楽譜の読めないピアニスト。その姿を見て気づいた息子の困難と「好き」の大切さ。

ライター:GreenDays
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10165000834

TBS系「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」という番組で、発達障害を抱えながらピアニストとして活躍されている野田あすかさんの特集がありました。この番組を見て、私は息子のある特性に気づくことができました。

発達障害の当事者が出る番組を前に、心に広がるモヤモヤ。

発達障害に関するテレビ番組が最近増えてきましたね。7月にもTBS系「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」という番組で、発達障害のあるピアニスト、野田あすかさんの特集があったのが記憶に新しいと思います。

こうした番組が放送されることはとても嬉しい反面、実際に番組を見るのには少し勇気がいります。

それはおそらく、私の心の中で、隣の芝が青く見えてしまう気持ちがあるからなのでしょう。

正直なところ「発達障害と診断された我が子にも、キラリと光る才能が一つでもあれば・・・」と思うことがあります。成功されている方やサポート環境が充実されている方を羨ましく思ってしまう気持ちもないわけではありません。

そんなときは、落ち着いてこんな考えを頭に思い浮かべるのです。

「自分たち家族と番組に登場する方々を比べて悲観する必要は1ミリもない。我が家とは違う苦労があり、今まで試したことのない工夫もしているのだから、自分でできることを探してみる気持ちで見てみよう。」

そうやって自分に言い聞かせてから「えいっ」と番組を見ることで、素直な気持ちで見られるようになる気がしています。

番組を見て気付いた「代替案に考えが及ばない」という特性

今回の番組でとても参考になったのが、野田あすかさんが買い物をするシーンでした。

「スプーンの絵が描いてある砂糖を買ってきてね」と言われたものの、スーパーにはそのパッケージの商品が置いていなかったのです。あすかさんは「違う砂糖を買って帰る」「母親に電話して聞いてみる」などの代替案を思いつくことができず、「どうしよう」と戸惑い泣いてしまいます。

この「代替案を思いつくことができない」という様子が発達障害の診断を受けている息子の日常と重なり、はっと気づいたことがありました。

息子は勉強中に字を書き間違えると「あ、間違えちゃった、どうしよう」と言って焦って固まってしまいます。

最初は「消しゴムで消して書き直してみたらどうかな?」と丁寧に対応していても、「ママ、どうしよう、どうしよう」と日に何度も聞かれると私もイライラとしてしまい「さっきも言ったよね?自分でちゃんと考えなさい!」と怒ってしまうことがよくありました。

しかし、これは息子が考えることを放棄しているわけでも、甘えているわけでもなく「どうすればよいか」という案を思いつくことができない脳の特性に起因することだったのです。

また息子は水泳教室で着替えるのが遅く「ロッカールームに取り残されてしまったらどうしよう」と強い不安を抱えおり、水着のまま床に座り込んでしまうこともありました。この理由も、「どうしよう」という考えから抜け出せずに困り果てているために起こるのだと考えるようになったのです。

「どうすればよいか」を考えられるようになるために

息子が困り果てた状態を自ら脱することができるようになるためには、どうすればいいでしょうか。

そのためにはまず「字を書き間違えたら、消しゴムで消して書き直す」「座り込まず手早く着替えれば、ロッカーに取り残されることはない」ということを、根気よく、息子にわかりやすい形でインプットして行く必要があると思います。

自閉症スペクトラムのある人にはさまざまな特性があります。はっきりと目に見える困難さは他人も気づきやすいですが、気づかれにくい部分は「誰でもよくあること」で片づけられてしまいがちです。

私も息子が困っている部分を発達障害の特性だと考えず、「甘えだ」「考える力が足りない」「頭でわかっているのに出来ないわけがない」と切り捨ててしまうところでした。

代替案を考えるところまでたどり着けないのは脳の特性の問題だと思いますが、そうであったとしても少しずつ成長はしていくはずです。

まずは、息子が困っているときは「こんなときは〇〇してみよう」と次のステップを提示し、それを積み上げてゆくことを続けていこうと思っています。
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「好き」を伸ばし、「困った」を助けてあげること

番組中で登場した野田あすかさんはピアニストとしてご活躍されていますが、楽譜を読むことができません。想像を絶するような長い時間をかけ楽譜を分解し、工夫を重ねてそれらを組み合わせ、一曲としてインプットし、それを自分の音楽として奏でていらっしゃいます。

あっさりと楽譜を読める人には信じられない世界だと思いますが、彼女がそこまでして楽譜を自分のものにする原動力は、やはり「ピアノが好き」だということなのだと思うのです。

発達障害のある子どもたちが、一般の子どもたちに比べて出来ないことが多かったり、出来たとしても時間がかかったりすることがよくあります。そうしている間に自己肯定感が下がり、自分を責めたり無気力になってしまうこともあるかもしれません。

特性や個性を認めてあげて、長所を伸ばしてあげるために、私たち親に何が出来るのか。それを考えていくと、やはり「好き」と思えることを増やしてあげることだと思うのです。

たとえそれが親の意向に沿わないことであっても、虫なら虫、戦隊モノなら戦隊モノにどっぷりはまる時間を作ってあげることで、図鑑から知識を得る方法、インターネットを検索する方法を覚え、さらにそこで見かけた新しい物にまた興味を持つかもしれません。

少しずつ世界を広げて「好き」を増やす環境を整えてあげることが、家庭でできるとても大切なことではないでしょうか。

好きなものを否定されない、困っていることを責められずに次の方法を教えてもらえる。そんな子どもにとって安心できる家庭作り。頭ではわかっていても私自身なかなか難しいのですが、それでもあきらめず、日々意識して子どもたちに接していきたいと思います。
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