聴覚過敏の息子をピアニストに!?自閉症の息子の「才能探し」に奔走した日々を振返って思うこと

ライター:立石美津子
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私の息子は自閉症です。あるとき、息子には絶対音感があり、耳がいいことに気づきました。そこで、「将来、ピアニストにしよう」と奮い立ちました。更に「将来、その才能を生かして食べていけるかも…」と妄想は膨らみました。周りからも「自閉症の子って秀でた才能があるでしょ」と言われ、息子の気持ちも考えずに夢見ていました。

『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。

自閉症の息子、将来はピアニストか調律師に…!?

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10165000833
17歳の息子には聴覚過敏があります。そのせいで、乳幼児期は掃除機、ドライヤー、洗濯機、赤ちゃんの泣き声など、多くの音を嫌がりました。

生後4ヶ月のとき、お腹にいるころから胎教でずっと聴かせていた“ヴィバルディの四季”のCDが壊れて聴くことができなくなりました。そこで、同じ曲ですが、違うオーケストラが演奏するCDを買ってきたところ、特定箇所になると火がついたように泣くのです。

さらに数か月後、胎教で聴かせていたのと同じオーケストラが演奏するCDを買って聴かせたら、今度は同じ箇所でも泣かなかったのです。

この様子を見て、「この子はきっと耳がいいんだ!これを生かして職業に就かせ自立させよう」と思い立ちました。

有名人に憧れた、息子の幼少期

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息子が自閉症であることが分かってからは、更にこの思いが加速していきました。

盲目のピアニストの辻井伸行さんや、ダウン症がある書家の金澤翔子さんなど、障害がありながら才能を開花させている人たちをテレビで見ると、息子への期待値もドンドン高くなっていきました。

特にノーベル文学賞作家の大江健三郎さんのご子息・作曲家の大江光さんがピアノを演奏している姿を見て、奮い立ってしまいました。光さんは知的障害があり、「幼少期から野鳥の声を正確に聞き分けて名前を言い当てていた」というエピソードに息子の姿が重なったからです。

息子も耳の良さを生かして、カラスや鳩の鳴き声を聞いて「はしぶとがらす」「どばと」「かわらばと」と言い当てて、絵もよく描いていました。将来、テレビで「お子さんの成功はお母さんの努力の賜物ですね」とインタビューを受ける姿を妄想しました。

天才ピアニストを目指す

息子が4歳になったとき、有名なピアノ教室に、片道1時間半かけて通わせることにしました。

レッスンのなかに14種類の和音を聞き分ける絶対音感獲得のための訓練がありました。通常は 最低1年は要すと言われ、長い子だと習得に数年かかるものでしたが、息子はたった2ヶ月ですべての和音をピタリと当てるようになりました。

先生から「今まで指導したお子さんのなかで一番早くマスターしました」と言われ、有頂天になりました。
「ピアニストにするには電子ピアノではダメだ」と思い、中古でしたが30万円するピアノを買いました。当時は狭小住宅に住んでいたので置き場所がなく、ベッドを捨てて布団に変え、ピアノを置くスペースを確保しました。
次ページ「たった1年で挫折」

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