自閉症の息子に「相手の気持ち」をどう教える?人と関わりたい息子の学び方とは…?

ライター:立石美津子
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自閉症があると「自分の殻に閉じこもって人と関わらない」と思われがちですが、そんなことはありません。息子も幼いころは一切お友達と関わることなく一人遊びが多かったですが、今は真逆に。そして、困ったことも度々起こっています…。

『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。

路線バス使用禁止に!その原因は…

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特別支援学校高等部に通う息子の担任から、電話がありました。

「昨日の下校時、立石君が路線バス内で友達にしつこくしてしまいました。友達はそのせいでパニックになり暴れ、バス側にも周りの乗客にも大変な迷惑をかけてしまいました。これからは登下校時にバスを使わないでください」

しつこくする行為と言うのは、その子の名前を替え歌にして大声で歌ったり、身体に触ったりしたのだと思います。

息子の学校にはスクールバスがありますが、障害により体力のない生徒など特別に許可が出た場合のみ利用できます。息子は対象外だったので公共の交通機関を使っていました。

同じようなことが昨年も4回ほどあり、生活指導の先生も入って学校側とその都度話し合い半年程は落ち着いていましたが、またやってしまったのです。

自宅から学校までは、バスで4駅ほどの距離。頑張れば歩けるので、今は徒歩で通学しています。

「相手の気持ちを考える」…どう話したら、理解できる?

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担任からの電話を受け「さて、帰ってきたらどうやって叱ろう?」と私の頭の中はあれこれ忙しくなりました。

「お友達の気持ちになってみなさい。自分だって同じことやられたら嫌でしょ!」
いや、そもそも相手の立場に立って考えられないだろう…。

「『お母さんはあなたのこと信じているから、これからは二度と同じことをしないで』って言おうかな?」
いや、抽象的で曖昧な表現は通じないだろう…。

「またバスの中で友達にしつこくつきまとったらしいね!何度同じことを注意されたら分かるの!いい加減にしなさい!担任からも電話あったよ!やられた子の親はきっと凄く怒っているよ!」
これじゃあ追い詰めるだけ…。

どう伝えたらいいか、分からなくなってしまいました。

「ほかの人の気持ちを想像し、理解する力」が低い息子

他者の心を類推し、理解する能力のことを“心の理論”と言います。自閉症の息子は、この力がなかなか育っていきません。
他者の気持ちを理解できるかを測る“サリー・アンのテスト”、これも不正解でした。
これは、病院での検査の結果です。一見、〇が多いように見えますが、主治医に聞いたところ17歳でこの正答率はかなり低いとのことです。
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下段の所見には次のように書かれていました。

「後半はストーリーが複雑であるため、ストーリー理解に困難さがありました。○○君は目に見えた事実そのものは理解できますが、他者がどう思っているかということなど他者視点を理解することが難しい様子でした。また、話の文脈から状況理解をすることも難しく、相手が話している内容をそのまま受け取ってしまう傾向も見られました。状況を察することが難しいので、一つひとつ説明をすることが必要だと思われます。また、他者視点の弱さもあるため、周りがどう思っているかなどについて、説明が必要となります

バスの中でのトラブルも、相手がものすごく嫌がっているのにそれが理解できず、「自分がこうしたい」という気持ちだけで突っ走ってしまったのが原因です。

相手の気持ちを想像することが難しい息子に、どういう風に話したら伝わるのでしょう。
次ページ「担任に相談してみると…」

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