「避難行動要支援者」への支援を知っていますか?支援の必要な人を災害から守る取り組みをご紹介します

2017/09/01 更新
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もし、災害が起きたら…?自分や家族の中に、避難するときに支援が必要な人はいませんか?そんな時、「避難行動要支援者名簿」の制度が、大切な命を守ってくれるかもしれません。

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目次

避難行動要支援者って?災害時に避難しにくいのはどんな人?

地震や津波、水害などの災害が起きたとき、自力で避難が難しかったり、避難に際して特別な配慮が必要な場合があります。阪神淡路大震災や東日本大震災の時などにも、高齢者や障害のある方の中には自ら避難するのに何らかの困難を抱えた方も多くいました。

たとえば以下のような人は一人では避難しにくいと考えられます。
・視覚・聴覚障害があり、災害発生時に周りの状況の把握がむずかしい。災害情報が得にくい
・高齢者・身体に障害がある人で、自力での避難が困難な人
・知的障害や精神障害などがあり、地震や災害が起きた時に、どう行動したらよいかわからない障害のある人
・重度心身障害者、人工呼吸器や温度調整が必要な人

そのため、このような人を避難行動要支援者とし、名簿を作成してスムーズな支援ができるように平成25年6月、災害対策基本法が改正されました。

またこれらの周知のため、今年(平成29年)パンフレットや事例集も作成されました。

災害対策基本法改正によりできた「避難行動要支援者名簿」の制度

この法律で、市町村に避難行動要支援者名簿の作成が義務付けられました。

簡単に言うと、上記のような一人では避難が困難な人が、災害時にサポートを受けられるように事前に登録しておくという制度です。

自治体が特に支援が必要な人を把握するとともに、災害時にスムーズに支援ができるよう、消防機関や警察、民生委員などの避難支援に関係する人に情報が共有できるようにすることが定められました。名簿には個人情報が含まれるため、災害対策基本法で個人情報漏えい防止のための規定もあります。

実際に名簿をつくり、運用するのは市町村です。具体的な支援や制度については、自治体によって異なる場合があるので、お住まいの市町村に問い合わせることをおすすめします。

発達ナビのユーザーの皆さんの中には、療育手帳や精神障害者福祉手帳の取得時などに名簿への登録や、情報提供の同意などを求められる場合があるかもしれません。また、災害があったときに一人で避難することが難しそうだと感じている人もいるかもしれません。

避難行動要支援者がどのような支援を受けられるのかを知り、必要に応じて名簿に登録することで、災害への備えの一つとしてはいかがでしょうか?

どんな支援をしてくれる?

・避難のための情報伝達
情報を得ることが難しい人のために、その人が情報を得やすい方法で災害情報を得られるようにサポートします。

・避難支援
災害時、避難行動を支援します。また、要支援者の特性に合わせた個別の避難計画の作成や防災訓練をする場合もあります。平常時も支援者による声かけや見守りにつなげておくことも含まれます。

・安否確認
名簿が災害時の安否確認に活用できます。

・避難場所以降の避難行動要支援者への対応
避難した後も、避難場所での支援者への引き継ぎがスムーズに行えることがあります。

名簿への登録は?

どんな人が対象になるの?

当該市町村に居住する要配慮者のうち、 災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難する ことが困難な者であつて、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため 特に支援を要するもの

出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail...
災害対策基本法では、以下を避難行動要支援者と定め、市町村に把握と名簿の作成を義務付けています。
具体的な対象者の範囲はお住まいの市町村によって異なります。

