発達障害の「わかりにくさ」の理由をクローズアップ!12月6日発売、新書『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』の新しい切り口

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「それって本当に発達障害なの?」「テレビで観た発達障害の特性と違う」などと言われたり、思ったことはありませんか?2018年12月に刊行される『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』(本田秀夫著/SB新書)では、今まで取り上げられることの少なかった、発達障害特性の「重複」と「強弱」に踏み込みます。発達障害の中でも周りや本人自身が理解を得られにくいタイプの生きづらさや特性について語られる本書の見どころをご紹介します!

発達ナビ編集部
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「これって発達障害?」調べても、どうもしっくりこない人へ

実は多いのに、理解されにくい発達障害の中のマイノリティ

ここ数年で発達障害について取り上げた書籍やテレビ番組をよく目にするようになりました。発達障害についての認知度も上がり、自分や周りの人が「もしかして発達障害かもしれない」というケースも増えているようです。

ところが、テレビや本の情報と、本人の姿が当てはまらず、

「自閉スペクトラム症」という診断が出て、自閉スペクトラム症の本を買ってみたけれど、当てはまるところと、そうではないところがある。結局、自閉スペクトラム症なのかどうかよくわからない

(P4より引用)

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4797398329
など、調べれば調べるほど発達障害がわからなくなり混乱してしまう、と感じている方も少なくないのではないでしょうか。

今回ご紹介する『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』(本田秀夫/SB新書)は、著者の本田さん自身も臨床の場でよく出会うものの、今まであまり取り上げられることの少なかった「発達障害のなかでも割合がかなり多いにもかかわらず、十分に理解されていない人たち」をテーマにしています。
発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち (SB新書)
本田 秀夫 (著)
SBクリエイティブ
本田さんは、彼ら彼女らの生きづらさの背景や理解をされにくい理由に、発達の特性の”重複”と”強弱”があると言います。これは、いったいどういうことなのでしょう?

「発達障害があるかどうか」明確な判断はむずかしい?

「発達障害は十人十色」の本当の意味

本書では、いくつかの事例をあげ、「この人たちは発達障害があるか?」と問いかけます。時間にルーズでゲームにのめり込んでしまう男の子、同性の友達に馴染めないちょっとうっかり者の女の子…

それぞれのケースにおいて発達の特性が見られ、生活する上での困難さや生きづらさがある様子。ですが、「発達障害」としてよくあげられる特性や症状に当てはめて考えるとどうでしょうか?
発達障害の分類と基本的な特性
発達障害の分類と基本的な特性
Upload By 発達ナビ編集部
「発達障害」があるような、ないような…。発達障害があるとしても、自閉スペクトラム症(ASD)なのか注意欠如・多動症(ADHD)なのかはっきりしない…。もちろん、医師や専門家ではないかぎり、発達障害があるかについての診断はできません。ですが、本書を読むと、「発達障害」に当てはまるかどうかを見極める難しさを実感できるでしょう。そしてそれは私たちが抱く「発達障害者」像を揺るがします。

リアルな姿とのギャップが生まれる理由

著者の本田さんは発達障害の専門医として臨床の場で30年以上働いてきました。幼児期から成人期まで継続して診てきた臨床医は、世界的にもごく限られています。その経験から、発達障害のリアルな姿が研究の場や書籍などで取り上げられる姿とギャップがあると気づきます。そして、その理由は、研究者の専門性にあると語ります。

発達障害は実際は特性が並存、重複することが多く、一つの特性だけが明確に強く出ることはかえって少ないといいます。ですが、どうしても、研究の場では専門性が重視されます。例えば自閉スペクトラム症を専門とする研究者は、より自閉スペクトラム症の特性が強い「典型的な症例」の研究をするというのです。そしてそれが障害の特性として書籍やテレビで取り上げられ、イメージが固まっていくということもあるでしょう。

このような事情で、発達障害の特性の出方に重複や濃淡があったり、特性の出方がわかりにくい場合、実際の症例の数に比較して、表に見えにくく、理解されづらかったのかもしれません。

発達障害をわかりにくくする特性の"重複"と"強弱"とは

特性の重複が、行動や気持ちをわかりにくくする

発達障害は、いくつかの種類の特性が重複すると、わかりにくい現れ方をします。

例えば自閉スペクトラム症(以下ASD)の「こだわりが強い」と、注意欠如・多動症(以下ADHD)の「注意力が散漫で集中できない」という一見反対の混じり合わない特性が重複している人もいます。そうすると、「他のことには飽きっぽいのに、好きなゲームになるとやるべきことがあってもやり続けてしまう」あるいは「ゲーム中にも気が散って、他の遊びを始めることもある」など複雑な困りごとが現れてしまいます。
『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』
ゲーム中に気が散ってほかの遊びに目移りすることも。ASDの特性があり、特定のゲームに対して強いこだわりをもっているが、ADHDの特性もあり、注意が散漫になりやすい
Upload By 発達ナビ編集部
好きなゲームをしているときでも、別の好きなことに気をとられることがあり、ゲームにこだわり切れないことがある――そんな子には「こだわり」と「不注意」のせめぎ合いがあり、結果として、「こだわり」という特徴が、弱くみえてしまうわけです。

