「ちがい」を知ることで行動が変わった!発達ナビ×企業研修の、その先を取材

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LITALICO発達ナビでは、発達障害を取り巻く環境を変え、「障害のない社会をつくる」ために、さまざまな企業との取り組みを進めています。その一つとして、企業向けの社員研修等も行っています。今回、2018年に研修を実施した企業の、「研修の、その先」について取材。社員の皆さんがどんな風に考え、変化し、また企業の体制にどんな変化があったのかなどを伺いました。

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目次

「訪れるどんな子どもにも、楽しんでもらえるように」。仕事体験テーマパーク・カンドゥーでのスタッフ研修

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撮影/近藤 誠
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仕事体験テーマパーク「カンドゥー」は、3歳から15歳のお子さんが、モデルや警察官、パイロットをはじめ、約30種類の仕事を体験できる施設。日々、たくさんのお子さんが遊びに来ますが、その中には障害や病気のある子もいます。また特別支援学校や特別支援学級の校外学習の場として利用されることもあります。

こうした中、「訪れる子どもたちに楽しんでもらいたい」と考えながらも、障害特性ゆえの困りごとに対して、どんな関わり・サポートをすればよいのかわからずに悩むスタッフも少なくありませんでした。そこで、発達障害をより深く理解し、多様な子どもたちが安心・安全に楽しめるような関わり方を身につけられるよう、スタッフ向けの研修を実施しました。

研修には、現場で実際にお子さんたちと接するスタッフを中心に約50名が参加。講義だけでなく、グループワークやロールプレイを通して、「こんなとき、どんな風に関わったらいいのか」を体感していきました。
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2018年7月に研修が行われてから約半年後となる12月下旬、編集部は再びカンドゥーを訪れ、カンドゥーの安武覚さん(イオンモールキッズドリーム合同会社 職務執行者副社長)と研修を受けたスタッフを取材しました。
カンドゥーの安武覚さん
カンドゥーの安武覚さん 撮影/近藤 誠
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「私自身にとって、発達障害はとても身近に存在しています。1年数か月前にカンドゥーに着任したとき、“どんな子どもたちも無理なく楽しめる場にしたい”と強く思い、研修を企画しました」と語る、安武さん。

カンドゥーでは、複数の子どもたちがグループとなり、一緒にお仕事を体験します。ですが、発達障害がある子にとって一斉指示を聞いて行動することの難しさや、パニックになってしまった場合に、「もっとソフト面で対応できることがあるのではないか」と考えたのがきっかけでした。

「一人ひとりに寄り添いたい」。マニュアルにない対応にも自信が持てるように

カンドゥーのスタッフ、大矢さん(左)と添野さん(右)
カンドゥーのスタッフ、大矢さん(左)と添野さん(右) 撮影/近藤 誠
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では、実際に研修を行って、スタッフはどんなふうに受け止め、意識やサービスはどのように変わったのでしょうか?そこで、研修に参加したスタッフに話を伺いました。

「研修を受ける前までは、“ハンディ”があるお子さんにどう対応したらいいのか戸惑うこともありました。でも研修で、“ハンディではなく特性”があるんだ、と考えられるようになりました」という添野さん。

「暗いところが苦手、初めての場所が苦手など、お子さんによって感じ方や苦手なことは違います。研修をきっかけに、お子さん一人ひとりの状況を見て『なにか苦手なことがありますか?』など、お子さんや保護者の方に確認することが増えました。以前は、マニュアルにないことをやってもいいのかな?と迷う場合もありましたが、そういう迷いがなくなりました。

たとえば、ファッションショーのお仕事ではお子さんに衣装を選んでもらいますが、お話するのが得意ではないお子さんの場合、着たい衣装を口では伝えるのが難しかったので、指差しで選択しやすいような環境をつくり、希望を伝えてもらうなどしました」

