「行きたい!」と言うのに準備は渋る我が家の兄弟。変化をもたらしたホワイトボード活用法とは

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自閉症スペクトラム&ADHAの診断が下りているわが家の子どもたちは、学校に行くことができなくなり、不登校の状態が続いています。

子どもが毎日家にいるというのは“終わりのない夏休み”のような状態ですので、何かトラブルが起きた時は、私も子どもたちも心地よく過ごすための工夫が必要になってくるのです。

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子どもが「やればいいんでしょ!」とふて腐れてしまうことありませんか?

我が家では電車で習い事に通う事が多いので、「外出前のトイレ・支度をする時間」「家を出る時間」「電車の時間」の3つを紙に書いて子どもたちに提示することにしています。発達障害のある小学1年生の息子と小学4年生の娘が、出発の時間に合わせて行動できるように行う、我が家の習慣です。

ある日、子どもたちが玄関先で支度を整えているのを確認し、「靴を履いておいてね」と伝えて私はその場を離れました。しばらくして聞こえてきたのは、リビングでの話声とピアノの音。

慌てて様子を見に行ってみると、玄関には荷物が放り出され、子どもたちはリビングで遊んでいます。


「何をしているの!?出かける時間は伝えてあるでしょ?」
「ちょっとピアノが弾きたくなっただけ」「今本を読んでいるからちょっと待って」と一向に慌てる様子がありません。

こんなこともあろうかと、いつも余裕を見て一本前の電車を利用しているので遅刻することはありません。

とはいえ、「わかったよ、行けばいいんでしょ」とふて腐れてしぶしぶ靴を履く子どもたちを見ていると、私も怒りを抑えきれず声を荒げてしまいます。結果、何とも言えぬ重い雰囲気のまま駅までの道のりを進むことになりました。

案の定、駅に着いたのは乗る予定だった電車が出発した後。
次の電車まで少し時間があったので、落ち着いて話をすることにしました。

子どもたちに伝えたこと

「ママはどうして怒ったと思う?」

「出発する時間なのに遊んでたから?」
「靴を履いてって言われたのに、本を読んでたから?」
娘と息子が答えます。この言葉から、出発前に準備をせず別のことをしていたことはいけないことと理解はしているようです。私は続けます。

「そうだね、その行動は確かにおかしいよね。でもママが一番引っかかっているのは、違うところなの。この習い事をしたいって言ったのはあなたたちで、絶対にやめたくないんだよね?」

「そうそう!絶対にやめたくない!」
「だってすごく楽しいもん!やめろって言われたらイヤ!」

子どもたちは習いごとに行きたくないわけではないのです。むしろ、「行きたい!」という意思を持っています。それでも、自分から率先して準備をして家を出ることはできないようなのです。自分たちの意思を行動でも示してほしい。私はこう続けました。

「そうだよね。ママはそんなあなたたちのために、時間とお金を使って応援しているの。だから『行けばいいんでしょ!?』っていう態度をとられたら、『ママのために行ってもらうんじゃないんだけど』ってカチンときちゃうの」

「う~ん・・・」
「確かにママのためじゃなくて、私たちのためにママが協力してくれてるのよね・・・・・・」

「やりたいことができるのはすごくステキなことだけど、練習も努力も必要だし、面倒な時もあるよね。でもそこを誰かに委ねてしまったら『やらされてる』感じがして、いつか嫌になっちゃうよ。自分たちの人生は自分たちのもの。ママはあなたたちの一番の応援団。そこを間違えずにいこうね。」

「だからママ、いっぱい応援してね」
「わかった!これから面倒くさいって思った時は、ママにその気持ちをぶつけるんじゃなくて、やりたいのは自分だって確認することにする」

毎日を「自分でデザインする」という意識を持ってもらうために

こうして話し合いは終了しましたが、この「ママにやらされている感」は、習い事に向かう時だけの問題ではなく、普段の生活すべてにおいて子どもたちと衝突する材料になっていたのです。

「一日は24時間しかないんだよ!やるべきことを後回しにしていたら、1日が終わっちゃうよ!」と何度声をかけても「後でやるから大丈夫だって!」と平気な顔をし、結局夜になると焦って半泣きになる子どもたち。

子どもたち自ら1日の過ごし方を上手に選択してゆく方法はないかと、手帳を使ったり、やることリストを作ったりしていたのですが、先を見越して行動するのが苦手な子どもたちには、なかなかしっくりときませんでした。

よい機会でしたので、今回は月間スケジュール用のホワイトボードを購入し、子どもたちが自分たちで1日の過ごし方をデザインできるように工夫してみることにしたのです。
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そのままのホワイトボードは1日~31日までの日付が書いてあります。これを1日の予定表として使用するため、日付の部分を時間に読み変えます。25~31日の日付を隠して、24時間の予定表の完成です!

