精神疾患かな?と思ったら…病院選びから治療、経済面・生活面などの支援、相談先、対応の仕方まで

精神疾患かな?と思ったら…病院選びから治療、経済面・生活面などの支援、相談先、対応の仕方までのタイトル画像

精神疾患とは、何らかの脳の働きの変化により心理的な問題が生じ、感情や行動などに著しいかたよりがみられる状態のことです。国内の精神疾患の患者数は約392万人にものぼります。けして特別ではなく、身近な疾患であるといえます。この記事では精神疾患の治療方法・病院を選ぶポイント・精神疾患に苦しむ方への対応の仕方から経済面・生活面・社会復帰の支援まで紹介します。

発達障害のキホン
70714 View
監修: 山科満
中央大学文学部教授
精神科医,臨床心理士
目次 精神疾患とは? 精神疾患の代表的な症状 精神疾患をチェックする方法はあるの? 精神疾患かな?と思ったら、どの病院の何科に行けばいいの? 精神疾患かな?と思った時に、病院を選ぶポイント 精神疾患の治療法 精神疾患に苦しむ人への対応の仕方 精神疾患に苦しむ方が受けられる経済的な支援 精神疾患に苦しむ方が受けられる生活面の支援 精神科訪問看護/精神科デイ・ケア(通院以外の治療) 精神疾患に苦しむ方が受けられる社会復帰の支援 まとめ

精神疾患とは?

精神疾患とは、広義に解釈すると、 なんらかの脳の働きの変化により心理的な問題が生じ、感情や行動などに著しいかたよりがみられる状態のことです。

ですが、精神医学の領域においても「精神疾患」という言葉は、普遍的かつ確立された定義がありません。使われる場面や診断基準、医師によっても定義や概念にばらつきがあり、いまもなお見解の違いで議論が行われることもあります。

この記事では、こころや脳のはたらき、または発達の過程における問題により引き起こされる、思考、行動、感情のコントロールにおける医療の介入が必要な状態について、ひとまず「精神疾患」という言葉を用いて説明していきます。

精神疾患についての詳しい定義やどのような種類があるかについては以下の記事をご覧ください。
精神疾患とは?症状や診断方法ごとの種類、原因からチェック方法まで解説しますのタイトル画像

関連記事

精神疾患とは?症状や診断方法ごとの種類、原因からチェック方法まで解説します

精神疾患の代表的な症状

精神疾患には様々な種類の疾患があり、疾患ごとに症状も大きく異なります。また症状の種類も多種多様です。とはいえ、抑うつや不安などに代表されるように、精神疾患の症状のほとんどは一般の人でも経験するよくあるものです。

疾患であるかどうかを決めるのは、症状の組み合わせ症状の程度、そして症状が続いている期間です。

しかし、精神疾患ごとに、それぞれ症状の組み合わせも程度も、判断の目安となる期間も異なります。以下において、精神疾患の代表的な症状を紹介いたしますが、あくまでも参考程度にとどめていただき、もし少しでも不安になった場合は専門機関に相談するようにしましょう。

・抑うつ気分:つらい・悲しい・憂鬱・むなしいなどの気持ちになり、気力がでない状態です。
・幻覚:実際には刺激や対象が無いのに、それについて生じている知覚のこと。幻聴が代表的ですが、幻視、体感幻覚などもあり、幻聴にもさまざまな種類があります。
・妄想:根拠が無い非合理で訂正不能な思いこみ。本人は妄想とは認識しにくいものです。
・離人:自分が自分であるという実感がしない、あるいは外界と自分との間に奇妙な隔たりを感じてしまう状態です。
・強迫:止めたい気持ちがありながらも、一方でそれをやらなければ気が済まないようにも感じ、同じ思考や行為を繰り返してしまうことを指します。

精神疾患をチェックする方法はあるの?

