気分変調症(気分変調性障害)とは?うつとの違い、症状、診断、治療から併存しやすい病気まで詳しく解説【精神科医監修】

ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
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気分変調症(気分変調性障害)とは、比較的軽度の気分の落ち込みが慢性的に続く病気のことを指します。成人期早期に発症することが多く、慢性的な経過をたどりやすい病気です。

この記事では、症状、診断基準、治療方法、支援情報から、性格との関係、併存しやすい病気まで紹介します。

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監修: 増田史
精神科医、医学博士
滋賀医科大学 精神医学講座 助教
NPO法人ストップいじめナビ 特任研究員
精神疾患の偏見解消に向けた活動や、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症の脳機能に関する研究を行なっている。
目次

気分変調症/気分変調性障害とは?

この記事で分かること

  • 「性格のせい」と諦めがちな慢性的な落ち込みの正体と、気分変調症の基礎知識
  • うつ病との違いや、約40%が経験するとされる「二重うつ」などの併存疾患リスク
  • 完治ではなく「寛解」を目標に、長い目で自分をケアする治療の考え方
  • 自立支援医療や就労移行支援など、日常生活と仕事を支える具体的な公的制度
  • 精神保健福祉センター等の専門家へ相談し、孤立を防ぐための具体的なステップ
気分変調症(気分変調性障害)とは、<b>比較的軽度の気分の落ち込み、食欲の減退または増加、不眠または過眠、疲労感、集中力の低下などの症状が慢性的に続く病気</b>のことを指します。成人期早期に発症することが多く、短くても数年間、ときには一生続くこともあります。
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気分変調症(気分変調性障害)とは、比較的軽度の気分の落ち込み、食欲の減退または増加、不眠または過眠、疲労感、集中力の低下などの症状が慢性的に続く病気のことを指します。成人期早期に発症することが多く、短くても数年間、ときには一生続くこともあります。

症状があっても、本人は病気ではなく性格的な問題であると考えていることもあり、適切な治療が早期に受けられないこともあります。

この病気の症状自体は比較的軽度ですが、就学や就労、家事などの社会的な役割や人間関係など、日常生活に及ぼす影響は、うつ病と同等あるいはそれ以上と言われています。

男性と比べると女性のほうが約2倍の確率で発症しやすく、うつ病(大うつ病性障害)や不安障害、パーソナリティ障害などの他の精神疾患と併存する可能性があります。

「気分変調症」という名称は世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)(※)診断基準におけるものです。

一方、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では『DSM-Ⅳ』における気分変調性障害と慢性の大うつ病性障害を統合した障害概念になり、「持続性抑うつ障害(気分変調症)」という名称になりました。
このような症状が慢性的に2年以上続いているものを気分変調症と呼んでいます。うつ病とは症状が重複しているために、正確にうつ病と分けるのは難しい場合もあります。

気分変調症/気分変調性障害と併存しやすい病気

気分変調症はうつ病やパニック障害、境界性パーソナリティ障害などの病気と合併することが多い病気です。以下において、それぞれの病気を簡単に紹介します。

うつ病

うつ病と気分変調症は、症状は重複する点も多いですが、うつ病のほうが症状が重いことと、症状が持続する期間がより短い点において異なります。

気分変調症とうつ病が合併した状態は「二重うつ病」「重複うつ病」とも呼ばれ、再発率が高く、治療が難しいとされています。

気分変調症の診断を受けた患者がうつ病を併発し二重うつ病になる確率は、だいたい40%とかなり高いため、注意が必要です。
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パニック障害

パニック障害は突然の動悸やめまい、発汗とともに恐怖を感じる精神障害です。また、発作を繰り返すにつれて、「また発作が起こるのではないか」という不安と、「発作が起こる状況に対する恐怖」とを感じるようになります。

詳しくは以下の記事をご参照ください。
パニック障害(パニック症)とは? 突然の動悸やめまいといった症状、原因や治療法、体験談をご紹介【医師監修】のタイトル画像

パニック障害(パニック症)とは? 突然の動悸やめまいといった症状、原因や治療法、体験談をご紹介【医師監修】

境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder:BPD)は、対人関係や自己に対するイメージなどの広い範囲において、激しく考え方や感情が変化していく特性がある障害です。

自己イメージの混乱や見捨てられ不安などの特性があります。

詳しくは以下の記事をご参照ください。
境界性パーソナリティ障害(ボーダーラインパーソナリティ症)とは?【医師監修】のタイトル画像

境界性パーソナリティ障害(ボーダーラインパーソナリティ症)とは?【医師監修】

気分変調症/気分変調性障害は性格なの?

