そして、母になった今。

悩みで押しつぶされそうだった私にとって、あの1年間の留学生活はその後の人生の大きな支えとなりました。

周りのネガティブな評価にくじけそうになったときには、アメリカ人の友達が言ってくれた言葉を思い出し、ポジティブな言葉に置き換えてみました。20歳のときの経験が、その後の20年を支えてくれたのです。

そして先日、ある大学教授の発達障害に関する講演会に行ったときのことです。講演者の先生がこう言ったのです。

「相手が年長であろうと偉い人であろうと、ズバズバと思ったことを言ってしまうのがASDの方の特性なわけですが。この特性は、アメリカなどでは、割とウェルカムなんですよね。ですから、問題になりにくいし、ご本人もそれが原因で生きづらさを感じることはあまりない。つまり、発達障害は実は社会との関連なんですよ。

この講演を聞いたときに、私は自分を支え続けてくれた20年前のアメリカでの経験が蘇ります。
発達障害は社会との関連。まさにこの言葉を、私は20年前に体感していたのでした。

だからこそ、今、発達障害児の息子を育てていても、私は全く悲観的になることはないのです。 それは、息子が心地よいと感じられる場所は、この世界には必ず存在していると信じているから。そして、私たちの周りも、今や教育環境も発達障害への理解も大きく変わりつつあるから。

今この場所が辛いとしても、それを全てだと思わないことの大切さを、私はあのとき学んだのです。
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