「みんなと同じになってほしい」親の都合で子どもの幸せを考えていませんか?

ライター:立石美津子
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親となったとき誰しも願うこと。それは「この子が幸せな人生を歩んでいきますように」ということではないでしょうか。

ところが、無意識のうちに子どもを自分の価値観で縛ってしまい、身に起こった出来事に対してマイナスに評価してしまう、幸せを感じるアンテナの感度が低い人に育ててしまっていることがあります。

『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。

「○○さえ出来たら…」親の価値観で子どもに期待を寄せていたあの頃

子どもを産んだ瞬間は「元気であればそれでいい」とそんなに高望みはしていなかったのに…。ほかの誰かと比較することなく、我が子の存在そのものに喜びを感じていたのに…。

定型発達児であれ発達障害児であれ、親になるとつい周りの子どもと比べてしまいます。

「みんなと同じ行動がとれますように…」
「お友達のようにお喋りができますように…」
「集団行動がとれますように…」

無意識のうちに、こんな言葉が頭をよぎることはありませんか?

でも、これらは親が持っている独自の価値基準。「ここさえ改善されたら、私もこの子もきっと幸せになるに違いない」と勝手に思っているだけなのです。
わが子を欠けたリンゴに例え、その欠けた部分を気にする母親たちの絵
(C)今泉久恵
Upload By 立石美津子
もし、親が定型発達で、子どもが発達障害児であればなおのこと、子どもは苦しみます。何故なら親に“共感”してもらえないからです。親が定型発達の場合「みんなと同じことが出来るようになることが幸せだ」「お友達がいることが幸せだ」という考えにとらわれていることも多くあります。私自身もそんなことを感じた出来事がありました。

発達障害当事者のママに言われた衝撃の一言

私は定型発達で、息子はバリバリの自閉症です。ですから、私も前記のような親の期待と子どもの状態のずれに悩んでいました。

これは、14年前、息子が3歳だったときの保育園での写真です。皆と同じように帽子をかぶって合唱することはなく、息子は一人読書をしています。私は保育参観でこの光景を目の当たりにし、もの凄く悲しい気持ちになりました。
当時、息子を病院内の療育施設に通わせていたのですが、そこで知り合ったあるママがアスペルガー症候群の当事者でした。そのママにこの写真を見せたことがあります。

そこでの会話

私「ねえ、うちの子を見てよ。何度叱ってもみんなと同じ行動がとれないのよ…」

当事者のママ「この前列に立っている子ども達、どうしてみんな同じ格好をして歌を歌っているのかしら?後ろで本を読んでいる方が楽しいのにね

意外性のある回答を聞いてびっくりしました。同時に「このママは他人なのに、息子の気持ちがわかるんだ。そんな視点も存在するんだ~」と思ったのです。そして、私が自分の枠組みでしか子どもを見ていなかったことに気付かされました。

個性を伸ばしたいといいながら、子ども自身の「世界観」を無視していた

どんな子どもにもそれぞれ個性があります。ところが「個性を伸ばしたい」と口では言いながら、実際にやっていることは人並みを求めたり、平均値を意識する子育ての人が多いように感じます。

ダウン症、視覚障害、肢体不自由などの障害は一目見ただけでわかるので、親自身も受け止めざるを得ないですし、いちいち説明して回らなくても周囲の理解を得られやすい場合もあります。

でも、見た目が定型発達児と変わらない発達障害の子どもに対しては、まず親自身がなかなか受け入れられないことがあります。中には「このまま私が一生懸命育てれば、いつかきっと普通の子どもになるのではないか」と錯覚してしまう人もいます。

また、母親が理解していても、姑から「しつけがなっちゃない!」となじられたり、理解のない夫から「お前の育て方が悪いからこうなったんだ。愛情不足だ」と責められている人もいます。こうなると誰も理解者がいなくなり、母親は更に苦しみます。
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