「センサリーフレンドリー上映、どうだった?」感覚過敏やADHDなどがある人にインタビュー!

発達障害当事者へのインタビューの様子
イラスト:かなしろにゃんこ。
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上映試写会に参加していた、感覚過敏のある自閉症やアスペルガー、多動性が強いADHDのある人たちに、センサリーフレンドリー上映会について聞いてみました!

自閉症があり、音と光に過敏性がある大学生の土生雄介さんは、通常の上映では大きな音が耳に針を刺されたように感じてしまうので、耳栓を使ってボリュームを下げたりしながら鑑賞しているそうです。

加えて、「会場が真っ暗にならなかったので、字幕の文字も見やすかったです。普通の映画館では、スクリーンがまぶしすぎて時々目をそらさなきゃいけないけど、今回は大丈夫だった!」と笑顔。映画館のスクリーンで観るとやはりワクワクできるので、音や光に邪魔されず映画鑑賞できるのは最高だと感じたそう。

ADHDがある小林創さんは、小さい頃から落ち着きがなく、映画鑑賞中に声を出してしまったりするときがあったのだとか。「“声を出しても動き回ってもOK”という表示を見て、実際には座っていられたのだけれど、それだけでとても安心できた」といいます。

アスペルガー症候群がある杉本あいみさんは、映画についての感想を話してくれました。「中学生くらいまでは感情のコントロールが難しく、ヒステリックになってしまった点が主人公と自分が重なった。映画を観終わって、主人公の“叶えたい夢のためなら苦手なことも頑張れる”というのが、私自身の経験と重なって、自分の成長も感じることができた」

かなしろにゃんこ。自身、実は真っ暗&大きな音が鳴る映画館は苦手。上映中に具合が悪くなることもありしましたが、今回の「センサリーフレンドリー上映」を体験してみて「なんて快適なんでしょう♡」と感動です。この取り組み、どんどん広めたくなっちゃいました。

感覚過敏を研究する高橋先生(国立精神・神経医療研究センター)の“音と光の調整への助言”、その内容とは?

国立精神・神経医療研究センターの高橋秀俊医師へのインタビューの様子
イラスト:かなしろにゃんこ。
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センサリーフレンドリー上映を提案し、準備段階からかかわってきた児童精神医学、精神発達・生理学的研究を行っている高橋秀俊先生に、配慮したポイントを伺いました。

配慮ポイント
■大きな音を痛く感じる人も。全体的にボリュームを絞る
■突然の音や高音を不快に感じやすいので、該当シーンが始まる少し前からボリュームを絞る
■客席が暗いとスクリーンとのコントラストがきつく眩しく感じやすいので客席を少し明るくする。周りが見えることで不安感も和らぎやすい。

不快に感じるレベルの音には個人差がありますが、自閉症がある人は聴覚の過敏性をかなりの割合で併発していることが多く、また、高音域の音やサプライズ的な突然の音にも過敏です。

自閉症でなくても一定の割合で感覚の問題を有する人は存在しますから、今後こういう上映会が各地で行われるといいと思います、あらかじめセンサリーフレンドリー上映とアナウンスしてもらって理解してもらうと良いと思いますし、啓発に繋がることも期待したいです」

この映画や、上映会が持つ可能性って?日本自閉症協会会長の市川さんはじめ、自閉症に詳しい方々に伺いました!

日本自閉症協会会長の市川宏伸さん、副会長の今井忠さん、国立重度知的障害総合施設のぞみの園の日詰さん
イラスト:かなしろにゃんこ。
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日本自閉症協会会長の市川宏伸さん、副会長の今井忠さん、国立重度知的障害総合施設のぞみの園の日詰さんにも映画や上映会の感想を伺いました!

「館内の中に用意された特別な案内表示や、あと〇分で上映というプラカードが出ることも自閉症がある人には先の見通しが立って安心できるんです。発達障害がある子を育てている親御さんは、子どもが動き回ることを気にして映画館から足が遠のきがちです。でも、“動き回ってもOK”と大きく掲示してもらえたら気兼ねなく楽しめると思います」(市川さん)

「上映会でこうした配慮をしてもらえると、一般の人にもどういう配慮が必要かが自然に理解されるようになるのもいいですね」(今井さん)

「台本(スケジュール)があることで毎日を安心して過ごせるという特性がある自閉症の女の子が、脚本を書くという設定が、洒落がきいている。そこに込められた映画の思いも伝わる。自閉症の特性をよく分かっているなぁと思いましたよ」(日詰さん)

映画を通して、自分とは違う感じ方・とらえ方をする人がいることに気づけたり、上映会が広がることで自然とどんな配慮が必要かが理解されるようになる――『500ページの夢の束』という映画は、主人公が夢に向かって頑張る姿に心打たれるだけでなく、社会を変えていく一歩になるのかも!皆さんのお話を伺って、そんな大きな可能性があるんじゃないかな?と感じました。
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