板書ができず周囲をキョロキョロ見回す息子。視覚検査でわかった意外な理由とは

ライター:林真紀
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授業参観での息子の様子を見て、「この子はもしかしたら物の見え方に困難を抱えているかもしれない…!?」とふと思った私。夏休みを利用して、「視覚認知発達検査」が受けられる病院に行ってきました。その結果、わかったことはというと…

授業参観で見た息子の姿はあまりにも…。

板書を写せず困っている小学生の息子
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我が家の発達障害のある息子は今年の4月に1年生になったばかり。特別支援級に通級しているおかげで手厚いサポートも受けられ、特に学習上の困難があるという話も今まで聞きませんでした。困ったことといえば、身体がひどく疲れやすいことぐらい。それもさまざまな刺激に弱いという特性があるので、仕方ないのかなと楽観的に捉えていました。

しかし、6月になって、授業参観で息子の算数の授業を見たときのことです。それまで「勉強は問題ない」と思っていた私は、教室での息子の姿を見て驚愕することになります。

そこには、あまりにもオタオタとしながら板書をする息子の姿がありました。

いや、オタオタというレベルではありません。一生懸命黒板を写そうとするのに、黒板のどこを書き写したら良いのか分からない様子なのです。

ノートを見て、黒板を見て、またノートを見て…

この一連の作業のなかで、完全に息子は「迷子」になっていました。それでも一生懸命ノートに書き写そうと、黒板をキョロキョロと眺めます。けれども写す場所が分からない様子。しまいには、隣の子のノートを覗き込んで写しているのです。

これはしんどいな…と私は頭を抱えてしまいました。そして、息子が帰宅するとぐったりと横になってしまうのは、この「板書」に相当のエネルギーを使ってしまっているのではないだろうかと思い当たりました。

もしかするとこの子は、視覚から情報を知りする「視覚認知」に少し問題があるのかもしれない…という疑念が、フッと心によぎったのです。

思い当たる節は、息子が幼いころにも…。

小学1年生になっても、転がってくるボールを受け止めることができない息子
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息子の視覚認知について、私にはもう一つ思い当たることがありました。それは、1年生になった今でも、転がってくるボールを受け止めることができないことでした。

ドッジボールのような形で高速で飛んでくるボールが怖いのはまだ分かるのですが、コロコロと転がってくるボールでも怖がって、すたこらサッサと逃げてしまいます。動いているものを目で追って、受け止めるということができないのです。

これは、ボールだけではなく、息子がいろいろなものを怖がることに繋がっているような気がしました。

息子は他人が飛んでいるなわとびすら嫌がります。無論、大なわとびなどは絶叫して嫌がります。動く物を目で見て捉えることができていないことは、息子の運動への苦手意識全般に関わってきているような気がしたのです。

そこで、私は息子の視覚認知に問題があるのではないかということを、療育の先生に相談しました。そのときに、「千葉に視覚認知の発達検査をしてくれる眼科さんがあります。良かったら、検査に行かれてみてはどうでしょう。」と言われ、私は思い切って検査に行ってみることにしたのでした。

検査の結果分かった、目の特性とは

視覚認知発達検査で追従性眼球運動の力を調べたところ、眼だけでものの動きを追うことができず、体も一緒に動いてしまう息子
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視覚認知発達検査は、千葉県の浦安市にある「かわばた眼科」さんで予約してやってもらいました。こちらの病院は子どもたちの視覚認知発達検査を行う「視覚発達支援センター」を併設しているのが特徴です。私と息子も一日仕事の覚悟で検査を受けにいきました。

その結果、息子は「追従性眼球運動」(見ているものの動きに合わせて眼球を動かす運動)や「跳躍性眼球運動」(すばやく一点から別の点へ眼球を動かす運動)の力がとても弱いことが判明したのです。

それが顕著に分かったのは、私が試しに棒を持って、「これを目で追ってごらん」と右左にゆっくり振ってみたところ、息子が目ではなく、顔や身体を動かしてその棒の動きを追っていたときでした。息子は、目だけを動かして動いている物を追うことができていなかったのです。これが追従性眼球運動の弱さの表れでした。転がってくるボールが怖くて受け止められないのは、この追従性眼球運動の力が弱かったためだったと思われます。

さらに、跳躍性眼球運動は、板書をノートに書き留めることにもにも大きく関わってくる目の動きです。黒板とノートを交互に見るということは、眼球をすばやく一点から別の点へ移動させる力が要求されます。けれども、眼球を素早く動かす力に欠いている息子は、黒板とノートの間を視線を移動させながら、必要な情報を素早く読み取るということができずにいたのでした。
息子の疲れやすさの原因の一つが遠視だったことが判明
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さらに、詳しい検査の結果、息子は遠視であることが分かりました。「視力」として数値がはっきり出る近視と違い、遠視は早期発見が難しいといいます。遠視が「近くが見えない」というのは実は誤解で、近くであろうと遠くであろうとピントが合わせづらいことを言うそうです。

これによって、近くを見ているときでも遠くを見ているときでも、物を見るために余計な力が入ってしまっている状態になってしまいます。そのために、イライラや落ち着きのなさ、頭痛や疲労感に悩まされることがあるそうです。

息子の異常な疲れやすさの原因は、発達障害による刺激に対する弱さだけではなく、なんと遠視が関わっていたのでした。というわけで、来る9月の新学期に向けて、遠視用のメガネを作ることになりました。
次ページ「見え方が違うということ」

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