キレやすいわが子に変化が!?アメリカ発の教育プログラム「セカンドステップ」を受けてみた…!

2018/04/16 更新

自閉症スペクトラム障害のわが家の息子が、昨年から受講しているプログラム「セカンドステップ」。これは、1980年代にアメリカで開発された教育プログラムです。日本でも未就学児から中高生向けに少しずつ、教育現場などで導入されつつあります。しかし、初めて耳にする人も多いのでは。一体どのようなものなのでしょうか?

協力:NPO法人日本こどものための委員会

林真紀
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息子の子育てに疲れていたときに舞い込んだ「被験者募集」

今から数年前、私は息子の子育てにとても疲れを感じていました。自閉症スペクトラム障害のある息子は、感情のコントロールが苦手なうえに、カーッとくると自分の気持ちを上手に伝えることができなかったからです。一度スイッチが入って泣きわめき始めると、もう私にはどうすることもできませんでした。

何をどうしたら良いのか、あてもなく、ただただ疲れていた私のもとに、ある大学の心理学研究室から「被験者募集」のお知らせが舞い込んだのでした。

そのお知らせには、「セカンドステップ」というタイトルが書かれていました。当時の私は、このプログラムについて全く聞いたことがありませんでした。「問題行動のあるお子様とその親御さんが対象」と書いてあったので、「ペアレントトレーニングの一種かな。親の声かけのレクチャーかな?」と思った程度です。

何はともあれ、そのときの状況を打開したくて、藁をも掴む気持ちで被験者として息子と一緒に申し込んだのでした。

アメリカ発「セカンドステップ」

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写真提供:NPO法人 日本こどものための委員会
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こうして、私と息子は「被験者」として、月に一度のペースで大学の研究室に通うようになりました。

通い始めてすぐ、私は「セカンドステップ」がペアレントトレーニングやカウンセリングとは別物であることに気付きました。

セカンドステップとは絵、写真、人形劇のパペット、音楽等を使って、子どもにソーシャルスキルを学ばせるプログラムです。レッスンは25回ほどあり、指導者が毎回決まったレッスンを行います。

ソーシャルスキルとは、具体的には「怒りへの対処(アンガーマネジメント)」「衝動性のコントロール」「共感」といったものです。息子が受けているセカンドステップの教材は、「相互の理解」「問題の解決」「怒りの扱い」の3つの柱から構成されています。(最新の教材では、「学びのスキル」「共感」「情動の扱い」「問題の解決」となったそうです)

息子は現在、10回目のレッスンを終えたところです。レッスンでは、怒った子どもの写真を見せられて、

「この子はどんな気持ちかな?」
「怒っている」
「どうして怒っているって分かる?どこを見ればいいかな」
「眉毛が上がって…眉間に皺が寄って、口が下に下がっている」
「〇〇君はどんなとき怒った気持ちになるかな?」
「お友達にうるさいって言われたとき」
「怒ったとき、身体はどんな感じになるかな?」
「頭がカーッと痛くなって…手がブルブルして…殴りたいって思う!」

というようなやり取りが行われます。このように、写真を分析したり、人形劇等を行うことによって、息子は顔の表情、気持ちがわかるようになり、そのときに自分や他人に起こる変化について、冷静に感じ取ることができるようになります。

息子は今は感情について分析するレッスンを受けていますが、この後、「どうすれば怒った気持ちが落ち着くか」ということについてのワークも準備されているようです。

セカンドステップは校内暴力が多発した1980年代のアメリカで、こどものための委員会(Committee for Children)が開発した教育プログラムです。この教育プログラムの実践により、問題行動のあった児童の攻撃的な態度がおさまり、人間関係にも改善が見られたと言います。アメリカのセカンドステップは、未就学児向け・小学生低学年向け・高学年向け・中学生向け、及びその保護者向けのプログラムが準備されているそうです。

日本の教育機関でも

日本でもこの教育プログラムの効果に着目し、教材を翻訳し、教育機関に導入したNPO団体があります。「NPO法人 日本こどものための委員会」です。この委員会は、2001年4月に設立され、現在は「セカンドステップ」の普及活動を中心に行っています。本場アメリカでセカンドステップを開発したNPO法人であるCommittee for Childrenから、日本国内で普及活動を行う権利を唯一認められた団体だそうです。

セカンドステップ映像(NPO法人 日本こどものための委員会のホームページより)

現在日本でも、東京都品川区の公立小学校をはじめ、保育園や児童養護施設、児童相談所、少年院でも導入されているそうです。

わが家の息子は、月に一度セカンドステップに通うようになって一年になります。プログラムを受け始めてから、自分の感情についてきちんと理解し、大人に助けを求めたり、自分の気持ちを説明することがとても上手になりました。パニックになったり、キレてしまったりするときは、ほとんどが自分にわきおこる「何か(感情)」を理解できていないときです。

「あ、僕は今怒っている」
「手がブルブルしている。口が渇いている。涙も出てきた。」
「こういうときはどうしたらいいんだっけ…?」

息子は自分がコントロールを失いかけたとき、こんな風に自分自身と冷静に対話することができるようになったと言います。それは、セカンドステップで学んだことです。

「怒っちゃダメ」「キレるのは恥ずかしいことだよ」

そんな言葉では、子どもが自分自身をコントロールすることは難しいのかもしれません。自分の気持ちを一歩引いて眺めてみる、あるいは相手の気持ちになって考えてみる、そうすることで、自分の気持ちと上手につき合っていくことができるのかもしれません。

息子のセカンドステップのレッスンはまだまだ続きます。今後も、息子の変化に期待です。
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