以前は、抑うつ神経症、抑うつ性パーソナリティなどと呼ばれ、性格的なものであると考えられていました。

しかし現在は、性格ではなく病気であり薬物療法の対象であるという考え方が主流です。

この病気の症状自体は比較的軽症のため、患者さんにとって日常の一部となってしまい、病気であることに自分ではなかなか気づけないこともあります。

そのため、うつ病以上に隠れた疾患であるとも言われています。
参考文献:黒木俊秀(2017)/著「持続性抑うつ障害とうつ病の慢性化」『臨床精神医学』 第46巻第5号 アークメディア/刊
https://ci.nii.ac.jp/naid/40021198395/

気分変調症/気分変調性障害はどのように治療するの?完治はするの?

気分変調症には画一的な治療法はありません。その人自身の人生の歴史や性格、今置かれている環境などを考慮して、ケースバイケースに対応して行く必要があります。

気分変調症の治療では、一般的には抗うつ薬などの薬物療法や、カウンセリングなどの精神療法が行われます。
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「完治」ではなく「寛解」をめざす

気分変調症を含め、精神疾患はかなり再発しやすい傾向にあります。

そのため、基本的には完全に病気が治ったという意味の完治という言葉を使いません。代わりに、症状が一時的に良くなったり、消えたりした状態を「寛解」と表現し、これを治療の目標とします。

わざわざ「寛解」という言葉を使うのは、たとえ服薬などにより調子がよくなったとしても、無理をしすぎず、焦らず今の状態を維持するために気遣う必要があるためなのです。

とくに、慢性的な経過をたどりやすい気分変調症は、長い目で経過を見守るという心持ちでいることが大切です。

気分変調症/気分変調性障害のある人の生活や仕事をサポートしてくれる制度

就労で困ったときに使えるサービス

気分変調症は慢性的な疾患で、日常生活や働くうえでも影響が出てくる場合があります。

就労で困ったときに使えるサービスとしては、公共職業安定所(ハローワーク)や就労移行支援、就労継続支援などがあります。

これらの就労支援サービスについては以下の記事をご覧ください。
精神障害の定義や種類、精神障害者保健福祉手帳・障害年金・生活保護・就労支援など、精神障害に関する支援について【専門家監修】のタイトル画像

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自立支援医療(精神通院医療)

自立支援医療(精神通院医療)とは精神疾患がある方で、かつ、通院による継続的な治療が必要な場合、その通院医療にかかわる医療費負担が原則1割になる制度です。

詳しくは、以下のリンクをご参照ください。
自立支援医療(精神通院医療)について|厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000146932.pdf
気分変調症の方が受けられる自立支援医療以外の経済的な支援などについては以下の記事をご参照ください。
精神疾患かな?と思ったら…病院選びから治療、経済面・生活面などの支援、相談先、対応の仕方まで【精神科医監修】のタイトル画像

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相談窓口

仕事や生活などで困った時は、精神保健福祉センターに相談してみることをオススメします。

精神保健福祉センターとは各都道府県及び政令指定都市に設置されている精神保健や精神障害者の福祉に関する機関です。こころの悩み全般に専門家がこたえてくれますので、気兼ねなく連絡してみましょう。

以下のリンクで全国の精神保健福祉センターを検索できます。
全国の精神保健福祉センター一覧|厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubutsuranyou_taisaku/hoken_fukushi/index.html

まとめ

気分変調症は気分の落ち込みなどのつらい症状が長引く病気です。また、その症状が日常生活に及ぼす悪影響は決して軽度ではなく、見過ごして良いものではありません。

少しでも気になる症状がある方は、少し勇気を出して、お近くの精神保健福祉センターや精神科・心療内科に相談してみてはいかがでしょうか?

自分だけでは見えてこなかった解決策が見つかるかもしれません。
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