スボレキサント(ベルソムラ®)と他の薬の違い
睡眠薬は、スボレキサント(オレキシン受容体拮抗薬)を含めて、大きく5つに分類することができます。それぞれの特徴や強さを解説することで、スボレキサントと他の薬の違いを見ていきます。
バルビツール酸系
もっとも古い睡眠薬といわれ、手術時の麻酔薬として使われていたこともある薬です。脳の大脳皮質や脳幹に作用して、脳の覚醒を抑えることで、眠気を誘発します。
ペントバルビタールカルシウム(ラボナ®)やアモバルビタール(イソミタール®)などがありますが、効き方が強すぎる、耐性・依存性・副作用(呼吸抑制や重篤な不整脈)のリスクもあるため、現在はベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系などが主流となっています。
ペントバルビタールカルシウム(ラボナ®)やアモバルビタール(イソミタール®)などがありますが、効き方が強すぎる、耐性・依存性・副作用(呼吸抑制や重篤な不整脈)のリスクもあるため、現在はベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系などが主流となっています。
ベンゾジアゼピン系
バルビツール酸系睡眠薬のリスクの見直しから、「もっと安全な睡眠薬を」と開発された睡眠薬です。脳内の神経興奮に関わるベンゾジアゼピン受容体を刺激することで、脳の興奮が抑えられ眠気を誘います。
作用の持続時間によって、超短時間型、短時間型、中間型、長時間型の4タイプに分類されます。多種類に及びますが、代表的なものとしてはトリアゾラム(ハルシオン®)、ブロチゾラム(レンドルミン®)、フルニトラゼパム(サイレース®)などがあります。不安から睡眠障害が起きている場合、抗不安効果があるエチゾラム(デパス®)、アルプラゾラム(コンスタン®)などが処方されることもあります。
作用の持続時間によって、超短時間型、短時間型、中間型、長時間型の4タイプに分類されます。多種類に及びますが、代表的なものとしてはトリアゾラム(ハルシオン®)、ブロチゾラム(レンドルミン®)、フルニトラゼパム(サイレース®)などがあります。不安から睡眠障害が起きている場合、抗不安効果があるエチゾラム(デパス®)、アルプラゾラム(コンスタン®)などが処方されることもあります。
非ベンゾジアゼピン系
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の筋弛緩作用(筋肉を緩めてしまう作用)を減らし、さらに改良したもので、1980年頃から使われるようになりました。
これによりベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用であったふらつきなどが改善され、安全性も高まりました。作用機序はベンゾジアゼピン系と同じですが、すべて超短時間型のため、入眠障害のみに用いられています。ゾピクロン(アモバン®)、エスゾピクロン(ルネスタ®)、ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー®)などがあります。
これによりベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用であったふらつきなどが改善され、安全性も高まりました。作用機序はベンゾジアゼピン系と同じですが、すべて超短時間型のため、入眠障害のみに用いられています。ゾピクロン(アモバン®)、エスゾピクロン(ルネスタ®)、ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー®)などがあります。
メラトニン受容体作動薬
脳内の視床下部という部位から出るメラトニンというホルモンが、脳内のメラトニン受容体に作用すると、自然な眠気を感じます。
メラトニン受容体作動薬はメラトニン受容体を刺激することで入眠に導く薬であり、自然に近い睡眠を誘発する点では、スボレキサントと似ているといえます。安全性も高く、耐性・依存性もほとんどありませんが、作用が弱いという欠点があります。現在のところ、メラトニン受容体作動薬はラメルテオン(ロゼレム®)の一薬のみです。
メラトニン受容体作動薬はメラトニン受容体を刺激することで入眠に導く薬であり、自然に近い睡眠を誘発する点では、スボレキサントと似ているといえます。安全性も高く、耐性・依存性もほとんどありませんが、作用が弱いという欠点があります。現在のところ、メラトニン受容体作動薬はラメルテオン(ロゼレム®)の一薬のみです。
スボレキサント(ベルソムラ®)の用法・用量
用法
通常、成人・高齢者ともに1日1回、就寝直前に経口服用します。新生児、乳児、幼児および小児等への使用実績はなく、安全性は確立できていません。
服用して就寝した後、睡眠途中で一時的に起きて、仕事などの活動をする可能性がある場合は服用してはいけません。また、スボレキサントは食事時間によっても入眠効果に影響があるため、食事と同時、または食事直後の服用は控えましょう。
服用して就寝した後、睡眠途中で一時的に起きて、仕事などの活動をする可能性がある場合は服用してはいけません。また、スボレキサントは食事時間によっても入眠効果に影響があるため、食事と同時、または食事直後の服用は控えましょう。
用量
スボレキサントには、10mg、15mg、20mgの3種類の錠剤があります。通常、成人は1日1回20mg、高齢者は1日1回15mgを、経口服用します。
スボレキサント(ベルソムラ®)の副作用
スボレキサントは副作用が比較的少ないといわれていますが、ゼロではありません。どんな副作用があり、出た場合はどう対処したらいいのでしょうか。
傾眠
傾眠とは、眠気でウトウトしてしまう状態のことです。スボレキサントは効果の持続時間が6~8時間のため、服用した翌朝以降に影響が出ることもあり、傾眠があるときの自動車運転、機械作業は非常に危険です。運転や危険な作業を避けることが最善策ですが、それでも傾眠が強い場合は、医師と相談のうえ、薬を変更することも検討しましょう。
悪夢
睡眠にはレム睡眠(身体は眠っていても脳が起きている状態)とノンレム睡眠(身体も脳も眠っている状態)がありますが、悪夢を見てしまうのはレム睡眠時です。悪夢の原因が睡眠薬なのか、ストレスの元となっているものなのか、医師と相談しながらしっかり見極めていくことが大切です。
頭痛
スボレキサントの持続時間によって、起き抜けに頭痛がしたり、頭がボーッとする感じが続く原因になることも。頭痛が起きた場合は、医師に相談しましょう。