大家さんも、研修を受けて、自信をもって対応ができるようになったと言います。
「私は、ラジオ局のスタッフをすることも多いのですが、ラジオ番組の台本は文章量も多く、言葉遣いも丁寧です。文字を読んだり、音読するのが難しいお子さんの場合は、無理に台本通りに読んでもらわず、簡単なセリフにアレンジしたり、(スタッフが台本の)文字を指さしながら、ゆっくり読んでもらったりします。一言でもセリフが言えると、ラジオ番組の様子を録音したCDに声が残るので、記念にもなりますから」

また、お話が苦手なお子さんへ、スタッフがどのように声かけするかによって、一緒に参加しているほかのお子さんの受け止め方も変わるとも感じているそう。
「みんなが大らかに楽しめるよう、引っ張っていけるスタッフでありたいと思います」

2019年、ソフト面での配慮をもっと進化させていきたい

安武さんはこのようなスタッフの様子に、驚いたそう。

「スタッフは、決められたタイムスケジュールの中で進行し、各企業の理念や魅力も伝えるというミッションがあります。その中で、一人ひとりに寄り添おうと自発的に考えられる柔軟性を持っていることに改めて気づかされました。研修を受ける前から持っていた寄り添う姿勢を、 “自発的に動いていいんだ”“お子さんそれぞれのちがいに寄り添っていいんだ”と、研修を受けたことで背中を押すことができたのではないかと感じました」

ただ、スタッフ全員が研修を受けられたわけではないし、個人差もあるという安武さん。研修の内容を他のスタッフにシェアしたり、こんなときはどうすればいいの?とスタッフの間で聞く機会が増えたりという変化が生まれ、少しずつ変わってきているという実感があるそうです。2019年度も、研修などの機会をつくり、ソフト面での配慮をより充実させていきたいと、語ってくださいました。

一人ひとり違う個性を、認め合える企業へ。ミュゼプラチナムの社員研修

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CSR推進室の柳沼政樹さん(左)と元渋谷店店長(現在は本社勤務)の杉村沙也香さん(右) 撮影/鈴木 江実子
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2018年度、ミュゼプラチナムにおいて、社員向け研修を複数回実施しました。研修の対象は、ブロック長やマネージャー、店長など、現場をまとめるリーダー的な社員。

研修では、発達障害についての知識を深めるだけでなく、障害の有無に関わらず、相手の立場に立って考えることの大切さを感じられるワークなども行いました。そして、さまざまなお客さまへの関わりかたや、スタッフ同士のコミュニケーション、チームワークについて考え、学ぶ機会として研修を活用いただきました。
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発達障害への理解はもちろん、研修で「相手の立場に立って考え、行動する」ことの大切さを改めて考える機会としたかったと話す柳沼さん 撮影/鈴木 江実子
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ミュゼプラチナムは全国で177店舗の美容脱毛専門サロンを展開、社員数は4,200人以上。障害者雇用にも積極的で、さまざまな障害がある90人以上のスタッフが全国の店舗で働いています。

研修を企画した柳沼さんは、「障害の有無に関わらず、人は一人ひとり違うのだということを意識し、『なんでできないの?』と相手に矢印を向けるのではなく、『相手に伝わるためには自分はどういう風に話したり伝えたりすればいいのか』と自分に矢印を向けてほしいと考え、研修を導入した」と言います。

チームワーク向上にも。相手ではなく、自分に矢印を向けよう

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「以前は、どうしてできないんだろう?とできない事の理由を相手に求めてしまっていました。でも研修を受けて、『違うアプローチで伝えてみよう』など考え方のシフトチェンジができるように」撮影/鈴木 江実子
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渋谷店の店長をつとめていたときに研修を受けたという杉村さん(現在は本社勤務)は、
「お客さまへのお話の仕方、接し方などを指導するときに、こうしなさいと一方的に伝えるのではなく、『自分がお客さまだったらどう思う?』とスタッフ自身に考えてもらえるようにしました。信頼関係が築けるようになると、私の伝えたいことを理解してもらえるようになり、スタッフが結果を出せるようになってきました。

