本当はフラフラなのに…友達の前では気丈な息子、背中に見るは15歳のプライド
ライター:ひらたともみ
思わぬ事故で外傷性くも膜下出血になり入院したLDの息子リク。受験生になってようやく勉強に身が入り、成績があがってきた矢先の出来事でした。病床でも勉強を続けようとするものの事故の影響で内容が頭に入らず、焦り、嘆き、泣きじゃくる日々。そんなとき、友人が見舞いに来てくれて…。
回復するケガとふさぎ込む心
外傷性くも膜下出血で入院中の息子リク。
点滴も外れ、フワフワした口調もだんだんと安定し、状態は少しずつ良くなってはいましたが…。
受験まであと3か月、激しい頭痛に襲われたりと受験勉強に取り組めるコンディションではなく、そのことが息子を焦らせ、とうとう嘆くのにも疲れたのか、次第に笑わなくなっていました。
そんなある日、リクの友人がお見舞いに来てくれました。
点滴も外れ、フワフワした口調もだんだんと安定し、状態は少しずつ良くなってはいましたが…。
受験まであと3か月、激しい頭痛に襲われたりと受験勉強に取り組めるコンディションではなく、そのことが息子を焦らせ、とうとう嘆くのにも疲れたのか、次第に笑わなくなっていました。
そんなある日、リクの友人がお見舞いに来てくれました。
リクは学校の友だちの気兼ねないふるまいや、屈託のない話題に、大声で笑い、ほんの数分で、こぼれ落ちるほどの若きパワーが部屋中を駆け巡っていました。
それはなんだか懐かしい光景でもあり、私の心も救われたように思います。
それはなんだか懐かしい光景でもあり、私の心も救われたように思います。
入院してから、ロビーに出るのはこれが初めて。
歩き方もぎこちなく、息があがっているのが見ていてよくわかりました。
歩き方もぎこちなく、息があがっているのが見ていてよくわかりました。
つらさをこらえ最高の笑顔で友人に伝えた「ありがとう」
この日友人が来てくれたことで、リクは驚くほどはしゃぎ笑い、その表情は喜びで溢れていました。
勉強したいと焦り、嘆き、ふさぎこんでいたリクに対し、私は声をかけ励ましているつもりでしたが…リクにとっては軽々しく浮薄なものだったのかもしれません。
ひたすら気を使ったような私の励ましは、今のリクにとって、いつも通り接してくれる友人のくれるパワーには到底かなわないものだったのです。
友人達の前で、おぼつかない足取りながらも友人と肩を並べて歩くリク。
それはリクの精一杯の意地でした。
リクは私の知らないところでたくさんの絆をつくり育んでいました。
事故後、記憶の整理や物事の理解に困難が出ている状況なので、本当はみんなの話すスピードについていくだけで必死だったと思います。
それでも「友だちと歩きたかった」から見送るというリクの本心は、同情もせず、いつも通りに接してくれた友人たちへ向けた、彼なりのプライドの証なのかもしれません。
15歳という粗削りな経験の中でも自分の口からふいに「幸せだ」という言葉が出てしまうほど、これまで友人達と過ごしたなんでもない日々がリクの全てであり、守りたいものであり、宝物だったのです。
怖めず臆せず日常を取り戻そうとする勇敢なリクの後ろ姿を見て、子どもは親が思う以上に大人で、「うちの子がかわいそう」の愛情だけでは、もうどうにもならない年齢になったのだと心打たれた一日でした。
退院まであと少し。
いつか必ず、「そんなことがあったね!」と笑い合おうね!リク…!
勉強したいと焦り、嘆き、ふさぎこんでいたリクに対し、私は声をかけ励ましているつもりでしたが…リクにとっては軽々しく浮薄なものだったのかもしれません。
ひたすら気を使ったような私の励ましは、今のリクにとって、いつも通り接してくれる友人のくれるパワーには到底かなわないものだったのです。
友人達の前で、おぼつかない足取りながらも友人と肩を並べて歩くリク。
それはリクの精一杯の意地でした。
リクは私の知らないところでたくさんの絆をつくり育んでいました。
事故後、記憶の整理や物事の理解に困難が出ている状況なので、本当はみんなの話すスピードについていくだけで必死だったと思います。
それでも「友だちと歩きたかった」から見送るというリクの本心は、同情もせず、いつも通りに接してくれた友人たちへ向けた、彼なりのプライドの証なのかもしれません。
15歳という粗削りな経験の中でも自分の口からふいに「幸せだ」という言葉が出てしまうほど、これまで友人達と過ごしたなんでもない日々がリクの全てであり、守りたいものであり、宝物だったのです。
怖めず臆せず日常を取り戻そうとする勇敢なリクの後ろ姿を見て、子どもは親が思う以上に大人で、「うちの子がかわいそう」の愛情だけでは、もうどうにもならない年齢になったのだと心打たれた一日でした。
退院まであと少し。
いつか必ず、「そんなことがあったね!」と笑い合おうね!リク…!
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