すると周りからは、その子の行動や気持ちが理解されにくくなってしまいます。また、対処法もどちらの特性にも合わさねばならず、ASDやADHDに特化した対処法ではうまく当てはまらないことも出てくるのです。

特性には強弱がある

発達障害には「強弱」があり、単純に「有りか無しか」「1か0か」で考えられるものではありません。ごく弱く特性が現れるケースでは、本人が無自覚だったり、周りから障害であると見えにくかったりすることもあるでしょう。また重複した場合も、特性が単純な足し算になるとは限りらないことがややこしさにつながる場合があります。

本田さんは、2つの特性がどちらもそれほど強くない場合が特に理解されにくいとして取り上げています。診断を受けられるほど特性が目立つわけではないので、理解されにくく支援も受けにくいために「生きづらさ」を感じるのです。発達障害の特性の現れ方には”重複”と”強弱”があり、そのせいで困りごとや症状は、複雑で見えにくくなってきます。この視点に立ち「発達障害は一人ひとり違う」ことを、もう一度、捉え直す必要があるのではないでしょうか?

本書を読むうちに「発達障害の人はこういう特徴だから、こうすればいい」というわかりやすい説明や対処法は、そのままでは通用せず、かえってその人への理解を遠ざけてしまうことにも気づきます。

重複障害のある人は、その人に合わせた環境調整がとても重要になります。疾患名や障害名だけで対処法を決めつけることは、あまり効力を発揮しないのです。本書では、そんな発達の特性に重複や強弱の揺らぎのある人が、どんな風にその人の特性を理解し、それに合わせた工夫や対処法を考えていけば良いのか、その考え方の道筋も具体的に示されます
ADHDとASDの強弱と重複のイメージ
ADHDとASDの強弱と重複のイメージ
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発達特性を理解することで「障害」が現れないことも

「ASD」「ADHD」「LD(学習障害)」のDは英語で「障害」を意味するディスオーダー(あるいはディスアビリティ)を指します。

本田さんは「発達障害の特性は、必ずしも障害となるものではない」と考えます。発達障害の場合、特性が強くても生活上の支障があまり出ない場合、障害とは診断されません。例えばADHDの特性があっても、生活上の支障があまり出ない場合を本田さんはDのつかない「ADH」の状態だと言います。

もちろん、特性による困難は自分では調整できない場合もあること、特性が弱くても、生活上の支障が出てくることも十分あることには注意する必要があります。ですが、周りの環境、本人や周囲の人の理解や受け止め方で、発達の特性があっても生活上の支障を防ぐことができるようになれば、発達障害として現れているものが障害とならなくなるケースが増えてくるのではないでしょうか。

本書では、「こだわりの強い子どもへの対応に困っている場合、困っているこだわりを負担の少ないこだわりを残すことで変えていく」(下図参照)など、特性に合わせた環境調整によって障害となる困りごとを減らす方法も豊富に紹介されています。
発達障害の「わかりにくさ」の理由をクローズアップ!12月6日発売、新書『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』の新しい切り口の画像
「道順」への強いこだわりがある子に、代わりに「物の置き場所」には積極的にこだわってもらうことで、「負担の少ないこだわり」を残していく「こだわり保存の法則」の例
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「その人」を見ることで、不可解な行動の背景を想像する

「それって本当に障害なの?」「テレビでやってた発達障害の人の行動と同じようには思えないんだけど?」「診断とその人の状態は違うのでは?」もしかしたら、発達障害のある人や家族の中には、そうした言葉に傷ついた人もいるかもしれません。また「発達障害」が知られるようになった今だからこそ、周りの人もそんな風に不可解に感じたことがあるかもしれません。

その人自身を見つめ、自分や周りの人がその人自身の特性をわかる。その人にあった環境調整によって困りごとが和らいだり、障害となって現れる前に防げるとしたら、本田さんがいうように、発達障害から「障害」の文字が取れる日が来るのかもしれません。そのために、私たちは発達障害のある人の十人十色なカラフルな世界を知り、一人ひとり違う「その人」の特性や困りごとにフォーカスしていくことが大切です。

発達障害の多様さについて、今まで触れられなかった様々なグラデーションに踏み込んだ本書には、その大きなヒントがあるのではないでしょうか。

『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち 』(SB新書)

発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち (SB新書)
本田 秀夫 (著)
SBクリエイティブ (2018/12/6刊行予定)
「無理に治さなくていいのか! 」「目からウロコが落ちた! 」と大反響!「こだわりが強い」「対人関係が苦手」「うっかり屋」「気が散りやすい」……発達障害は、病気というよりも、ただ少数派なだけ! 精神科医として30年あまり。乳幼児から成人まで、さまざまなライフステージにいる発達障害の方たちに会い、豊富な臨床経験を積んだ著者が送る「発達障害」解説の決定版!

著者:本田秀夫(ほんだ・ひでお)
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授・同附属病院子どものこころ診療部部長、特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事。精神科医として30年にわたり発達障害の臨床と研究に従事している。
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