リトミックとは?具体的な目的・効果・音楽療法との違い、受けられる場所・選び方・費用についてもご紹介!

リトミックとは、音楽活動を通して心や身体の発達を促す教育法です。スイスの作曲家・音楽教育家エミール・ジャック=ダルクローズによって考え出された教育法で、現在は保育園や幼稚園、児童発達支援施設、特別支援学校など、多くの現場で取り組まれています。この記事ではリトミックの具体的な内容から、受けられる場所・費用まで詳しくお伝えします。

リトミックとは?
出典:http://www.j-dalcroze-society.com/eurythmics.html全身を使って音楽を動きで表現するリトミックと、音楽を聴く耳を育てるソルフェージュ、即興演奏を組み合わせ、音楽の諸要素を体験する事を教育法の原点に置き、音楽理解を深め、動きによって得た筋肉感覚を生かし、その積み重ねにより自己を開放し、磨かれた感性をもとに、自己音楽表現を可能にする事がこの教育法の目的です。
最近では、保育園や幼稚園といった幼児教育の現場や、児童発達支援施設、小学校、特別支援学校、さらには高齢者を対象としたリトミックなど、多方面で導入されています。
リトミックと音楽療法の違い
一方で音楽療法は、音楽が持つ力を使って対象者の困りごとを軽減したり、心身の発達を促したり、よりよい生活が送れるようにアプローチする療法を指します。
「音楽療法士」の資格を持った専門家が、対象者の目的や症状に合わせてプログラムを組み、病状・症状の改善、健康維持に努めます。音楽の親しみやすさやリラックス効果から、福祉・教育・医療の現場で幅広く活用されています。
どちらも音楽を利用する点は同じですが、教育方法か療法かという点で大きく異なるのです。

関連記事
音楽療法とは?音楽療法を取り入れる目的・対象は?具体的な音楽療法の受け方までご紹介します!
リトミックのメリットとは?
・集中力がつく
音楽に耳を澄ましながら、音に合わせて体を動かすという「聴いて動く」動作を繰り返すことによって、一つの物事に対する集中力がつくと考えられています。集中力はリトミックにおいて最も重要視される力です。
・表現力が豊かになる
リトミックでは、音楽を聴いて自分なりに表現する場面がたくさんあります。「どんな風に表現したらいいのか」、何度も考えて表現するうちに、多様な表現方法を体得していくことが期待できます。
・社会性、協調性が身に付く
他者と動きを合わせたり、同じタイミングで行動したりすることで、集団で活動する難しさ・楽しさを体感でき、そうした中でコミュニケーション能力の向上を促します。
その他にも、音の様子(強弱、高低、スピード)から求められる行動を考える判断力や音楽の基礎的な力、運動能力が身につくといわれています。
発達障害のある子がリトミックを受けるメリットは?
こういった困りごとや生きづらさはソーシャルスキルと関連していると言えます。ソーシャルスキルは「他人と良い関係を築き、社会に対応するために必要な力」のことです。通常は成長していく過程で自然と身についていくものですが、発達障害のある子には、ソーシャルスキルを自然に身につけることが難しい場合もあります。
しかし、リトミックで楽しみながらであれば、発達障害のある子も自然にソーシャルスキルを高められるかもしれません。リトミックは、子どもたちに親しみやすい音楽でバランスの取れた能力を養えるのが長所であり、実際に多くの児童発達支援施設や特別支援学校、放課後等デイサービスで導入されています。
なるべく子どもに負担のない形で、社会で生きていくために必要な力を獲得できると考えられているリトミックは、発達障害のある子も受け入れやすいのではないでしょうか。

関連記事
発達障害とは?発達障害の分類・症状・特徴・診断方法はどのようなもの?

