理学療法士(PT)とは?仕事内容や資格の取得方法は?理学療法の受け方や発達障害の人への支援内容は?

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理学療法は英語ではPhysical Therapyと呼ばれ、主に身体的手段と物理的手段を用いて行う治療法のことを指します。理学療法は主に運動機能のトレーニングを行ないます。
この記事では理学療法士の仕事内容、資格の取り方から、理学療法を受けるにはどうしたらよいかまでくわしくご紹介します。

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監修: 島袋 亨平
理学療法士
株式会社琉球マインド 発達支援ルーム琉りゅう
目次 理学療法士とは? 理学療法士の仕事は? 理学療法士と作業療法士の違い 理学療法士になるには 理学療法士が支援する対象 理学療法士が支援する期間 理学療法士のサービスを受けるには? 発達障害支援における理学療法は? まとめ

理学療法士とは?

理学療法とは?

理学療法は英語ではPhysical Therapyと呼ばれ、主に身体的手段と物理的手段を用いて行う療法のことを指します。

理学療法で用いる身体的手段とは主に運動のことを指しています。身体的手段を用いる場合、体操や歩行練習などによって状態の回復や改善を目指します。また物理的手段とは、電気や水、光線などを意味します。温熱や電気刺激などを用いて理学療法を行います。

「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。

出典:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40HO137.html

理学療法士(PT)とは?

上記のような理学療法を用いて実際に治療を行う人々のことを理学療法士(PT)と言います。

理学療法士は「理学療法士及び作業療法士法」に基づく国家資格のうちの一つであり、他の作業療法士や言語聴覚士と同じように医師や他の医療関係者と連携しながら医療を支えています。けがや病気、高齢などさまざまな理由から日常生活に必要な基本動作が難しい人々に対してリハビリテーションを行い、自立した生活が送れるようになるまでサポートをするのです。

医療をはじめ、介護や教育、スポーツの分野でも人々を広く支援する理学療法士について、今回は詳しくご説明します!

理学療法士の仕事は?

理学療法士の仕事は、病気やケガからの回復を促すことだけではありません。一人ひとりの生きがいやその人らしさをサポートすることもまた、理学療法士の大切な仕事のひとつです。多岐に渡る理学療法士の仕事には、以下のようなものがあります。
・理学療法プログラムの作成…理学療法を受ける人についての情報を収集・分析し、その人にあった治療法について考えます。

・身体の状況についての評価・分析…さまざまな検査を用いて個々の痛みや身体機能について評価・分析します。

・基本動作能力の改善…立つ、座る、歩くなどの基本動作を支援します。

・運動療法…運動療法を用いて、より身体に負担の少ない動き方の指導を行います。

・物理療法…マッサージや温熱などの物理療法を用いて、痛みの軽減や麻痺の回復を行います。

・自立支援…自立した生活が送れるよう、地域やご自宅においてのアドバイスを行います。

理学療法士と作業療法士の違い

理学療法士と似た職業として、作業療法士という資格があります。両者とも国家資格をもち、治療を受ける人のリハビリテーションを行う専門家ですが、どのような違いがあるのでしょうか?

理学療法士は、からだの基本的な機能回復・獲得をサポートします。基本的な機能回復とは、寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩くなどの日常生活を行う上で基礎となる動作の改善のことを言います。

例えば患者が脚を骨折したとき、理学療法士は運動療法や物理療法などを用いて、その部分を曲げたり、伸ばしたりできるよう、身体の基礎的機能の回復をサポートします。

一方作業療法士はまず、その人がどのような生活をしたいのかを考え、障害のない日常生活を送るために必要な機能回復・獲得を考えます。その上で、着替える、入浴をする、散歩するなどの作業を通して脚の機能回復を支援します。
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理学療法士になるには

先にも少し触れたとおり、理学療法士は「理学療法士及び作業療法士法」に基づき、厚生労働大臣によって免許が与えられる国家資格です。

そのため、理学療法士になるためには年に一度の国家試験に合格しなければなりません。国家試験を受験するためには、理学療法士の養成課程が存在する学校で3年以上学び、そこで単位を取得することが求められます。

養成校を卒業することができ、試験に合格したら、見事理学療法士への道が開けることとなります。例年、理学療法士国家試験の合格率は70%~90%程度になっています。2016年の合格率は74.1%、2017年の合格率は90.3%でした。

理学療法士が支援する対象

理学療法は、日常生活における身体動作に障害がみられる方、または障害が予測される方を対象としています。運動機能の低下を招いた原因は問われません。(けが、病気、高齢など)

■身体機能に障害がある方
以下のような病気によって日常生活において必要な動作が難しい人が対象となります。

・骨折・外傷…手足、脊髄の骨折や腰痛、四肢の切断など物理的に身体を動かすことが難しい状態にある方

・呼吸・心臓…肺炎などの呼吸器疾患や、心筋梗塞などの心疾患によって呼吸に困難を抱える方

・中枢神経…脳卒中やパーキンソン病など、身体の麻痺や動作能力に障害がある方

・その他…糖尿病、メタボリックシンドロームなどから、専門家の指導が必要とする方

■高齢期の方
高齢や術後の体力低下によって身体機能に障害がある方、近い将来に介護が必要となることが予測される方、自宅にこもりきりになりがちな方など。

■発達時期に障害がある子ども
診断の有無に拘わらず、運動発達に遅れが見られるお子さんが対象となります。たとえば寝返り、ハイハイや歩行など、日常生活で使われる基本動作が苦手なお子さんなどが当てはまります。

