【最終話!】娘に必要なのは、魅力的なカリキュラムや就職率…?特別支援学級で気づいた、娘が「大切にするコト」を基準に【わが家の進路選択Vol.7】

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娘は中2の1月に特別支援学級に移籍し、正式に入級しました。
入級後は、発表会、校外学習、運動会、宿泊学習、など特別支援学級独自の行事がある為、娘が希望する全ての教科を通常学級で受けることはできませんでした。特別支援学級は“自立”に向けてのカリキュラムがメインなので定期テストもありません。通知表のフォームもそれまでとは全く違います。娘の学校生活は一変しました。

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特別支援学級に移籍後の娘

中学入学時、娘は通常学級への進学を希望しました。しかし入学後のさまざまな出来事や体調の変化があったことで、通常学級で過ごすことが難しくなっていきました。そして、娘は中2の1月に特別支援学級に移籍し、正式に入級しました。
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特別支援学級は“自立”に向けてのカリキュラムがメインなので定期テストもありません。通知表のフォームもそれまでとは全く違います。娘の学校生活は一変しました。

当初は、希望する授業はそれまで在籍していた通常学級で受けたいと考えていた娘。ですが、特別支援学級独自の行事やその準備のための時間は思いのほか多く、思うように授業に参加できませんでした。授業に出られないのでプリントがもらえない、小テストが受けられない、提出物が出せない、そんなことが何度か続き、ついに娘は「定期テストも受けない、成績表もいらない」と言うようになりました。

学校では通常学級と特別支援学級を行ったり来たりと忙しく過ごしていた娘でしたが、宿題もないので、家では「やることがない、どうしよう」と時間を持て余していました。

自習用に問題集なども購入しましたが…
一生懸命書店で選んだ参考書だったが、部屋で放置されている様子
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目的も提出期限もない問題集は結局手付かずのままになったのでした。

自立のスキルを身に付けて欲しいと願う親の思いからは程遠く

私は特別支援学級に入ったのだから身の回りの事は自分で管理できるようになって欲しいと思い、声掛けは控えるようにしました。するとテレビや漫画の時間ばかりが増えていき、部屋は散らかり放題になりました。

忘れ物も増える一方で、特別支援学級入級に難色を示していた主人は娘の様子を見て「危惧していたことが起こった」と言いました。

すっかり緊張感がなくなった娘を見て、私は「やはり娘には自己管理は無理なのかしら?」と思いました。しかしながらこの先もずっと親が彼女のフォローをし続けていくことに違和感も覚えていました。

特別支援学級の先生ともやり取りはしていましたが「学校では指示されたことに丁寧に取り組み、自分で行動を把握しています。しっかりやっています」など、私が抱く困り感とのギャップがあるようでした。

私が相談した先は

「これから娘は、どうなってしまうのだろう?」
高校進学のことも踏まえ、心配になった私は特別支援コーディネーターの先生に相談をしました。

「娘は特別支援学級に入級してから、だらけてしまったように感じます。部屋も散らかり放題です」
先生「娘さんは特別支援学級に移籍して変わったのではありませんよ」
「?」
先生「お母さんは娘さんの移籍後、口を出さないようにしたんですよね?」
「はい、本人に自主性を身に付けてほしかったので。以前は私が掃除の手伝いをしたり、一緒に提出物の優先順位を考えたりしていましたが…あっ!!」

変わったのは私(親)だった

先生「娘さんは特別支援学級に移籍して変わったのではありません。彼女はもともと彼女に適した指示や支援がないと、どうしたら良いか分からないタイプです(逆に言うと本人に適した指示、支援があればできる)。それはこれからも変わりません。『整理整頓ができない=だらけている』というわけではないことを理解してあげて下さい

そうだ、そうだった。私は忘れてしまっていた。何歳になろうと、所属がどこになろうと、どの学校に進学しようと、どんな会社に勤めようと変わることはない娘の特性を…。

特別支援コーディネーターの先生は私の悩みを一瞬で解決してくれたのでした。

視覚支援復活!すると...

私達は部屋の隅で埃をかぶっていたスケジュールボードを作り直すことにしました。すると娘は、その内容を特別支援学級の先生にも見てもらい自ら改良を重ねていきました。

娘の行動は一変しました。

1.弁当箱を洗う
2.翌日の持ち物の準備をする
3.風呂を洗う
4.やることが終わったら自由時間
5.週末には部屋の掃除をする

やることの優先順位を視覚化しただけで彼女はスムーズに行動ができました。生活のリズムも整い始め、娘は余暇時間を使ってパソコン検定や英検、パソコンを使った絵画作成などに積極的に取り組むようになっていきました。

親が行っていたサポートは徐々に支援者に

自習用に購入した問題集は特別支援学級の先生が丸付けをしてくれることになりました。これは娘が先生に問題集の進め方を相談して決まったそうで、私はそのことを後から連絡帳で知りました。特別支援学級の先生は指導計画を立てる際、必ず本人と話をし、本人の意思を確認して決めて下さいました。

ある時娘は通常学級の生徒に「特別支援学級の楽器の音がうるさい」と言われてショックを受けたそうです。娘はその場では言い返せないタイプです。娘は特別支援学級の先生に相談をし、後日「特別支援学級では市の合同学芸会に向けて楽器の練習をしている」ということを説明する手紙を書いて通常学級で読みあげたそうです。

