出かけることが怖い。下された診断は…

ある日突然発症したパニック障害。その日から私の世界は一変してしまい…の画像
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これまで発達障害の息子と一緒に新しい場所で出かけることの大変さは何度も記事にも書いてきましたが、なんともはや、自分のほうが息子よりも出かけられる場所が少なくなってしまったのです。本当にある日を境に、生活がガラリと変わってしまいました。

悩んだ私は病院に行き、くだされた診断名は「パニック障害」

診断名を聞いた私は「ポカーン」です。だって、「パニック障害」なんて、自分とは遠くかけ離れた病気だとずっと思っていたのですから。テレビで見たり、友達で苦しんでいる人の話を聞いたりしても、「自分はそんな病気になることはないなあ」となんの根拠もなく思っていました。しかし、ある日突然、パニック障害に行動全てを制限されてしまう日がやってきたのです。

海外を飛び回り、育児も友達づきあいもとにかく思いつくままに動いていた私は、「自分に負けた」という気持ちでいっぱいになりました。しかし、そんな私にパニック発作は容赦なく襲いかかり続けました。

息子の晴れの卒園式も入学式も発作との闘い。仕事の打ち合わせも発作との闘い。毎月のように乗っていた電車は、恐怖の対象でしかありませんでした。怖い、怖い、何もかも怖い。そのやるせなさと孤独感は、言葉で言い表せないものでした。

過去の活動的だった自分のことを思い出して、何度も涙を流しました。ドラマのセリフじゃないですけど、「もうあの頃には戻れない」という思いでいっぱいでした。

パニック障害に追いつめられて

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このように、パニック発作を恐れる状態を「予期不安」といい、予期不安によって特定の場所を避けるようになる行動を「広場恐怖」と言います。例に漏れず、私は「予期不安」と「広場恐怖」に生活全てを変えられつつありました。

あまりの辛さに、「この状態では電車に乗ることも打ち合わせに行くこともできない。…仕事をやめようか」と私は考え始めます。外に出る用事があるたびに、「この場所は無理かもしれない」「こうなったらどうしよう」という不安でいっぱいになり、私の生活はどんづまりになっていきます。そして「辛い」「怖い」が積み重なっていった先に私が行き着いてしまったのは、「もう、死んでしまおうか」という気持ちでした。それだけ、パニック障害というのは人の気持ちを追いつめてしまうのです。

再び前を向くきっかけをつくった、医師の言葉

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パニック発作に翻弄される中、ふと私は以前、心療内科の医師がこんなことを言っていたことを思い出したのです。

「予期不安も恐怖症も、逃げれば逃げるほど悪化する。悪循環なのだ。恐怖の対象から逃げて、恐怖が急激におさまる状態を脳は記憶する。それは、脳にとってものすごい快感だからだ。それを脳が覚えると、恐怖を感じたときに逃げることしかできなくなる。逃げることで、ますます不安が高まってしまう。大切なのは、少しずつその恐怖の対象と向き合っていくこと。そして、『意外に大丈夫だったぞ』という感覚を味わい、自信をつけていくことだ。

この言葉を思い出して、私は「これ以上逃げ続けるのはやめよう。少しでも恐怖と向き合ってみよう」と決意したのでした。そして私は、「〇〇をやりたい」という気持ちに蓋をせず、やりたいと思ったら、パニック発作のことを考えずに実践してみることにしたのです。

こうして、私は少しずつパニック障害と向き合い、病気と共に歩み始めることができました。

次回は、パニック発作が回復に向かっていった私の「行動療法」についてお話ししたいと思います。
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