このほかにもパフォーマンスの向上を目指す運動選手など、幅広い人々に対してサービスを提供しています。

理学療法士が支援する期間

急性期

急性期とは、手術の直後や発症早期で病状が不安定なときのことを指します。病状の安定や症状の回復を目指し、リスク管理を行いながら理学療法を行います。この時期に行われる理学療法には、麻痺に対する治療や、痛み治療などがあります。またその後の順調な回復につなげるため、杖や装具の使い方の指導も行います。

回復期

回復期とは、病気やけがの状態が安定したときのことを指します。この時期は理学療法を積極的に行える時期でもあり、社会参加や社会復帰を目的とし、医療専門職がチームとなってリハビリテーションを行います。

生活期

生活期とは、自宅や施設においてその人らしい生き方をサポートする時期です。回復期から獲得してきた能力の維持・向上を目指します。豊かな生活を支援するため、暮らしやすい生活の調整や家族に対する介助方法のアドバイス、社会参加のサポートなども行っています。

理学療法士のサービスを受けるには?

理学療法士によるサービスは、病院、診療所、老人保険施設、老人ホームなどの介護保険関連施設において受けることができます。ただし理学療法を治療として受けるためには医師からの指示が必要となります。

入院中・通院中の方

主治医・担当医にご相談ください。医師によって理学療法が必要かどうかの判断がなされます。必要だと判断され、またご利用されている医療機関に理学療法科やリハビリテーション科がある場合、治療を受けることができます。

高齢者の方

・障害のある方
運動機能の維持や向上、社会活動の充実、また住宅改修などをご希望の場合、またはリハビリテーション・訪問リハビリテーションを希望される場合、かかりつけ医やケアマネージャー、市町村介護保険課にご相談ください。

・身体機能の低下が気になる方
身体機能の低下を未然に防ぐための事業として、介護予防事業というものがあります。ご希望の方は市町村老人保険担当課、または地域包括支援センターへお問い合わせください。

障害のある方

障害のある方は障害者支援施設において理学療法が受けられる場合があります。ご希望の場合は福祉事務所までご相談ください。

また、お子様の発達が気になる方は乳幼児健診での相談、または市町村保健センターや保健師への相談をおすすめします。

発達障害支援における理学療法は?

発達障害において、その特性は「コミュニケーション・社会性の障害」と認識されることが多いですが、それと同時に、運動のぎこちなさや不器用さがみられる場合があります。

そのような場合、自閉症スペクトラムや運動発達遅滞、注意欠陥・多動性障害などの子どもに対して理学療法が行われることがあります。

「歩いていてなにか転びそうで不安」「模倣するのが苦手」などボディーイメージの未熟さなどがみられる場合に理学療法を勧めると良い場合があります。また、社会性やコミュニケーションを取ることが苦手など精神面や、鉛筆やスプーンをうまく握れないなど巧緻性の面に苦手さがある場合にも作業療法がすすめられることもあります。

発達障害のある子はどのような動作が苦手なの?

定型発達において獲得する、寝返りや、四つ這い(ハイハイ)などの獲得までに時間を要する場合があります。また、歩行を獲得してもふらつきや動揺が大きい子どももいます。

また、身体機能において、ボディーイメージ・運動企画の未発達さ見られるため、姿勢を保つことが難しかったり、手と手、手と足などの協調運動が難しかったり、なにかをしながら同時に別のことをする二重課題などが苦手な子どももいます。

理学療法では発達障害のある子に具体的にどのような療法をするの?

ボディーイメージ・運動イメージに未熟さがある場合には、模倣をさせたり、縄梯子やジャングルジムなどの遊具を使用して、遊びの中で身体を使い、ボディーイメージの発達を促します。

また、キャッチボールやボールキックなどを行い協調運動の発達を促していくことがあります。他にも、バランスボールなどを使用して、ボールの上で倒れないようバランスを取ってもらい体幹の筋緊張を高めたりして、歩行の動揺を減少させるようにすることもあります。

少し頑張れば到達できる課題を提供し、子どもが「できた」という喜びを感じることができた時に、療育の成果が表れます。一つ苦手なことを成し遂げることができたことで、以前できていなかったことができるようになることがあり、それは子どもの自己肯定感を高めます。

理学療法士は、子どものできることが増えていくことで、自信につなげ自ら取り組むことができるように子どもの心身の発達を支援していってくれる心強い存在です。

まとめ

理学療法士とは、立つ・座る・歩くなど日常生活に必要な基本動作をサポートすることにより、その人の自立した生活を支援する専門家です。

病気が原因で障害を抱える人だけでなく、高齢により身体機能の低下が懸念される人や、スポーツでさらなる身体機能の向上を目指す人など、あらゆる人のさまざまなライフステージにおいて人生を応援してくれる人とも言えます。

発達に遅れがみられる子どもに対するサポートも手厚く行う理学療法士の存在は、発達が気になるお子さんを持つ保護者の方にとっても強い味方となることでしょう。
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