3月21日、世界ダウン症の日に向けて。ダウン症のある人が「私たちの未来」を語る!イベントレポート

2019/03/01 更新
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2019年2月11日、新宿・四谷区民ホールで「世界ダウン症の日キックオフイベント2019」が開催されました。国連制定の世界ダウン症の日である3月21日に向けて、全国各地でさまざまなイベントが予定されています。そのまさにキックオフとなるイベントです。300席以上の客席は、ほぼ満席。2階席まで埋め尽くす勢いでたくさんの人が訪れ、ステージでもロビーでも大賑わいのお祭りでした。その一日をレポートします。

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目次 ダウン症のある人たち、みんなさまざまな個性がある! ステージではダウン症のあるたくさんの人たちの「今」が見られました ダウン症のある本人たちが、自分たちの言葉で生活を語る! イベントに出かけてみると、何かがわかる、何かが変わる たくさんの家族やお友だち同士が、イベントに参加していました

ダウン症のある人たち、みんなさまざまな個性がある!

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2019年2月11日、新宿・四谷区民ホールで「世界ダウン症の日キックオフイベント2019」が開催されました。国連制定の「世界ダウン症の日」である3月21日に向けて、全国各地でさまざまなイベントが予定されています。そのまさにキックオフとなるイベントです。

ところで、なぜ3月21日が世界ダウン症の日なのか知っていますか?ダウン症がある人は「21番目の染色体が3本ある」ということから定められました。ダウン症のある人には、知的な発達はとてもゆっくり、筋力が弱め、心臓病など合併症がある場合もある、といった特徴があります。かつては短命といわれていましたが、医学の進歩に伴って、今では60歳代になっても元気に生活をしている人もいます。おおらかで人懐こく、ダンスや歌が大好き。就労している人もたくさんいます。もちろん、個性はさまざまなので、そうではない人もいます。
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プログラムを配布する、ダウン症のある青年たち
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そんなダウン症のある人たちについて、一般的にはまだ知られていないことがたくさんあります。ダウン症のある赤ちゃんや小さい子どもを育てているママやパパにとっては、「これからどんな大人になっていくんだろう?」という思いもあります。
 
赤ちゃんから大人までたくさんの人たちが集まり、ステージやブースでの活躍の姿が見られるイベントは、ただ仲間が集まるお祭りではなく、さまざまな人同士の交流の場ともなっていました。

ロビーでプログラムなどの資料を配るのは、ダウン症のある成人した人たち。お客様を迎えるのがうれしい彼らは、来場者に積極的に近づき、にこやかに手渡してくれました。

ステージではダウン症のあるたくさんの人たちの「今」が見られました

司会は笠井アナウンサーと、ダウン症のあるイケメンタレント、あべけん太さん

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フジテレビアナウンサー・笠井信輔さんと、「ダウン症のイケメン」タレント・あべけん太さんが司会をつとめました
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ステージで繰り広げられるプログラムの司会は、フジテレビアナウンサー・笠井信輔さんと、「ダウン症のイケメン」タレント・あべけん太さん。このペアでのキックオフイベントの司会はすでに3回目。息もぴったりで、「まるで漫才コンビみたいになっているよね」と笠井アナ。けん太さんが突然アドリブをはさみこむと、「台本にないことやってる!」と盛り上げます。

チーム・ラミ・ドリームチームによるチアダンス

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チーム・ラミ・ドリームチームによるチアダンス
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チーム・ラミ・ドリームチームによるチアダンスから、プログラムがスタートしました。知的障害のある若者たちのビューティーコンテスト「スペシャル・ビューティー・ジャパン」の参加者と、チアダンスチーム「柏ゴールデンホークス」とが一緒になって結成されたダンスチームです。このチームをサポートしている横浜DeNAベイスターズのアレックス・ラミレス監督からもメッセージが届きました!

元気な音楽で力いっぱい踊るドリームチームのメンバーたち。ステージで踊った感想を聞かれると、「楽しかったです」「はじめてでしたけど、本番でもがんばりました」「家ではいっぱい練習しました」と、ハキハキと答えていました。

2019年ダウン症啓発ポスターの発表

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2019年ダウン症啓発ポスター
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ポスターのモデルになった澤田仁美さん(33歳)とご両親
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毎年発表されている、ダウン症をもっと知ってもらうためのポスター。この日、2019年版が発表されました!