以下に千葉市の場合をご紹介します。

名簿に掲載される方
65歳以上のひとり暮らしの方で、介護保険の要介護認定区分1・2の方、または要支援認定区分1・2に該当する方
要介護認定区分3~5に該当する方
次に該当する障害がある方
視覚障害(1級又は2級)、聴覚障害(2級)、上肢機能障害(1級又は2級)、下肢機能障害(1級又は2級)、体幹機能障害(1級、2級又は3級)、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害のうち上肢機能障害(1級又は2級)、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害のうち移動機能障害(1級、2級又は3級)、呼吸器機能(1級)、小腸機能(1級)、精神障害(1級)、知的障害(AまたはⒶ)
難病患者で身体障害者手帳1・2級の方及び小児慢性特定疾病等で療養負担過重患者の方

出典:https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/koreishogai/korei/meibo_hinankoud...
制度の運用も自治体によって異なります。自分が名簿に登録されているか確認したいときや、定められた対象ではないが一人での避難が困難な場合などで、名簿への登録を希望するときはお住まいの自治体に問い合わせてください。

登録と名簿作成後の流れ

制度の運用方法は市町村によって異なりますが、以下に大まかな流れをご紹介します。

1. 市町村が支援が必要な人の情報を集め、避難行動要支援者名簿を作成します。避難行動要支援者名簿には、掲載者の氏名、生年月日、性別、住所、電話番号その他の連絡先、避難支援等を必要とする事由、その 他避難支援等の実施に必要な事項が掲載されます。
2. 名簿情報を平時から支援者に提供していいか、確認がされ、問題なければ同意します。

3. 同意した人の名簿情報が消防、警察、民生委員などの支援者に提供されます。

4. 支援者が日常の声かけなどの見守りや避難訓練などの支援を行います。

5. 災害時には市町村や支援者により避難行動に関する支援や安否確認などが行われます。

名簿の個人情報の取り扱いは大丈夫?

個人情報が支援者に提供されることに不安を感じる人もいるかもしれません。災害対策基本法によって、避難行動要支援者名簿を提供した支援者には守秘義務が発生します。また各自治体で名簿情報の漏えいの防止のため必要な措置を講ずることも定められています。

名簿に登録がなくても避難行動に配慮が必要な人もいます

避難行動要支援者として名簿に登録していない人でも、災害時の避難に困難を抱える要配慮者の人がいます。

たとえば発達障害のある人は、自閉症などの特性から、いつもと違うことに強い不安を感じたり、パニックになってしまうことがあります。学習障害がある場合、電光掲示板や掲示物などから情報を得るのが難しいかもしれません。障害が軽度で、名簿に登録していない人でも避難時に思わぬ困難が生じる可能性があることを覚えておきましょう。

また外国の人は、日本語での緊急避難速報や避難誘導の声かけが理解できないかもしれません。このほかにも外見からは障害があることがわからない人もいます。もちろん妊娠している人や乳幼児、高齢者なども避難の際に配慮が必要です。

全ての人が一人ひとり日ごろから、防災意識を持ち準備することが、地域に住むさまざまな人を災害から身を守ることにつながります。また災害時には、まず自分の身を守ることが第一ですが、周りに困っている人がいないかどうかにも目を配るように心がけたいですね。

まとめ

避難行動要支援者というと、高齢者や身体に障害がある人をイメージすることが多いかもしれません。ですが、その他にも避難に際して支援が必要な人もいます。知的障害や精神障害のある方の中には非常時の状況判断が一人では難しい場合もあるでしょう。言語障害のある人は見た目からはわかりませんが、緊急事態を言葉で人に伝えることが難しい場合も考えられます。

災害はいつ発生するかわかりません。まわりに様々な困難のある人がいること、そして災害が起きたときのことを想定して事前に対策をすることが、もしもの時の大きな備えとなります。

避難行動要支援者名簿への登録はその一つです。行政や避難支援者に受けられる支援にはさまざまなものがあり、避難時のサポートだけでなく、もし避難生活がはじまっても引き継がれます。情報の共有をすることで、日ごろから地域の支援者ともつながりが持てます。

また、名簿への登録がない人でも、避難時に支援を必要としている人がいるかもしれないことを心に留めておきましょう。
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