パニック障害とは? 突然の動悸やめまいといった症状、原因や治療法、体験談をご紹介

突然の動悸やめまい、発汗とともに恐怖を感じ、発作により生活に支障や制約が生まれるパニック障害。パニックを回避するためにできないことや行けない場所などが生じ、周囲からはなにもできない単なる怠け者と見なされるなど誤解されやすい疾患です。パニック障害を正しく理解し、適切な支援や治療を行うことが重要です。

- パニック障害とは
- パニック障害の症状の分類
- パニック障害の要因とは
- パニック障害の診断ガイドライン
- パニック障害の治療を受けるまでの流れ
- パニック障害の治療方法
- パニック障害とストレス障害(PTSD)の関わり
- パニック障害の体験談
- パニック障害と付き合う上で気をつけること・再発防止のために
- まとめ
パニック障害とは
パニックを回避するために、今までは出来ていたことが出来なくなったり、行けていた場所に行けなくなるといった症状も生じることがありますが、周囲からは単に怠けていると誤解されてしまいやすい疾患であると言えます。パニック障害が進行すると、うつ病を発症する可能性が高くなるとも考えられています。
この記事では、パニック障害についての基礎知識、支援や治療方法などを紹介します。
パニック障害の症状の分類
不安障害とは、生活に支障が出るほどの過剰な不安を感じる疾患全般をさします。不安や恐怖を、その対象に釣り合わないほど過剰に大きく感じ、状況や具体的なものに対して、過剰に不安、恐怖心を感じ、それにより様々な影響が身体と精神にあらわれ、社会生活を送ることに支障が出てしまう疾患です。
パニック障害は不安障害の中で理由もなく不意に起こるパニック発作を発端とする疾患をさします。パニック発作そのものは、恐怖や緊張などなんらかの引き金があって起こりえますが、パニック障害の発作はきっかけがないのに起こるのが特徴です。繰り返し発作が起こり、検査をしても体の異常は見つからないことも多く、また昼夜問わず24時間いつでも起こる可能性があります。
パニック障害は、パニック発作を発端として、また同じような発作が起きるのではないかという予期不安や、「同じシチュエーションで発作が起きるのではないか?」という場所と状況に対する不安すなわち広場恐怖の症状が現れ、悪化していく可能性があります。「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」というそれぞれの症状が一体どのようなものなのか以下で見ていきましょう。
パニック発作
動悸、心拍数の増加、発汗、身震いまたは震え、息切れ感または息苦しさ、窒息感、胸痛または胸部の不快感、嘔吐または腹部の不快感、めまい、ふらつき、気が遠くなる感じ、寒気または熱感、異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)、現実感喪失、離人感(自分が自分でなくなるような感じ)、抑止力を失うなどがあげられます。
予期不安
予期不安では、主に次のような感情があらわれます。
・病気になってしまうかも?
・気絶してしまうしまうかも?
・死んでしまうかも?
・運転中に起きたら、交通事故を起こしてしまうかも?
・誰も助けてくれないかも?
・発作が起きた場所から、すぐに逃げられないのかも?
・取り乱したり錯乱して、恥をかいてしまうかも?
・人前で吐いたり倒れたりして、恥ずかしい姿を見せてしまうかも?
・他人に迷惑をかけてしまうかも?
広場恐怖
・発作が起きても、誰も助けに来れないところ
・逃げたくてもすぐ逃げられないところ
・発作が起きたら恥をかく、もしくは恥をかくと思われるところ など
広場恐怖が進行すると、行けない場所が多くなり行動範囲が狭くなることが多くあるので注意が必要です。
パニック障害の要因とは
気質要因
・完璧主義な性格・几帳面な性格の人
自分が満足いく状況でないとき、とてもストレスを感じます。また周りの人に頼らずに全てを完ぺきにこなそうとした結果、心も体もパンクしてしまいパニック障害を発症することがあります。
・素直で従順な性格の人
物事に対してひたむきに取り組んだものの失敗してしまい、そのまま立ち直れなくなってしまうことがあります。
・マイナス思考、不安や恐怖観念が強い性格の人
自分を責めたり落ち込んだりすると、ストレスや不安が溜まりパニック障害を発症しやすくなります。
・利他的な性格、自分の気持ちをがまんしてしまう性格の人
自分の気持ちを押し込めたり、他人のために尽くし過ぎたりすることもストレスがたまり、発症のもととなります。
環境要因
遺伝子要因・生理学的要因
パニック障害の診断ガイドライン
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4260019074A繰り返される予期しない/パニック発作、パニック発作とは、突然、激しい恐怖または強烈な不快感の高まりが数分以内でピークに達し、その時間内に、以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が起こる。
注:突然の高まりは、平穏状態、または不安状態から起こりうる
(1)動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
(2)発汗
(3)身震いまたは震え
(4)息切れ感または息苦しさ
(5)窒息感
(6)胸痛または胸部の不快感
(7)嘔気または腹部の不快感
(8)めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
(9)寒気または熱感
(10)異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
(11)現実感喪失(現実ではない感じ)または離人感(自分自身から離脱している)
(12)抑制力を失うまたは”どうかなってしまう”ことに対する恐怖
(13)死ぬことに対する恐怖
B発作のうち少なくとも1つは以下に述べる1つまたは両者が1カ月(またはそれ以上)
続いている
(1)さらなるパニック発作またはその結果について持続的な懸念または心配(例:制御力を失う、心臓発作が起こる、〝どうにかなってしまう")
(2)発作に関連した行動の意味のある不適応的変化(例:運動や不慣れな状況を回避するといった、パニック発作を避けるような行動)
Cその障害は、物質の生理学的(例:乱用薬物、医薬品),または他の医学的疾患(例:甲状腺機能亢進症、心肺疾患)によるものではない
Dその障害は、他の精神疾患によってうまく説明されない(例:パニック発作が生じる状況は、社交不安症の場合のように、恐怖する社交的状況に反応して生じたものではない:局所性恐怖症のように、限定された恐怖対象または状況に反応して生じたものではない:強迫症の様に強迫観念に反応して生じたものではない:心的外傷後ストレス障害のように、外傷性出来事を想起させるものに反応して生じたものではない:または、分離不安症のように、愛着対象からの分離に反応して生じたものではない)
(日本精神神経学会:編『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院:刊 P207より引用)
パニック障害の治療を受けるまでの流れ
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