知的障害者福祉法とは?概要、改正の歴史、障害者総合支援法との関連、利用できるサービスや制度

2017/08/30 更新
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知的障害者福祉法とは、知的障害者の自立と経済活動を促進させるために、福祉を図るための法律です。すべての知的障害のある人が社会の一員として活動できるように必要な保護や援助を行います。この記事では、知的障害者福祉法の概要、改正の歴史、障害者総合支援法との関連、知的障害のある人の利用できるサービスや制度などについてご紹介します。

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目次

知的障害者福祉法とは?

知的障害者福祉法(旧:精神薄弱福祉法)は、1960年に制定された法律です。

知的障害のある人の福祉をはかることを目的とした法律です。2006年の改正前、その目的は「生活支援」という側面だけでしたが、現在は知的障害のある人の自立と社会参加を促進するよう法律で定められています。

それでは実際の法律の文言を見てみましょう。

(この法律の目的)
第一条  この法律は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 (平成十七年法律第百二十三号)と相まつて、知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、知的障害者を援助するとともに必要な保護を行い、もつて知的障害者の福祉を図ることを目的とする。

引用:知的障害者福祉法|e-Gov

出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail...
また、この法律は2013年に制定された「障害者の日常及び社会生活を総合的に支援するための法律」、別称「障害者総合支援法」という障害のある人全般に適用される法律とあいまって、その内容が定められています。それまでは、障害種別によって個別の法律に基づき様々なサービスや制度が成り立っていました。その後、総合支援法ができたことにより、「知的・身体・精神」の3つの障害が同じ法律内で扱われることとなりました。

そのため、従来の知的障害者福祉法がもっていた独自の法的な意義は希薄化しているのが現状です。それにともない、知的障害のある人へのサービスや制度も、障害者総合支援法に移行しています。

知的障害者福祉法の概要

知的障害者福祉法は以下の4つから構成されています。
・総則
・実施機関及び更生援護(実施機関等、障害者入所支援施設等の措置)
・費用
・雑則

総則

総則とは、全体を通じて適用される法律のきまりのことです。つまり、法の根幹となる部分です。知的障害者福祉法における総則は、以下の4つの項目から成り立っています。

◇目的
知的障害のある人の自立と経済活動を促進させるために、知的障害者の福祉をはかることを目的としています。このために、国や自治体、施設などは知的障害のある人を保護し、適切な援助を行うことが定められています。

◇自立への努力と機会の確保
・知的障害のある人は、そのもっている能力を使って社会活動、経済活動に参加するように努力しなければならないとしています。
・社会を構成する一員として、自立し、社会、経済、文化などの活動に参加する機会をもっているとされています。

◇国、地方公共団体と国民の責務
国や地方公共団体は、上の理念が達成されるために、国民の理解を促し、必要な援助と保護を行うことが定められています。
国民は、知的障害のある人の福祉について理解を深め、社会経済活動参加する努力に対して協力することが定められています。

◇職員の協力義務
知的障害のある人に援助や保護を行う職員は、児童から成人まで一貫して福祉支援を行うことが定められています。

このように、知的障害のある人が社会の一員として、社会的、経済的な活動に参加できるように、すべての国民、行政、職員が努めることを義務付けたのが、知的障害者福祉法です。

実施機関と更生援護

この部分には、知的障害福祉法に関する支援を提供する機関について記載されています。

・支援の実施は、市町村が実施の主体となっていること
・知的障害者の判定は、知的障害者更生相談所で行うこと

などの点が記載されています。この部分はのちの章で詳しく説明します。

費用

知的障害者福祉法のこの項では、知的障害のある人のための施設を運営、設立する際の費用を出す義務者が定められています。また、知的障害のある人がサービスを利用するときには、一部または全部の負担が課せられることになっていますが、その負担は、当事者および扶養者の自己負担の能力に応じることが記されています。

知的障害者福祉法ができたわけ

知的障害のある人への総合的な福祉支援は、どのような理由から展開され、本格的に開始したのでしょうか。

日本で、最初に知的障害のある人への福祉サービスを規定したのは、1947年の児童福祉法です。ここでは、障害の有無についての言及はなく、すべての児童が等しく、生活を保障されなければならないという理念が述べられています。

その後、1953年に「精神薄弱児対策基本法」が策定されました。この法は、のちの1960年に成立する知的障害者福祉法の下敷きとなったものです。この法律の要綱では、成人をも視野に入れており、18歳を過ぎた知的障害のある人にも必要な施策がとられることとなっていました。

しかし、この法律には様々な問題点がありました。というのもこの法律では、知的障害のある人の「隔離」と「保護」を前提としていた点です。そのために、具体的にとられた施策は、不良行為を行う知的障害のある人を収用する設備の強化や、優生手術の実施など、知的障害のある人を社会から排除するものでした。また、実際の福祉施策が適用されたのは、18歳未満の知的障害がある子どもだけでした。

「隔離」を前提とするような法律の問題点を改善する声があがり、1960年に成立したのが知的障害者福祉法です。この法律でようやく、名実ともに児童から成人までの一貫した支援を提供する事業が整備されました。

知的障害者福祉法の改正と障害者総合支援法

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