縦の比較より横の比較!?すぐ他人と比べるアスペルガーの娘を変えたのは1冊の本だった

ライター:GreenDays
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子どもたちには幼い頃から折に触れ「他人と自分を比較しない」と言い続けてきましたが、そうは言ってもなかなか難しいもの。どうすれば自分を苦しめる考え方から抜け出せるのでしょう?

テストに合格したのに自分を否定する娘

アスペルガー症候群の診断が下りている9歳の娘は、「0か100か」「善か悪か」「失敗か成功か」など物事を極端に捉えてしまう両極思考の特性が強く出ています。自分自身を評価する際に「0」「悪」「失敗」といった悪い方へ偏ってしまうため、すぐに自分を否定してしまうのです。

先日、水泳教室で行われた進級テストで、娘は2ヶ月でバタフライを習得。見事、次の級に上がることになりました。バタフライをマスターするには半年ぐらいかかるかな?と思っていた私は、大喜びで教室から出てきた娘を迎えたのですが、本人はどうも浮かない顔をしてています。

「おめでとう!がんばった甲斐があったね。すごくキレイに腕も上がっていて、いい泳ぎだったよ」と声をかけても、作り笑顔が返ってきました。

そして、不機嫌なまま夜を迎え、ベッドでお喋りをするリラックスタイムになると、娘はついに泣き出してしまいました。

娘の感じていたこととは…

「どうしたの?せっかく合格したのにあまり嬉しそうじゃないから気になってたんだけど、なにかあった?」
「別になにもないんだけど、1ヶ月でバタフライに合格した子がいたの」

「そうなの?すごいね!でも、あなたもたった2ヶ月でマスターしちゃって、ママはびっくりしたよ」
「でも、あの子は1ヶ月でマスターできたのに、私は2か月もかかって!おまけにあの子のほうが泳ぎも上手で、私なんて全然ダメ!」

「えっと、あの子がどうかじゃなくて、ママはあなたが合格したことを一緒に喜びたいんだけどな。それに、あの子は週に2回通ってるから、1ヶ月だと8回練習したってことでしょ?あなたは週に1回だから、2ヶ月で同じ8回の練習じゃない?卑屈になることないと思うけど」

「同じ8回の練習かも知れないけど、私なんかの泳ぎよりよっぽど上手だったのっ!」

とにかく何を言っても「あの子はすごい、私はダメ」のオンパレードで泣くこと数十分。なるべく娘が納得行くように寄り添おうとは思っていましたが、私の方に限界がきました。

「あのね、いい加減にしないとママ怒るよ?いつも言ってるけど、他人と自分を比較して何かいいことある?今日はせっかくあなたの努力が実ってステキな日だったのに、今どんな気分?嬉しい?楽しい?ママは哀しくなってきたよ」

「私もちっとも嬉しくない...」

「ついつい人と比べてしまう気持ちもわかるけど、その人と自分とはまったく違う人間で、環境もそれにかける意気込みも努力の仕方も全然ちがうの。結果だけを見て人を羨んだり自分を貶めても何の意味もないのよ?」

「お友達のことをすごいなと思ったのなら、素直に『あの子はすごいな』って思えばいいよ。自分に足りない部分が見つかったのなら、『ここが足りてないな』って思えばいい。そこで足りない部分をどう工夫していくかを考えれば前に進めるけど、卑屈になるだけだと何にも成長しないよ?」

「さあ、お説教はこれでおしまい!後は思う存分あなたを褒めるから、あなたもちゃんと自分を認めてあげてね」

こうして長い夜はようやく終わりを迎えたのでした。

私のお説教より娘の心に響いたもの。それは…。

そんな話をしてしばらく経ったある日のこと。

娘が「そういえば、この間ママと話したことがこの本に載ってたよ。縦の比較と横の比較があるんだって」と言って1冊の本を持ってきました。それは『10代のうちに知っておきたい折れない心の作り方』という本。

いろいろな心の持ち方が子供にもわかりやすいように噛み砕いて説明されているのですが、その中に「他人と自分を比べてしまう」という項目があって、「横の比較ではなく縦の比較をすると楽になるよ」というお話があったのです。

それは、お友達と自分を比べてどちらが先に進んでいるかに「横の比較」注目するのではなく、昔の自分と今の自分を比べてどれだけ成長したかに注目する「縦の比較」をするようにしましょう!という内容でした。

一緒にその本を読んで以来、「あ、それは横の比較だから縦で見てみよう!」と声をかけるだけで、比較のポイントを修正できるようになってきました。

学齢で言うと小学4年生になった娘。私が「こういう考え方はどう?」と話しても素直に受け入れられないことが増えてきました。自分で解決策を見つけ出したい、親の意見をそのまま受け入れたくないという態度は、成長の表れでもあるのでしょう。

そんな娘でも、本に書かれている考え方は受け入れやすいようです。本ならば、自分が直接批判されているわけではないという安心感から、素直に良いと思ったことを受け入れられるのでしょう。
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