関連記事
ソーシャルスキルとは?定義や測り方、ソーシャルスキルトレーニング(SST)の方法や実施機関まとめ
リトミックを受けた体験談
出典:https://h-navi.jp/selective_surveys/1461歳から幼稚園入園直前までリトミック教室通わせていました。当時は発達障害だと気づいていませんでしたが、音楽に合わせて動く、止まるなど、感覚統合につながっていたのではないかと思います。勿論それだけの影響ではないと思いますが、中学3年生になった今、DQも社会性も上がって、支障を感じない程度になってきたので、結果的にはいい選択だったと思っています。
出典:https://h-navi.jp/selective_surveys/1462歳に通い始めたリトミック教室で、小学校入学時点でピアノの個人レッスンに移行しました。2年目に入っています。家で練習するまではいかないですが、週1回楽しく通っているようです。先生にはリトミックの頃から長い期間見てもらっているので、うちの子供の性格を十分理解された上で指導してもらっています。
出典:https://h-navi.jp/selective_surveys/146他の子が喜んで踊ったりタイコを叩いている中、全く踊らず抱っこ!、タイコも怖がって近づかず…。どうして⁈と思っていました。結局、最後まで溶け込むことは出来ずに親が辛くなり辞めました。
その時からすでに、初めての事に対しての不安や恐怖があったんだろうなぁ、と今になって思います。
初めての事に対する不安感は、年々減少していますがまだまだ課題です。
リトミックって具体的にどんなことをするの?
即時反応では、音楽が鳴っている間は自由に動いて表現し、音楽が止まると動きを止めるという動作を繰り返す活動を行います。音楽が鳴っている間の表現は「動物になりきってみよう」「ゆっくり歩いてみよう」などと大まかなルールを決めておき、子どもたちはルールに沿って各自考えて動きます。
即時反応で培える力
「即時反応」の他にもリトミックで扱う項目は「声のコントロール」 「遊び歌」「演奏」など多岐にわたり、子どもたちの成長に合わせて最適な内容が選ばれます。
リトミックは何歳から始めるのがベスト?
やがて5歳には成人と同程度の聴力を持つようになり、音程を取ったり、音の高低といった音域の違いも読み取れます。このように年齢や発達の度合いによって、音への理解度はまったく違うのです。
リトミックを受けるには?費用はどれくらいかかる?
・リトミック専門団体(特定非営利活動法人リトミック研究センター)と提携している教室に通う
・自治体の講座やイベントに参加する
・リトミック教材を購入して自宅で行う
・音楽教室や個人教室のリトミックレッスンを受ける
・幼児教室でリトミックを取り入れているところに通う
・保育園や幼稚園、児童発達支援施設、放課後等デイサービスのカリキュラムを確認し、取り入れているところに通う
音楽教室や個人教室は、集団レッスンはもちろん、個別レッスンを展開しているところもあるのが強みです。
保育園や幼稚園、児童発達支援施設などでは、普段の子どもたちの様子や個人差を熟知している担任や指導員がリトミックを行うケースが多く、性格や発達段階、能力を考慮したリトミックを受けられる利点があります。
集団と個別それぞれの長所
個別レッスンではその子の発達や能力に合わせたリトミックをじっくり受けられるので、新しい環境や物事に慣れるのに時間がかかる子には適していると言えるでしょう。集団でも個別でも、リトミックは定期的に受けることが重要です。
費用の相場
保育園や児童発達支援施設などでカリキュラム自体に含まれている場合は、追加料金なしで受けられることがほとんどです。また、自治体などで行うリトミックイベントは1回1000円以内で参加できることが多いようです。
音楽教室や個人教室の相場は大体月額5000円以上になりますが、入会前に無料体験レッスンを設けている教室もあり、体験をしてから入会を決められます。
どんな教室を探せばいい?
・費用は無理のない範囲か
・年齢、発達に合わせたレッスンがあるか
・レッスン内容はリトミックの理論に即していて質が高いか
・音楽教室や幼児教室であれば、先生が子どもの障害に理解があるか
まずは体験してみて自分の子どもに合うか見極めることがポイントです。集団か個人か、そもそも定期的に通い続けられるかどうか、子どもと相談して決めると良いでしょう。他の習い事と同様に、リトミックにも向き不向きがあるため、本人が楽しく通えるかが一番大切です。
児童発達支援・放課後等デイサービスでのリトミック
集団で行われていることが多く、音に合わせて動いたり、動物や乗り物になりきって表現してみたり、子どもたちが親しみやすいリトミックが取り組まれています。
リトミックの講師を招いて、子どもたちに専門的なリトミックを提供しているところもあります。発達障害に詳しい先生が行うケースが多く、困りごとやトラブルへの配慮もあるのが安心です。
まとめ
障害のある子にとっても楽しみながらソーシャルスキルを獲得できる助けとなる可能性が高く、児童発達支援や放課後等デイサービスなどでも積極的に取り入れられています。
音楽教室、保育園や幼稚園、児童発達支援施設などさまざまな場所でリトミックを体験できますが、子どもに合うのかどうかをよく見極めて通うのがおすすめです。

関連記事
自閉症の息子に合った習い事はどれ?あれこれ習わせてわかったこと

関連記事
音楽療法とリトミックの違いって?生きにくさを軽減してゆく「療法」であることの意味

関連記事
嫌なことからは脱走!そんな息子を成長させた「音楽療法」とは?

あわせて読みたい関連記事

発達障害がある子に必要な支援とは?関わり方から、活用できる専門機関や公的サービス、民間資源についても紹介!

音楽療法とは?音楽療法を取り入れる目的・対象は?具体的な音楽療法の受け方までご紹介します!
この記事を書いた人
発達障害のキホン さんが書いた記事

メラトベルとはどんな薬?自閉スペクトラム症のある子どもなどに処方される睡眠障害の改善薬メラトベルの効果や副作用などを詳しく解説!

発達が気になる子どもの保育園や幼稚園での「加配制度」とは?障害児保育や小学校以降のサポートについても解説。児童発達支援や保育所等訪問まで【サポート情報まとめ】

1歳半健診でことばの遅れが気になったら?赤ちゃんのコミュニケーション力を家庭で育む3つのポイントとは?家庭で活用できるチェックリストも紹介
