”理系ラブ”な私は、算数障害。叶わぬ恋経て、オトナになって

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「好きこそものの上手なれ」なんて言葉があるけれど、本当かな?好きなら必ず得意になれる?不得意なら嫌いになっちゃう?そんなことを繰り返し考えていた若い日の私の、切ない恋?のお話。

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高校生の進路相談、私の希望を先生が二度見したのは

「これ、間違いじゃないわよね?」

進路相談の場で、担任・F先生は戸惑うように私を見つめた。その高校では2年生から大学進学コースの文系及び理系、専門学校及び就職希望者のためのコース、3通りのクラスに分かれるのであった。1年生の冬に希望コースを決め、それに基づいて進路相談をする。向かい合わせに座った私は、きっぱりと答えた。

「間違いじゃないです」

私が用紙にチェックを入れたのは「進学・理系コース」。

彼女が驚くのも無理はない。なぜなら私は算数障害だからだ。
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あいまいさのない、数字の世界が大好きだった

高校1年生の初夏、中間テストの返却時。

「人には得意不得意があるとは言いますが、こんなにも差が開く人もいるのか、と驚きましたね」
F先生の言葉に、クラス中がどっと笑った。誰なんだろう、どれくらい差があったのだろう。私も笑っていた。

成績表を渡され、私の笑顔は凍りつくことになる。“こんなにも差が開く人”は、他でもない私だったからだ。

現代国語と古文、英語のリーディング及びグラマーは、ケアレスミスによる1点マイナスで99点。数学は三択問題1問だけが正解して、3点だった。我ながら衝撃的過ぎて、他の教科の点数を覚えていないほどだ。

何が衝撃かというと、点数の激しい開きだけではない。私は授業を理解しているつもりでおり、なおかつ家では数学の予習復習ばかりしていたから。

そこまでやって、3点。

しかも三択問題。解せない。本当に解せない。好きこそものの上手なれというではないか。そう、私は数学や理系教科が大好きだった。
衝撃を受けてはいたが、自分が計算について不得手であることを、このときに知ったわけではない。

小学校低学年のころは、さしたる周囲との差はなかったように思える。「あれ?」と感じ始めたのは、図形の面積、立体の体積の計算を覚えるころだった。計算が複雑になり、情報が増えるにつれ、数字や計算記号そのものを認識しにくいと感じている自分に気付いたのだ。

いくら公式や方程式、考え方がわかっていたところで、土台がガタガタなのだから、正解が出せるはずもない。当時は発達障害だなんて思いもしないから、「学習不足であるに違いない」と、算数や数学の勉強ばかりに勤しんだ。

断っておくが、私は努力家でも何でもない。なんというか、片思いの相手の気を引こうとして、あの手この手を尽くしているような気持ちだったとでも言うべきか。そしてテストで赤点を取るたびに、こっぴどく振られたかのように落ち込んでいたのだ。

それでも理系に進みたかったのは、勉強するのが楽しかったら。後に自閉症スペクトラムと診断される私は、曖昧さのない数字や計算の世界を愛していた。

しかし、大学時代は「楽しい」だけで過ごせても、社会ではそうはいかない―先生にそうした現実を突きつけられ、説得された。私はギリギリまで悩んだが、将来を考え、もうひとつの大好きな道、言葉の世界に進むことを決断、文系にコース変更。そこに一抹の寂しさがなかったわけではないが…

恋に破れた私と、数字に愛された息子

進路変更をした直後、とあるご縁により、私はアルバイトとして原稿納入の仕事を始めた。そして兼業の期間もありつつ、ライターの仕事をしている。訳あって高校を中退、進学はしていないのだが、結局文系の道を歩んでいるというわけだ。

そして自閉症スペクトラムとADD(注意欠陥障害)の診断を受け、同時に算数障害であることを知らされる。

そう、私は数字に振られていたわけではない。単に住む世界が違っただけ。叶わぬ恋なのは当たり前の話。

現在は、慎重に見比べた上で電卓を使うなどの注意や工夫をし、生活に支障がない程度に数字と付き合うことができている。

数字や科学等、理系っぽいものは今でも大好きだが、恋というよりただのファン。そう割り切っており、科学館へ遊びに行ったり、実験キットで楽しむ程度だ。
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息子の自由帳。学習としてではなく、楽しみとして計算している。
Upload By 鈴木希望
共に暮らす小学2年生の息子は、数字が好きで、なおかつ計算が得意。絵を描くように計算式をノートに綴る彼を見て、羨ましいような切ないような気持ちになりつつ、私は文系の道を選んだことを、決して後悔はしていない。

でも、もし担任教師の反対を押し切って理系の道に進んでいたら、どうだっただろう。

たらればの話をしても仕方がないが…

うん、それはそれで幸せだったに違いない。多分ね。
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