「自閉症の長男のために私が頑張らないと」思いつめる私に先生が教えてくれた、一番大切なこと
ライター:シュウママ
自閉症の長男は小学校に入学するまで療育施設に通っていました。そこでは月に1回、厳しいと評判の心理療法士さんによる発達検査があります。初めての検査の日、検査にならない長男の様子に、怒られるのではないか…。そうびくびくしていた私に先生がかけた言葉は、全てのお母さんに知ってほしいことでした。
療育で変化が見られない長男。母である私がもっとできることはないの…?
我が家の長男は重度の自閉症のため、3歳から療育施設に通っていました。けれど通い始めて最初の1ヶ月、長男の行動には目立った変化はありません。せめて私の声かけに反応できるようになれば…
そう期待していましたが、自宅では、読みきかせてあげようとした絵本を破り、ひたすらボールを回しています。
このままでいいのだろうかー私がもっと努力して絵本に目を向けさせ、ボールを取り上げて他の遊びを覚えさせたほうがよいのだろうかーそんなことを悶々と考えてしまいます。そんな矢先、療育の先生から心理療法士さんの発達検査を受けてみないかというお誘いがありました。
そう期待していましたが、自宅では、読みきかせてあげようとした絵本を破り、ひたすらボールを回しています。
このままでいいのだろうかー私がもっと努力して絵本に目を向けさせ、ボールを取り上げて他の遊びを覚えさせたほうがよいのだろうかーそんなことを悶々と考えてしまいます。そんな矢先、療育の先生から心理療法士さんの発達検査を受けてみないかというお誘いがありました。
初めての発達検査の担当は怖そうな心理療法士さん。ドキドキしながら見守ります
発達検査は教室とは別の部屋で行われました。療法士さんは厳しいと評判の女の先生です。机を隔てて長男と先生が対面する形で座り、私はその様子を離れて置かれた椅子に腰掛けて見ています。
机の上には、検査に必要な人形や積み木、帽子や靴が置かれています。
机の上には、検査に必要な人形や積み木、帽子や靴が置かれています。
まず先生は長男に対し「このお人形に帽子をかぶらせてくれるかな」と問いかけました。すると長男は人形をさっと取ったのですが予想外の行動をします。
「くつをはかせてくれるかな」と先生がさらに問いかけると長男は人形を床に投げました。そんな長男の様子を見ながら、私はたらっと冷や汗が流れました。
先生は厳しい目で長男を見て、手元にあるノートになにやら書き込んでいます。もはや検査にならないことは明らかです。
明らかにイライラしている長男、厳しいと評判の女の先生、しーんとした室内の空気…。耐えられなくなった私は先生におそるおそる聞きました。
先生は厳しい目で長男を見て、手元にあるノートになにやら書き込んでいます。もはや検査にならないことは明らかです。
明らかにイライラしている長男、厳しいと評判の女の先生、しーんとした室内の空気…。耐えられなくなった私は先生におそるおそる聞きました。
「お母さん!」先生の大きな声に思わずビクリ
すると先生はぱっと顔をあげ、私の方に目線を合わせると大きな声で言いました。
「責められる…」
先生の声に私も思わずびくっとなります。すると先生は声のトーンを落として続けます。
「お子さんを療育していくための場所です。つまりお母さんの代りに教育してくれているんですよ。余計なことを考えない!」
そして先生はふっと笑顔になりました。
先生の声に私も思わずびくっとなります。すると先生は声のトーンを落として続けます。
「お子さんを療育していくための場所です。つまりお母さんの代りに教育してくれているんですよ。余計なことを考えない!」
そして先生はふっと笑顔になりました。
3度のご飯を食べさせ、寝る布団を用意する――それは母親として当たり前のことで褒められるべきことではないと思っていました。
けれど「それだけでいいんだよ、十分なんだよ」、その言葉を他人からかけてもらえた瞬間、私は涙ぐみそうになるのを必死でこらえました。
けれど「それだけでいいんだよ、十分なんだよ」、その言葉を他人からかけてもらえた瞬間、私は涙ぐみそうになるのを必死でこらえました。