ステージ上のスクリーンにあらわれたのは、着物も所作も美しい、茶道のお点前をする女性の姿。モデルに選ばれた澤田仁美さん(33歳)は小学校4年生の頃から茶道を習い、熱心に練習を重ね、今は裏千家の準教授の許状も取得しました。この日は、仁美さんとご両親そろってステージに登場。母・博子さんが、仁美さんの小学生だったころのエピソードを披露しました。

JDSアピール文の採択

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JDSアピール文の採択の様子。ダウン症のある本人たちによる「宣言」です
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第一部の締めくくりに、JDSアピール文の採択がされました。これは毎年、ダウン症のある本人たちに読み上げてもらう「宣言」です。ダウン症がある9人の20代の若者が壇上に上がり、アピール文を読み上げたあと、会場からの大きな拍手で「採択」されました。

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「Leave no one behind.」(リーブ・ノー・ワン・ビハインド)
私たちはみんな
学んだり働いたりがんばっています
それぞれ好きなことを楽しんでいます
もっともっと幸せになりたいです

私たちは考えています
だれひとりのこらず
みんなが その人らしく 安心して
くらしていけるように!
Leave no one behind(リーブ・ノー・ワン・ビハインド)

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ダウン症のある本人たちが、自分たちの言葉で生活を語る!

ダウン症のあるご本人3人の発表とトークセッション

休憩をはさみ、第2部の始まりは「ダウン症のあるご本人3人の発表とトークセッション」からスタートしました。

埼玉県の戸田萌葉さん、佐賀県の西村嘉浩さん、神奈川県の香川真穂さんが、今の暮しについて、自分の言葉で発表。各自の発表のあとに、日本ダウン症協会の玉井代表理事と笠井アナウンサーとのトークセッションという形式で進行しました。
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戸田萌葉さん(18歳)
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最初に登場した戸田萌葉さんは18歳。趣味は歌うことと踊ることだそう。エレファントカシマシと忌野清志郎が大好きで、カラオケで歌うのが楽しみ、と発表しました。

玉井代表理事「歌、好きなんですね。どうやって歌を覚えるの?」
戸田さん「ウォークマンでよく聞きます。学校では聞いてはいけないので、もっていきません」
笠井アナ「カラオケは誰と行くんですか?」
戸田さん「カラオケは、おかあさんといっしょに行きます。時間は1時間と決められています。ダンスも大好きで、『ポップコーン』(ヒップホップ系のステップのひとつ)を踊ってます。テンポが速くて、ステップがいいんです。先生に教えてもらえるし、みんなで新しい曲を踊ったりするのが楽しい」

トークのあとに、エレファントカシマシの「今宵の月のように」を歌いました。
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西村嘉浩さん(特別支援学校 高等部 2年生 17歳)
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次に登壇したのは、佐賀大学附属特別支援学校高等部2年生の西村嘉浩さん(17歳)。バドミントン、空手、水泳、絵、買い物・料理、さまざまなことにトライしている様子を「自分ができたこと、これから頑張ること」としてまとめ、自作のパワーポイントのスライドを使って発表しました。そして、「ぼくたちはいろいろなことにチャレンジして、将来の夢のためにつないでいきたいです。仲間と仲良くしていきたい。夢は独り暮らしです」と力強い言葉で締めくくりました。
玉井代表理事「いろいろなことにトライしていますね。いちばん好きなのは?」
西村さん「大きな絵を描くこと。みんなと活動するのが楽しい」
笠井アナ「ダウン症のある人は、ひとつのことに熱中する人が多いと聞いたけど、いろいろなことにがんばっていますね。いろいろ習っていて忙しいでしょう?」
西村さん「はい、ばたばたしています」

発表の中でも、佐賀支部に所属する女の子とSNSや電話で連絡を取り合っているという話がありました。そのことを聞かれた西村さんは、しっかりと結婚観も語ってくれました。

「ぼくは彼女と結婚したいです。でも、彼女は結婚はしたくないっていう。だからもっと説得しないと!(彼女は)僕と同じ高校生なので、大人になってから結婚するんだと決心しています。まず一人暮らしをして、給料をもらえるようになったら、二人で暮らしたいです」
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香川真穂さん(24歳)
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3人目は、24歳の神奈川県の香川真穂さんです。ハンバーガーショップで働くようになって3年になりますが、就職が決まるまでの紆余曲折について発表しました。

就労支援の勉強会で企業合同面接を受け、現在働いているハンバーガーショップを含めて3社を受けた結果は、全て不採用。がっかりしたけれど、かえって勇気が湧き、やはり「どうしてもハンバーガーショップで働きたい!」と、職業訓練などを受けて再度チャレンジしたそうです。そしてとうとう、夢だったハンバーガーショップに入社しました。

「働くことができてうれしいです。あったかいハンバーガーをつくりたい」と、香川さんはにこやかに語ります。
笠井アナ「スマイル、すてきですね」
香川さん「まわりの方にもそう言っていただきました」
玉井代表理事「学校のときの友だちが食べにくることもありますか?」
香川さん「高校時代の友だちは、また別のところで働いているので、なかなか来てはもらえないんです。もっとたくさんハンバーガーつくって、たくさんのお客様に食べにきてほしいので、がんばっています」