もともとスタッフ自身に吸収力があったので、自信がついてどんどん伸びていけたのだと思います。それを見て、店舗の他のスタッフも『すごいね、どう伝えたの?』と関心を持ってくれたり、意識してくれるようになりました。その相乗効果で、店舗のチームワークがぐっとアップしたと感じました」。

チームワークが上がった店舗では、スタッフ同士でも相手をねぎらう言葉が飛び交うようになったのだそう。スタッフはインカムをつけて業務を行っていますが、インカム越しに頻繁に「ありがとう」を言うようになり、店舗のよい雰囲気はお客さまにも自然と伝わっていったそうで、お褒めの言葉をいただくことも増えました。

お客さまやスタッフに対しても、「一方的に自分の思いや考えを押しつけるのではなく、相手の立場に立って考える」。これは、ミュゼプラチナムが創業当時から大切にしてきたことです。社員数も増えていく中、その信念に改めて立ち戻ろうと導入した研修は、その狙い通りに参加した社員一人ひとりの中に浸透したようです。

どんな人も、「ちがい」を認め合い、相手の立場を考えて行動できるようになったら、社会の中にある障害は、きっとなくなっていく――こうした取り組みがあちこちで行われるようになったら、どんな人も、より暮らしやすい社会につながっていくのではないかと感じられました。

ミュゼプラチナムが行うさまざまなCSR活動

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(左)ミュゼハッピープロジェクトの一環として作成されたパンフレット(中)洋服リサイクルボックス(右)東京都産業労働局が主催する「平成30年度障害者雇用エクセレントカンパニー賞」受賞 撮影/鈴木 江実子
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ミュゼプラチナムは、多くの女性に支えられている企業だからこそ、もっと女性が活躍できる社会にするための活動を行っています。ピンクリボン活動や、女性特有疾病の理解・予防を促すセミナーの開催などを、ミュゼハッピープロジェクト(MUSEE Happy Project)」として実施しています。

その一環として行っている「乳がん啓発」では、各地で啓発イベントを行うほか、全国の店舗で乳がん検診体験を実施しています(毎月1回、店舗を巡回して実施)。通いなれた店舗で超音波検診を体験することで検診へのハードルも下がり、早期発見にもつながります。また、子宮頸がん啓発のための冊子も作成し、無料配布しているそうです。

2019年よりテスト的にスタートする洋服のリサイクルは、店舗にリサイクルボックスを設置。実施店舗を順次増やしていく予定だそう。障害者雇用においても、働きやすい職場環境づくりなどこれまでの取り組みが評価され、東京都産業労働局が主催する「平成30年度障害者雇用エクセレントカンパニー賞」を受賞したそうです。

社会に必要なこと・大切なことを積極的に取り組んでいこうという会社の姿勢があるからこそ、社員研修でのスタッフへの浸透も早く、チームワーク向上にも役立ったのではないかと、改めて感じました。

2019年、障害のない社会を目指しての取り組みを、もっと進化させていきます

LITALICOは、「障害は社会にある」と考え、どんな人も暮らしやすい社会となるよう、さまざまな企業の皆さまとともに取り組みを行っています。これからも研修や商品・サービス開発、イベント実施など、より幅広い企業の皆さまとのさまざまな取り組みを通して、一人ひとりのちがいを認め合い、支え合える「障害のない社会」を実現していきたいと考えています。

2019年3月26日(火)には、「子育てフェスタ」も開催。専門家による講演やワークショップのほか、発達が気になるお子さんの生活に役立つ商品やサービスに取り組む企業の皆さまのブースなども予定しています。仕事体験テーマパーク「カンドゥー」の体験プログラムも「子育てフェスタ」に出張予定です!発達の気になるお子さんたちにも分かりやすく参加しやすい体験プログラムを特別にご用意いただくことになりました。ぜひご来場ください!

撮影/近藤 誠、鈴木江美子
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