていること、そして、その人が悩んでいる問題は、その人自身の弱さや性格によるものではなく、もしかしたら医学的な問題であり専門家による治療が必要かもしれないこと を伝えます。
適切な援助を受けることがどれほど有益なのか具体的に伝え、信頼できる支援者を探す手伝いをすることが大切です。
精神疾患に苦しむ方が受けられる経済的な支援
自立支援医療(精神通院医療)
詳しくは、以下のリンクをご参照ください。
通院費を一部負担してくれる「自立支援医療制度」をご存知ですか?
高額療養費制度
以下のハンドブックの12-15ページをご参照ください。
都道府県の心身障害者医療費助成制度
各自治体ごとに、対象となる障害やその度合い、支援内容がかなり異なります。また、この助成を受けるにあたり注意点が2つあります。1点目は平成27年8月1日以降に新たに障害者の診断を受けた場合には、助成の対象とならないことです。2点目は、所得制限が定められているため、生計を同じくしている人の所得が一定額以上の場合には助成の対象外となることです。詳しくはお近くの市役所などにご相談ください。
障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)
詳しくは以下の記事をご参照ください。
精神障害者保健福祉手帳とは?判定基準やメリット、申請方法まとめ
障害年金
障害年金の障害認定基準は障害者手帳の障害認定基準と異なります。そのため障害者手帳で1級でも、障害年金では異なる場合があります。
詳しくは以下の記事をご参照ください。
障害年金とは?金額や受給条件、申請方法は?働きながら受給できる?【専門家監修】
精神疾患に苦しむ方が受けられる生活面の支援
行動援護
外出時における移動中の介護や排泄、食事などの介護、その他日常生活での行動の援助が行われます。精神障害による行動上著しい困難があり、常時介護を必要とする場合に利用できます。
詳しくは以下のサイトをご参照ください。
生活介護
精神障害者居宅介護等事業(ホームヘルプサービス)
利用対象者は、原則として精神障害者保健福祉手帳の保持者、あるいは障害者年金を受けている方で、かつ、日常生活に支障がある人です。
施設入所支援
詳しくは以下のサイトをご参照ください。
共同生活援助(グループホーム)
詳しくは以下のサイトをご参照ください。
短期入所(ショートステイ)
利用が可能な期間は基本的に7日以内で、事情がある場合は必要最小限の範囲で延長可能です。
グループホームなどの夜間のサービスは、自立訓練や就労移行支援、地域活動支援センターなどの昼間のサービスと組み合わせて利用するのが一般的です。
精神科訪問看護/精神科デイ・ケア(通院以外の治療)
精神科訪問看護
具体的には病状の観察と情報収集や日常生活の維持、対人、家族関係の調整や精神症状の悪化の予防、社会資源活用の補助等が行われます。
詳細は以下のリンクでご確認ください。
精神科デイ・ケア
利用時間や利用開始時間に応じてデイ・ケア、ショート・ケア、ナイト・ケア、デイ・ナイトケアなどの種類があります。
統合失調症やうつ病などの疾患別プログラムや、高齢者や思春期、青年期などの年代別プログラム、家事能力や復職支援などの目的別プログラムなど、様々な内容があります。施設により内容が異なります。
保健所や精神保健福祉センターで行っている場合は費用はかかりませんが、医療機関の場合はかかります。とはいえ、自立支援医療(精神通院医療)を利用すれば、自己負担額は減ります。
精神疾患に苦しむ方が受けられる社会復帰の支援
自立訓練(生活訓練)
たとえば、入所施設を退所した方や病院を退院した方、特別支援学校を卒業した方などが例に挙げられます。
宿泊型自立訓練
就労移行支援
詳しくは、以下の記事をご参照ください。
就労移行支援とは?就労継続支援との違い、対象者や利用期間、利用料などを解説
就労継続支援
地域活動支援センター
まとめ
こころの不調に悩んでいらっしゃる方へ
もし、長らく精神の不調に苦しまれているのなら、一度医療機関や相談機関に話を聞きに行くことをおすすめします。
自身にどのような傾向があるか知り、その対処法を知ることで、自分だけでは気づけなかった突破口が見つかるかもしれません。良い専門家に出会うかどうかで、生活が変わります。自分の苦しさを理解してくれる相性の良い専門家に出会うまで、諦めずに探してみることをおすすめします。
難しいことですが、気長に少しずつ、出来ることから着実に、ときには人の手を借りながら問題を一つひとつ解決していく心持ちが必要なのかもしれません。
ご家族がこころの不調に悩んでいらっしゃる方へ
本人と良好な関係を保ち、その方と共に生きていくためには一人で抱え込まないことが大切です。
家庭の中だけで解決しようとせず、少し勇気を出して、医療機関や支援サービス、経済的支援や相談窓口などを積極的に活用することをおすすめします。
精神疾患とは?症状や診断方法ごとの種類、原因からチェック方法まで解説します【精神科医監修】
うつ病の症状や診断|中学生など子どものうつ病や発達障害との関わりについて解説
双極性障害(躁うつ病)とは?原因・症状、治療法、周囲の関わり方についてわかりやすく解説します【精神科医監修】
統合失調症とは?症状や特徴、原因、治療法、薬などについて詳しく解説します
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説【精神科医監修】
子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪を起こす原因や発達障害との関連は?しんどいときの対応方法、相談先まとめ【専門家監修】
大人の癇癪(かんしゃく)とは?感情のコントロールができない…発達障害との関連は?【専門家監修】