3人の発表のあと、笠井アナはけん太さんにも質問をしました。
笠井アナ「けん太の就活はどうだったの?」
けん太さん「11社受けて全部落ちて、やっと最後、今のところに決まったんですよ」
笠井アナ「働けるって、どう?」
けん太さん「働けるって気持ちいい!」
と、高らかに宣言したけん太さんは、とてもたくましく見えました。
3人の発表の後、ステージにはダンスミュージックがかかり、華やいだ雰囲気に一転。今年のダウン症啓発チャリティTシャツのお披露目ファッションショーがはじまりました。このパートの司会は、笠井アナから、フジテレビの上中勇樹アナウンサーにバトンタッチ。上中アナの妹さんにはダウン症があります。この日は客席で、ステージにいる兄の姿を見守っていました。

日本ダウン症協会は、チャリティTシャツのブランドJAMMINと一緒に、4年前からTシャツを作っています。「23個並んだモチーフの21番目だけが、ほかと違ってどこかが3つある」というのがデザインのテーマ。これまで、葉っぱ、自転車と三輪車、おうちの窓がモチーフになりました。

今年のTシャツのモチーフは「時計」。日本ダウン症協会の会員にアイディアを募集。「『誰にも24時間は平等だよね』と思い、どんな人も一瞬を大切にして人生をまっとうできたらという意味も込めています」(アイディアを寄せた会員さんの言葉)。
※Tシャツの販売は、2019年2月24日までで終了

見られることが自信につながり、活動の場が広がるようになる!を伝えるファッションショー

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ダウン症啓発チャリティTシャツのお披露目ファッションショーの様子
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ファッションショーのモデルは、ダウン症のある子ども・大人と、そのサポーターの方たちです。

ステージには、さまざまな組合せのモデルが登場しました。親子、きょうだい、祖母も含めて3世代家族で。中学校が別々になるお友だちと小学校卒業記念に。引っ越す前に保育園のお友だちと。担任の先生と。家族ぐるみのお友だちグループも。ラストには、知的障害のあるファッションモデル「スマイルモデル」として活躍している方や、スペシャルビューティーコンテスト(知的障がいのある方のビューティコンテスト)ファイナリストも登場しました。
ショーモデルに公募で選ばれたメンバーは、この日の午前中、ウォーキングの特別レッスンを受けました。レッスン指導は一般社団法人スマイルウォーキング倶楽部が行いました。

代表理事の髙木真理子さんは次のように話しました。「はじめからこんなに格好よくポーズを決められたわけではありません。立ち姿はトレーニングで変わります。人前に立つのが楽しい、見られてうれしいと体感することで自信がつき、外に出ていきたい気持ちが強くなるんです。これから、もっともっと社会に出て、可能性を感じて世界へもチャレンジしてほしいです」

イベントに出かけてみると、何かがわかる、何かが変わる

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渡辺楓香ちゃん(3歳)と、母親の渡辺かなこさんら
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イベントに参加していた、渡辺楓香ちゃん(3歳)のママ、渡辺かなこさんにこの日の感想を聞きました。

「こうして、大人になった人が夢を語ってくれると、可能性を限定してはいけないと、あらためて思います。ダウン症のある人は、こういうものだと、どうしても決めつけがちになりますが、親の私たちの意識も変えていかなくちゃと思います」
たくさんの個性が披露された1日。ダウン症のある人たちの今と未来がいっぱい詰まっていたイベント。このあと全国各地でのイベント情報は、「世界ダウン症の日」2019のサイトに掲載されています。近くのイベントに足を運んでみては?
また、2019年11月には、日本ダウン症会議の開催が予定されています。ダウン症に関する最新の研究の報告のほか、ダウン症のある本人たちによる生活についての発表も予定しています。

たくさんの家族やお友だち同士が、イベントに参加していました

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たくさんのダウン症のある人たちが、ステージもロビーの出展ブースも楽しみました!
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写真は、ロビーで行われたハンドスタンプアートプロジェクトに参加した2歳の男の子とご両親(右上)、ファッションショーに参加したお友だちの応援に駆けつけた2歳の女の子とご両親(右下)、「休憩時間、ロビーでの出展ブースも楽しかった!」という2歳半の女の子とママと、あべけん太さん、日本ダウン症協会理事・水戸川真由美さん(左上)、22歳と25歳の女性は同じ作業所で働くお友だち同士(左下)。

みなさんの笑顔が印象的でした!
日本ダウン症協会では、ほかのさまざまな障害者の親の会や支援団体とも交流しています。参加して、知ることでわかる、ということを体感しに出かけてみませんか?
取材・文/関川 香織(K2U)
写真提供/日本ダウン症協会
取材協力/日本ダウン症協会
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