全ての精神疾患をご自身でチェックする方法はありませんが、うつ病などの個々の病気を評価する尺度はあるので、以下に紹介いたします。

ここで注意していただきたいのは、以下に紹介するチェックリストは、何点以上なら病気であると判断するものではないということです。あくまでも、その傾向があるということを示すだけなので、チェック結果の意味づけについては医師と話し合う必要があります。

チェックして少しでも不安に思った場合は結果をもって医療機関に相談しましょう。

ストレスセルフチェック

以下のリンクでは、厚生労働省がストレスチェックを実施する際に推奨する「職業性ストレス簡易調査票フィードバックプログラム」に基づいて制作されたテストが簡単に行えます。

職場でのストレスレベルを約5分程度で測定することができます。

CES-D うつ病(抑うつ状態)自己評価尺度

CES-Dは一般人がご自身でのうつ病を発見する目的で米国国立精神保健研究所により開発された自己評価尺度です。

質問項目は20問で所要時間は10-15分、対象年齢は15歳からとなっています。

精神疾患かな?と思ったら、どの病院の何科に行けばいいの?

診察はどのように行われるの?

まず患者本人およびその家族から、主訴(何に困っているのか)、現病歴、既往歴(以前かかっていた病気のこと)、家族歴、生活史、家庭環境や職場環境などを聞き出します。

次に、集めた情報や診察室で観察される症状から、総合的に診断を決めていきます。

おおむね以上のような流れで進みますが、医師により異なる手順をとる場合もあります。

各診療科の特徴

精神疾患をみる診療科は精神科や精神神経科、心療内科や神経内科など、かなり名称にばらつきがあります。

◇精神疾患が心配なら精神科、精神神経科、神経科
これらの科は、名前が異なりますが診ている病気は精神疾患で共通しています。

◇心理的な問題が関与している身体症状を解消したいなら心療内科
心療内科は、心理的な問題が原因で、胃潰瘍などの身体的な症状が出ている場合(いわゆる心身症)を対象としています。
とはいえ、軽いうつ病などの一部のこころの病気を診ている場合もあるので、もし通いたい心療内科がある場合は、事前に電話して、自分が抱える悩みが対象かどうか調べる必要があります。

◇認知症やてんかんが疑われるなら神経内科も
神経内科は、脳や脊髄、神経、筋肉の病気を主な対象としています。認知症やてんかんなどは精神科だけでなく神経内科でも診ています。
一部の神経内科では、こころの病気を診ている場合もあるので、気になる場合は電話して聞いてみる必要があります。

一般的には看板ごとに以上のような住み分けがされていますが、診療科名からどのような病気を対象としているのか確かめにくいこともあるので、あらかじめ電話やHPで確認するとよいでしょう。

精神疾患かな?と思った時に、病院を選ぶポイント

どの医療機関を受診するか迷ったときのポイントを紹介いたします。

医療機関の専門性

医療機関により、どのような病気を専門としているか異なるので、まず、その医療機関が何を専門としているのか調べる必要があります。

以下のリンクでは診療科目や診療日、診療時間、どのような疾患を治療しているかなどの全国の医療機関の詳細を検索できます。是非ご活用ください。

精神科医の得意分野

精神科医にも、統合失調症に詳しい医師や発達障害の治療に慣れている医師など、それぞれ得意分野があります。

受診前に、電話やインターネットのHPなどで問い合わせたり、どのような分野を得意としている医師が在籍しているのか調べたりすることをおすすめします。

医療機関が実施している治療プログラム

医療機関の専門性の他に、どのような治療プログラムがあるのかも調べることをおすすめします。医師の診察とは別に、カウンセリング、作業療法、その他様々な治療プログラムを行っている場合があります。

医療機関に配置されている専門スタッフ

また、その医療機関がどのようなスタッフを配置しているのかも医療機関の性質を知る上で参考になります。

カウンセリングを通じて心理的な問題を解決に導く臨床心理士 、デイケアなどで心身のリハビリテーションに携わる作業療法士 、言語機能の回復や発達に関わる言語聴覚士、これらの多職種や外部機関との連携をとり社会復帰をサポートする精神保健福祉士など、精神医療に携わる職種は多岐にわたります。

自分やご家族には今後どのようなサポートが必要なのか見極め、状況にあった医療機関を選びましょう。

医療機関の所在地、受診可能な時間帯

精神疾患は通院治療が必要な期間が長くなることが多いので、通いやすさを十分考慮する必要があります。

駅から遠かったり、受診可能な時間が自分の生活と合わなかったりすると、どうしても通いづらくて治療中断してしまう可能性もあるので、自分が通い続けられる場所かよく調べる必要があります。

