「5分前行動」は出発5分前から準備でパニック?道路で靴を履き替える…!?自閉症の息子、言葉はいつも額面通り

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就労移行支援事業所に通うようになってから、息子は「5分前行動!」と繰り返し言うようになりました。“5分前に行動する”とインプットされたためか、自宅を8時45分に出ないと遅刻してしまうのですが、8時40分にならないと準備を始めません。

この5分間にさまざまな準備を済ませようとするので、毎朝「遅刻する~!」とパニックになっています。

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立石美津子
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5分前行動とは?

『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。

息子は4月から就労移行支援事業所に通うようになって…「5分前行動!」と繰り返し言うようになりました。自宅を8時45分に出ないと遅刻してしまうのですが、出発5分前の8時40分にならないと準備を始めません。

5分間の間に着替え、トイレ、パソコンを消す、カーテンを閉める、水筒にお茶を入れるなど準備をするので、毎朝、時刻が押せ押せになり、「遅刻する~!遅刻する~!」とパニックになっています。
ネクタイを結ぶ息子
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知人にこのことを話すと、
「5分前行動って、ザックリ過ぎて分かりにくい言葉だよね。5分前行動とは、『5分前から準備を始めよう』という意味ではなく、『5分前に準備完了して、出発できるようにしよう』という意味だと思うけど…」と言われました。

確かに“5分前行動”という言葉だけでは、何を5分前にしておかなくてはならないのか意味が分かりにくいことに気づきました。

汎化できない

自閉症のある人は場所や状況によってなかなか応用ができないと言われています。例えば、外に置いてある鉢植えに水をやる役割を与えたら、雨でも水をやります。
息子の場合、春から通い始めた就労移行支援事業所での指導についても同様です。
自閉症の息子は、駅や電車でリュックを前に持つマナーもきちんと守っている
自閉症の息子は「駅や電車でリュックを前に持つ」というマナーをきちんと守ります
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以前、事業所の中に帽子をかぶったまま入ったときのこと、支援員の方から「他の人の家や会社、施設などに入る前に帽子を脱ぎましょう」の指導を受けたようです。それ以降、帽子は部屋に入る前にとるマナーが身に付きました。

けれども、ある大雨の日のこと。息子は長靴を履いて出かけました。事業所でずっと履いていることもできないので、私は別の靴も持たせ「事業所に入ったら履き替えてね」と伝えました。すると「マナー違反!マナー違反!外で履き替える!(事業所の入居するビルの1階にある)コンビニの前で履き替える!」と言って聞き入れませんでした。

玄関ではなく、全くの外。ビルの1階の道路で履き替えるというのです。大雨の中、ビショビショになりながら道路で靴を履き替えている息子を見て、道行く人はびっくりしてしまうでしょう。

そこで「外で靴を履き替えるとおかしいよ。部屋に入って履き替えなさい」と注意したのですが、なかなか聞き入れてくれず、そのまま出かけていきました。

息子が出ていった後、事業所に「長靴を道路で履き替えないように言ってください。帽子と同じように『事前に脱がなくてはならない』と思っているようなので…」と電話しておきました。

息子の通う通所施設は外履きのままで作業します。ただ、台風や大雨の日は施設内で履く革靴やスニーカーで行くことができず、長靴で出かけます。こうした場合、長靴のまま作業するわけにはいかないので、各自のロッカーに履いてきた靴を保管し、他の靴に履き替えられるようになっています。

とはいえ、事業所でマナーをひとつずつ身に付けていっているように、息子も少しずつ成長しています。

そして、5分前行動については「8時50分に玄関を出るので、8時45分には準備完了していようね。5分前行動だからね」と伝えればいいのだと気づき、今はそのように伝えています。伝え方ひとつで、朝の「遅刻する~!」パニックも、解消されました。

このコラムの著者がモデルの書籍

発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年
松永正訓
中央公論新社

このコラムを書いた人の著書

子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方
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