冷やかしやいじめを受けた時や、周りに自分のことを理解してもらいたい時などに、支援者に助けを求め自分の意思を伝える方法を学んだり「自分は一人ではない、安心できる居場所と仲間がいる」と実感できる機会が増えていったことで娘は一段と成長したように思えました。

進学先探し――福祉併用のF学院へ

日常生活では特別支援学級へ入級し、環境の変化の中で少しずつ成長をしていた娘。中学卒業後の進路についても、学校探しは引き続き行っていました。私は特別支援学級の先生に教えてもらったF学院に見学に行きました。

F学院は、過去に特別支援学級の卒業生も進学したことがある学校です。見学に行ってみるとそこはそれまで私が見たことがなかった形態の学校でした。

社会福祉法人が運営するその学校は、軽度障害のある生徒を対象に高等学校卒業資格取得を支援する“社会福祉制度併用の”高等学院でした。生徒は午前中は社会や国語、数学や英語などの授業を受け、午後は近隣の福祉施設を利用したスポーツやSST(ソーシャルスキルトレーニング)などを通じた自立訓練を行います。同じ建物の中に厨房や作業所もあり、就労移行支援の事業所や、自立訓練を行う自立センターなども併設されています。

社会福祉制度を併用するので、F学院のサービスを受けるためには障害者手帳または障害福祉サービス受給者証が必要となります。グループホームなどの障害児・者に対してさまざまな事業を展開している社会福祉法人が運営するこの学校は、自立支援を主な柱としつつ、高校卒業資格習得を希望する保護者のニーズも満たしていました。また学校名に「学院」を入れることで技能教育施設であっても、生徒の多くが望む「学校らしさ」を感じさせる配慮もありました。

私が見学した当時、この学校はビルの中にあり(2015年に新校舎が完成しています)「学校」というより「事務所」「作業所」といった雰囲気を強く感じました。また訓練ベースのイメージが強く、学生生活を満喫し友達と楽しく過ごしたいと考えている娘の希望には合いませんでした。

それでも、教育現場を経験したスタッフが考えたシステムというだけあって、とても画期的で興味深い学校でした。また、学校の良いところばかりでなく、その時点での学校の課題なども先生自らが語る誠実な様子にとても好感が持てました。

最重要ポイントはやはり…

娘が通っていた、NPO法人運営の学習支援や余暇教室には、今まで見学に行った学校に実際通っている生徒もいました。彼らからのクチコミはリアルかつタイムリーです。

「今年、先生が変わって学校の雰囲気が違ってきた」
「去年は倍率が高かったのに、今年は定員割れらしい」
それら生の情報に、娘は少なからず影響を受けました。

中3になった娘は、波長の合う1つ年上の特別支援学級の先輩が入学した特別支援学校を第1志望に、過去に見学したことのある単位制高校を第2志望に決めました。(この時期までに娘は療育手帳も取得していました。)

中学を選ぶ時もそうでしたが、娘にとって進路選びの最重要ポイントはやはり「人とのつながり」でした。

合格した時はとても喜んでいたけれど

娘は、第1志望の特別支援学校に入学することができました。合格通知を受け取ったとき、娘はとても喜びました。

入学後、先輩たちと遊びに行ったりと学生生活を楽しんでいた娘。でもしばらくするとさまざまなことが起こり、娘が「学校に行きたくない」「学校やめたい」と荒れたことは一度や二度ではありませんでした。親や先生が娘に求めるものと、自分のしたいこととのギャップに苦しんだり、自らが思い描くように上手くできない自分に対してイライラしたり…。理想と現実の差に悩むことは精神的成長の証でもありますが、娘はこの時期、本当によく親や先生に反抗しました。「周りの大人は自分の将来を思ってそう言っている。それは分かっているけれどやりたくない。」そんな思いが娘の悩みを更に深くしているようでした。
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社会人になった娘、昔を振り返って

特例子会社に入社した彼女は、今年社会人2年目を迎えました。

娘は言います。
「100%満足する学校なんてきっと無いんじゃないかな。足りないと思う部分は自分からアクションを起こして、別のところで補うしかないんだと思う。例えばもっと勉強がしたい!と思うなら、今はネットが発達しているからネットの無料塾とかで勉強することもできるし、学校に話が合う友達がいないと思うなら、同じ趣味の友達をSNSでも探すこともできるかもしれない」

「でも私はリアル体験しないと学べないタイプだから、実際社会に出てから学んだことの方が多いけど(笑)」

「たとえ学校にどんなに立派な施設やシステムがあったとしても、私は最後はやっぱり“人”なんだと思ってる。あ、それは社会に出ても一緒だけどね」


決断する時、いつも娘は“人”を中心に考えていました。これはきっとこれからもそうなのでしょう。

”コミュニケーションは苦手だけど人が大好き。言葉では上手く表現できないけど、常に人と繋がっていたいと思っている”これが娘の根っこなのだと思います。それは、今までの学校生活でも、時にはつらい思いをしながらもずっとあきらめなかったことです。

人との繋がりは生きていく上でとてもとても大事なことです。

学校はそれぞれ、魅力的な施設や、さまざまなカリキュラムがあります。でもなにより「心許せる友達や先生と出会えたこと」「安心できる居場所を探し、見つけたこと」が、社会人となった娘の土台を作ってくれている。そう、感じています。そして自分のために必要な環境を自ら選び取ってきた娘を、頼もしく思います。
だから私は娘に伝えます。

“そうだね、あなたはこれからもそのままのあなたで良い!”

いままでのお話

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