療育はほどほどに!?聴覚過敏でジェットタオル拒否の息子。17歳になった今振り返る、療育のありかた

ライター:立石美津子
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息子が幼いころ通っていた療育施設では、“ジェットタオルに手をかざす訓練”が行われていました。聴覚過敏のある息子は、自宅以外のトイレに近づくことに恐怖を覚え、おしっこをしなくなってしまいました。

でも当時の私は「何とか公衆トイレのジェットタオルを使えるようになってほしい」と強く願っていました…。

『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。

聴覚過敏でパニックを起こしていた息子

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自閉症の人には、聴覚過敏がある場合が多いと言われています。幼い頃の息子にも過敏さがあり、掃除機、ドライヤー、洗濯機などの音を聞くとパニックを起こしていました。そのため髪の毛はタオルで拭けば乾くように、ずっと坊主刈りにしていました。
特に嫌がる音は、公衆トイレに設置してあるジェットタオル。あのブィーンと鳴る音が、恐怖のようでした。

療育施設で行われていた、大きな音に慣れる訓練

当時、ある療育施設に通っていました。その施設のトイレにはジェットタオルが設置してあり、音に慣れるための訓練をしていました。

なかには、家庭内のトイレにまでジェットタオルを設置し、親が“療育の先生”に変身し、家でも必死に訓練しているママもいました。

もちろん、訓練して使えるようになった子どももいましたが、息子の場合は、無理やりジェットタオルの下に手を持っていかれる練習を断固拒否。そのうち、療育施設の入り口に来ると身体をこわばらせるようになってしまいました。

さらに、療育中は尿意をもよおしても絶対におしっこをしてくれなくなり、ジェットタオルが設置されていない駅の公衆トイレで済ませるようになってしまいました。

「将来、この病院に入院することになりますよ!」主治医の言葉で、目が覚めた

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当時、通っていた都立梅ヶ丘病院の主治医に「ジェットタオルの音を嫌がります。生活していく上で不便で将来これでは困るので、今から練習させてなんとか慣れさせたいんです。どうしたら使えるようになりますか?」と相談しました。

すると、医師から次のように叱られてしまったのです。

「お母さん!そんなことをしていると、将来、二次障害を起こして、この病院にお子さんを入院させることになりますよ!」

「今すぐにそんな練習は止めなさい。ジェットタオルのない公衆トイレだってあるんだから、お母さんが“ジェットタオルが設置されていないトイレマップ”を作って、そこに連れて行けば済むことです。

それから、障害児なんだから堂々と身障者用トイレを使えばいいんです。そこだったら、急に誰かが入ってきてジェットタオルを使うことはないでしょ。息子さんも安心しておしっこができるはずです」

この病院には、障害特性を理解されない環境で幼児期、学童期を過ごし、思春期を迎え、深刻な二次障害を起こしている子どもが大勢入院していて、246床のベッドは常に満員でした。
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