親子三代、ADHD気質。一子相伝で祖父から受け継いだ困りごと解決4か条

ライター:林真紀
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ADHDの特性があり、幼少期にとんでもなく苦労してきたという私の父。そして同じ特性を受け継いだ私と息子。そんな私たちですが、父から直伝の「特性克服のためのイロハ」のおかげで、多少の困難は乗り越えてくることができました。

日常生活は滅茶苦茶…なのに

反抗期一歩手前の小学校中学年の頃だったでしょうか。私は母に泣きながら、こう訴えたことがあります。

「お父さんが学校に来ると恥ずかしいから、行事には絶対来させないで!!」

今思うとひどい娘でした。父はADHDの特性が強くあり、小学生だった当時の私には耐えられないようなことがたくさんありました。父は話し声がとても大きいうえに、父母が行事の観覧に集中しているようなときにもフラフラと抜け出して、校庭でバスケットボールをやり始めるような人でした。

「あいつのお父さん、変だよな~」と周囲に言われるたびに、私は恥ずかしくて恥ずかしくて、泣きそうでした。

いつもフラフラと動き回って落ち着きのない父。家にいるときは、家族に叱られてばかりの存在でしたが、不思議と会社では結構仕事ができる、やり手な人であると評判だったのです。また、いろんなことをすぐに忘れてしまう特性があったにも関わらず、勉強でそれほど困ったという話は不思議と聞きませんでした。

そして父は、同じ特性のある私と息子に、ADHDならではの生活のコツや学習のコツを伝授してくれたのです。父の授けてくれた生活のコツのおかげで、私も息子もさまざまなな困難を克服することができています。

秘伝一、ひたすらメモるべし!

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幼い頃、父の手帳を見て驚いたことがあります。普通の人は、手帳といえば予定ぐらいしか書きこまないと思います。けれども父は、仕事から日常生活の小さなことまで、ひたすら文字に落として書いていたのです。

父の手帳は几帳面な字がびっしりです。例えば「花の水のやり方」「ゴミの分別の仕方」というような日常生活の些細なことも、全て文字に落としています。

1、2、3、のように丁寧に番号までつけて、それを順番に辿っていけば間違いがないようにしてあります。

父も私も(そして息子も)、人から聞いた話をインプットすることがとても苦手です。長いこと話をされると、後になって頭にほとんど残っていません。ですから父は、人から聞いた話をすぐに手帳にまとめます。そして自分が後から見て分かるように、簡潔にメモに残していくのです。

「とにかくひたすらメモれ」という父の教えを、私はある程度の年齢になってから忠実に実行しています。そのおかげで、苦手とするマルチタスクの仕事なども、自分のメモを見ながらやることで、それなりにできるようになりました。

私も父と同じく、仕事や生活での「自分用マニュアル」が山のようにあります。

秘伝二、予行練習は入念にすべし!

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私が幼かった頃、父はすぐに道に迷っていました。父の運転する車に乗せられて、初めての場所に行くのは、私たち家族にとって苦行でしかありませんでした。

「どこだ~、おい、どこだぁ」

パニックになって父は、行先の電話番号を調べて電話をかけます。一生懸命電話で行き方を聞きますが、「何がなんだか全然分からん!」と怒り出す始末でした。

パソコンもインターネットもなかった時代は、そうするしかすべがなかったとも言えるでしょう。

しかし、最近の父は、初めての場所に出かけるときは、パソコンの道路画像を何度も何度も見て、経路を予習します。初めての場所は、普通の地図で見ても風景が分かりません。その点、画像で風景を見ながら経路をシミュレーションすることで、初めての場所でも予測できる情報が増え、パニックになりにくいのです。

父にその話を聞いてからは、私も初めての場所に行くときは画像で経路をチェックするようにしています。息子を初めての場所に連れていくときも、息子に行先の画像を見せるようにしています。こうすることで、パニックを防ぐことにもつながりました。
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