医師との相性、セカンドオピニオン

診察・治療を担当する医師との相性は特に大切です。実際に医師と話してみて、ご自身がどのように感じるのかで相性の良し悪しを判断しましょう。

医師に対して不信感を持ったまま診療を続けるより、信頼関係を構築できる医師を見つける方が、治療もうまくいきます。

どうしても相性が悪いなと思ったり、医師の説明に納得が行かない場合は、セカンドオピニオンを求めてみるのもひとつの方法です。

その場合、紹介状は必ずしも必要ではありませんが、新たに受診してみようとする医療機関に対し、セカンドオピニオン目的での診察を受けてくれるかどうか予め尋ねた方が良いでしょう。

最初にかかった医療機関に全てお任せするのではなく、 医療を使いこなすという姿勢 が大切です。

どの診療科に行くか迷った時に頼れる相談機関

どの病院のどの診療科に行けばいいのか迷ったり、そもそも受診すべきか迷ったりすることもあるのではないでしょうか?

そんな時は、お近くの精神保健福祉センター保健所に連絡すると、専門家が相談に乗ってくれますので、気兼ねなく連絡してみましょう。

以下のリンクで、全国の精神保健福祉センター、保健所を検索できます。

精神疾患の治療法

精神疾患の治療法は、大きく分けて身体的治療心理的治療の2つに分かれます。以下、それぞれについて紹介いたします。

身体的治療

代表的なものが、薬物を用いた薬物療法です。他に、高照度光刺激療法、修正型電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激法(けいとうがいじきしげきほう)などの身体に物理的に働きかける療法を指します。

心理的治療

身体療法とは対照的に、心理的な手段を用いて患者の心身に働きかけるもので、さまざまな理論・アプローチがあります。

たとえば、行動をよりよい方向に改善していく行動療法、患者のかたよって硬直した思考パターンを変えていく認知療法、無意識の葛藤や防衛を分析していく精神分析療法、クライエントの訴えを受容することに徹する来談者中心療法などが代表的です。

それらの技法をさまざまに取り入れた折衷的な方法が、日本における「カウンセリング」の主流となっています。その他にも自律訓練法、箱庭療法、遊戯療法、森田療法などがあります。

医療機関で精神科医が行う面接や心理的治療を「精神療法」、心理士が行うセラピーを「心理療法」と呼ぶことが一般的です。

入院した場合どのような治療が受けられるの?

日本精神神経学会では、精神科の入院が適応となる状態を以下のように記しています。

・幻覚妄想状態
・著しい興奮状態
・躁状態
・重症な自殺念慮
・長く続いている重症うつ状態
などです。
(引用:Q.入院が必要となるのは、どのような時でしょうか?|日本精神神経学会HP)

出典:https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=2
入院した場合、身体的治療や狭義の心理的治療に加えて、生活、社会機能の改善を目的に、集団精神療法やレクリエーション療法、作業療法、家族への心理教育プログラムなどがおこなわれます。

精神疾患に苦しむ人への対応の仕方

当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
あわせて読みたい関連記事

あわせて読みたい関連記事

発達障害のキホンを知る

発達障害のキホンを知る

この記事を書いた人

発達障害のキホン さんが書いた記事

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説のタイトル画像

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説

PTSDは、つらいできごとがトラウマとなり、さまざまな症状を発症する疾患です。発症すると、そのできごとに関わる人・場所を過度に避けたり、考...
発達障害のこと
282780 view
2018/12/09 更新
子どもの癇癪(かんしゃく)とは?原因、発達障害との関連、癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめのタイトル画像

子どもの癇癪(かんしゃく)とは?原因、発達障害との関連、癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめ

大声で泣き叫んだり、暴れたりする子どもに困っている…。一旦気持ちが爆発するとなかなか収まらない癇癪ですが、子どもが癇癪を起こす背景には必ず...
発達障害のこと
914484 view
2018/12/07 更新
難病の軽症高額該当で、医療費助成の対象外でも支援が受けられる?制度該当条件などを詳しく解説します!のタイトル画像

難病の軽症高額該当で、医療費助成の対象外でも支援が受けられる?制度該当条件などを詳しく解説します!

難病法には重症度基準が設けられ、病状の程度が一定以上の人は、医療費助成の対象となります。しかし、指定難病の診断を受けていても、治療により症...
身のまわりのこと
7387 view
2018/12/04 更新
放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。