スクールカウンセラーとは? 具体的な仕事内容から相談できること、相談する時のコツをご紹介!【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン
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スクールカウンセラーとは、学校内で子どもや保護者などの心のケアや支援を行う人です。教員とともに子どもや保護者をサポートするほか、教員への助言・コンサルテーションも行っており、近年学校現場でニーズが高まっています。この記事ではスクールカウンセラーの仕事や支援の事例、相談方法などを解説します。

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
目次

スクールカウンセラーとは?

スクールカウンセラーとは、学校内において児童や生徒、その保護者に対して、臨床心理に関する専門知識を生かしながらサポートしていく専門家を言います。心理・発達面において悩みや困り感を持つ人たちを、専門的な知識や技法を使って支援する役割を担っています。


近年は事件や事故が発生したときに被害児童・生徒のサポートを行ったり、教職員の悩みに対する心のケアや、研修を行う自治体もあり、より幅広い業務が求められています。
参考:スクールカウンセラー等活用事業に関する Q&A|文部科学省ホームページ
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/20211112-mxt_kouhou02-1.pdf
[参照リンク]スクールカウンセラーについて(mext.go.jp)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/066/gaiyou/attach/1369846.htm
スクールカウンセラーは、平成7年(1995年)に国が打ちだした「スクールカウンセラー活用調査研究委託事業」により各学校に配置され始めました。その後、いじめ問題や東日本大震災をはじめとする災害の発生、貧困問題などから、子どもの心をケアする重要性が広まり、全国の公立学校で、スクールカウンセラーの配置が進められてきました。

平成30年時点でスクールカウンセラーは26,139校の公立小中学校に配置されていています。令和1年までには30,664校に配置し、原則としてスクールカウンセラーを全公立小中学校に配置する計画となっています。
また私立の小中学校・高等学校は、公立小中学校がスクールカウンセラーに関する事業を始める前からスクールカウンセラーを配置し始めています。そのため、小中学校全体として、スクールカウンセラーが配置されている割合は年々増えてきています。

スクールカウンセラーの仕事内容って?

具体的に、スクールカウンセラーはどんな仕事をしているのでしょうか。

児童・生徒や保護者に対するカウンセリング

スクールカウンセラーとして最も中心的な仕事が、児童・生徒や保護者へのカウンセリング対応です。

カウンセリングは児童生徒・保護者からの希望で行われたり、担任教員からの紹介で行われたりとさまざまです。

児童生徒の場合、相談内容は友人関係に関するものが多く、他には家庭での悩み、学習に関すること、担任教員との関係などがあります。相談は、休み時間や放課後などを中心に、予約をして実施されたり、自由来室として相談室が開放されている際に直接相談室を訪問して始まります。(※各校によって相談の仕方はさまざまなので、スクールカウンセラーや担当の先生、あるいはスクールカウンセラーだよりなどの配布物をご確認ください)

また、発達障害があり学校生活で困り感を抱いている子どもへのサポートや、昨今のコロナ禍や災害、環境変化などによるストレスに対して心のケアなど、様々な支援を直接行う場合もあります。

保護者の場合、学校や家庭での気になる行動や発達面に関する相談、登校渋りや不登校の相談、子どもの友人関係の相談が多く扱われます。
担任教員には直接言いにくい悩みも、第三者であるスクールカウンセラーになら話しやすいのではないでしょうか。スクールカウンセラーは、心理の専門的な立場から立場から、お子さんが楽しく充実した学校生活を送るためにどうしたらいいか、保護者の方と一緒に考えます。スクールカウンセラーには守秘義務があるので、話した内容の秘密は守られます。また希望すれば、スクールカウンセラーと担任の先生が連携することも可能です。秘密にするのではなく、積極的に連携してほしい場合はその旨伝えましょう。
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児童・生徒の行動観察

カウンセリング対象の児童・生徒はもちろん、すべての子どもたちが快適に学校生活を送ることができているかどうかを見るため、子どもたちの生活現場である教室へ実際に足を運びます。どんな場面で当該児童生徒がつまずいているか、逆にどんな場面ではうまくいっているのか、教室の環境がどう児童生徒に作用しているのかなどを専門的な視点から行動観察することも、スクールカウンセラーの大切な仕事です。

授業や休み時間の様子だけでなく、可能な場合はクラブ・委員会活動などさまざまな場面を観察することで、当該児童生徒の様子だけでなく、クラスの雰囲気や環境、風土も含め、実際の場面を観察することがしやすいのがスクールカウンセラーの活動の良さです。

教員に対するカウンセリング、研修の実施

スクールカウンセラーは、教員の相談に乗っています。教員とスクールカウンセラーが一緒に児童生徒の気になる面について考え、スクールカウンセラーから助言することをコンサルテーションといいます、コンサルテーションでは、支援が必要な児童生徒・保護者に対し、教員がどうサポートしていけばよいのかに関するアドバイスが主な内容です。

ほかにも、特別支援教育や不登校などについて、教員研修の講師を務めることもあります。

児童・生徒の学校生活の見学、観察

カウンセリング対象の児童・生徒はもちろん、すべての子ども達が快適に学校生活を送ることができているかどうかを見るため、子ども達の生活現場へ実際に足を運ぶことも、スクールカウンセラーの大切な仕事です。

授業や昼休みの様子だけでなく、クラブ・委員会活動、学童保育にも足を運び、子ども達の様子を確認し、学校生活を送る環境として適切かどうか確認します。

問題発生を予防するための活動

スクールカウンセラーは、心のケアが必要になった対象者の支援だけでなく、何か問題が発生するのを防ぐためにさまざまな活動をします。

例えば、「スクールカウンセラーだより」のような配布物を作り、スクールカウンセラーという子どもたちや保護者に相談窓口の認知を広めたり、児童・生徒などにアンケート調査をし、心と体の状態について簡単なスクリーニング(チェック)を行ったりします。

休み時間に相談予約の入っていない場合には、「自由来室」として、相談室を開放しているスクールカウンセラーも多くいます。これは、いざ相談しようと思った際に相談しやすくするために、休み時間を落ち着いて過ごしたい・ちょっと一息ほっとしたい時などに、特段の相談内容がなくても、スクールカウンセラーに話しに行けるようにしているものです。

また自治体によっては、スクールカウンセラーによる全員面接が必須であるところもあります(例 東京都は公立学校では小5・中1・高1の児童生徒へ全員面接を実施しています)。これは、いじめや不登校等の問題を未然に防ぐため、相談相手としてのスクールカウンセラーの紹介という意味合いも含めて実施されています。

スクールカウンセラーをゲストティーチャーとする心の授業や、保護者向けの講演会や地域の啓発講座などの講師をスクールカウンセラーが担うこともあります。

スクールカウンセラーはどんな人がやっているの?

基本的にスクールカウンセラーになる人は、公認心理師、臨床心理士、精神科医、大学教員のいずれかが多いです。公立学校のスクールカウンセラーの募集・採用は、各都道府県・指定都市ごとに行っています。
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