100円均一のお店で買ってきたマグネットシートを、予定表の幅と後で貼るマスキングテープの幅を考慮して15mm幅にカットしたら、くるりとマスキングテープを巻きます。

突発的な予定はマスキングテープの上から直接油性ペンで記入し、予定が終了すればまたテープを貼り直して新しい予定を書くことができます。

毎日の生活で必ず行うこと、お勉強の内容、習い事は、マスキングテープの色をわけ透明のテプラでシールを作成して貼り付けました。また、習いごとのマグネットには、家を出る時間と電車の時刻も記入しておきます。これで毎回紙に書かなくても、子どもたちが自分で予定を確認することができます。

毎朝、自分が今日1日をどんな風に過ごすのかを、マグネットを移動させながら決めていきます。これが案外子どもたちは楽しいようで、ああでもないこうでもないと、自分の1日を想像しながら予定を埋めていきます。

「ママ、この時間に勉強を見てほしいんだけど大丈夫?」
「この時間にピアノをしたいけど、お姉ちゃんもこの時間?じゃあどうしようかな?」
「ねえ、夜8時から一緒に映画を観ない?それなら夕食までに全部終わらせておこうよ!」

今までは自分以外の行動にあまり注意を払っていなかった子どもたちでしたが、家族が共通で利用するものは予定がぶつからないように、家族の協力が必要ときはあらかじめお願いできるようになってきました。

そして、自分で決めた時間通りに行動することで、「ママにやらされている感」はほぼゼロになり、私のストレスもずいぶんと減りました。なにより子ども自身がすんなりと次の行動に移れるようになってきたのです。

自分の世界を壊された!邪魔された!と感じさせないために

発達障害のある子どもの中には、自分の世界に没頭している時間に安らぎを覚え、その世界に誰かが介入してくると「邪魔をされた」「大切な時間を壊された」と感じてしまう場合もあります。

私の子どもたちも、読書やぬいぐるみ遊び、マインクラフトなどに没頭し、予定の時間を告げるととても不機嫌になることが多くありました。頭では分かっていても、反射的に「邪魔をされた!」と感じてふて腐れていたのだと思います。

自分で自分の1日をデザインするようになってから、子どもたちのその反応はかなり少なくなったものの、なくなったわけではなく、私が声掛けをすると時々「あ~~~、もうっ!」などと声を上げることがあります。

もちろん、時計はすぐ見られる場所に置いてあるのですが、なにかに没頭してしまうと自分で時計を確認するというのは、自閉症スペクトラム障害のある子どもたちにとっては、とても難しいことのようです。

そこで、30分ごとに鳴いてくれる鳩時計をスケジュールボードの隣に設置しました。鳩時計は家族で一緒に選んだものなので、子どもたちは鳩が鳴くのをとても楽しみにしています。

音につられて鳩を見ると、自然に時間を確認することができます。そうすれば「誰かに邪魔をされた!世界を壊された!」と感じることはなく、「あ、もうそんな時間か。予定を確認しよう」という流れができて、とてもよい方法だったと思います。

今は小学生の子どもたちも、大きくなるにつれ、親の知らない世界に足を踏み入れることが増えてくるでしょう。

大学生になったり、アルバイトをしたり、就職をしたり…どんな道に進むか想像もつきませんが、自分でスケジュールを組み立ててこなしていく力というのは、どこに行っても必要になってくると思います。

そのときになってから焦るのではなく、今のうちからそれぞれの特性にあった方法を模索し、試行錯誤を繰り返して「こうすればタスクをこなせる」という自信を持つことができれば、社会に出るときの大きな足掛かりになるかもしれません。

我が家の場合は、学校に行かずに家で過ごしていますので24時間単位でスケジュールを管理できるようにしましたが、他にも学校から帰宅した後の時間の過ごし方、休日の過ごし方など、目的に合わせた活用方法がありそうです。

時間や予定を目に見える形にすることで、子どもは自分で自分の毎日をデザインしやすくなります。そうすることで、家族みんなが穏やかに過ごせる時間が増えるといいですね。
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