連絡帳、楽しみですか?わが家では「本当に伝えたいことが書けない」のです…

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放課後等デイサービスや特別支援学校、特別支援学級に通うお子さんの場合、保護者と支援者・先生とが連携するために連絡帳を書くことになります。でもわが家の場合、息子が字を読めるようになると、本当に伝えたいことが保護者も支援者側も書けなくなってしまいました。

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立石美津子
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『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。

息子は幼い頃から字が読めました。小学校の頃は連絡帳を開いて読もうとは思いつかなかったようですが、中学に入ってからは「お母さんは何か悪い報告を書いているのではないか」、「僕が昨日暴れて家の中の物を壊したことを書いているのではないか」と思うのか、連絡帳を熟読するようになってしまいました。また、同時に支援者や先生からのコメント欄も気にするようになりました。
 
それ以降、本当に伝えたいことが書けなくなりました。

放課後等デイの先生には、どうしても伝えなくてはいけないことはメールで伝えるようになりました。学校の先生のメールアドレスは知らなかったので、必要な時には電話か「開封厳禁」とハンコを押した封筒に入れて「絶対に封を開けないで、このまま先生に渡して」と伝えていました。(息子の性格上、封書は絶対に開封しませんでした)

放課後等デイの連絡帳

本当に伝えたいことを書けない問題に加えて、私は「ぎっしりきれいな字で連絡帳を書くのがいい先生」と判断しがちなことについても気になっています。

親はついつい「きめ細かく美しい文字で沢山書いている先生がいい先生、そうではないとよくない先生」と思いがちです。

放課後等デイは保護者との連絡ノートを作らなくてはならないことになっているようですが…

息子が通っていた放課後等デイは実態として子ども達は4時半頃に来るので解散時刻の6時まで90分しかありませんでした。その間に限られた人数の職員で全員分の連絡帳を書くのですから大変な作業です。時間もない上、息子が熟読するためトラブルなどがあっても詳しく書くこともできません。結果として、「おやつは焼きそばです」「外で遊びました」などの簡易な内容となります。そうなると、私もつい、返事は「読んだよ」の印としてサインやニコニコマークだけの簡単な返事で済ませるようになりました。

親は我が子一人分だけ書けばいいのですが、相手はそうではない。90分間のうち、連絡帳にとられる時間は最小限にして、子どもたちに向き合ってもらう方がありがたい。だから、特記事項があるときだけ書くようにしたらよいとも感じていました。
息子が内容を気にするため連絡帳には活動内容の概要しか書けなくなり、私の返信もニコニコマークばかりになりました。
息子が内容を気にするため連絡帳には活動内容の概要しか書けなくなり、私の返信もニコニコマークばかりになりました。
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保育園で勤めていた頃感じたこと

私は保育園で働いていたことがあります。連絡帳は、子どもの午睡時間という限られた時間の中で書かなくてはいけません。

とはいえ、簡潔に「公園で走り回っていました」「友達のことをじっと見ていました」と事実だけ書いてしまうと、「それが良いことと思って先生は書いているのかしら?それとも反対の意味?」と受け取った保護者が不安になってしまうかもしれないと考え、細やかな場面描写や保育士の感想も書く…そうなるとかなり長い文章になってしまいます。

ときには、子どもと遊ぶ時間よりも連絡帳を書くことを優先しているケースもありました。それほど負担になっている状況でした。

仮に1人分書くのに3分かかっていたら、3分×20人分=60分。この1時間を捻出するのは至難の業なのです。保育現場での経験からも、たくさん書いてなかったとしても、その分子どもとしっかり向き合ってくれているんだろう、と考えてみたらどうだろうと思うようになりました。

課題の多い連絡帳

新年度、ママ友とランチした時の話題は
「前の先生は連絡帳に結構詳しく様子を書いてくれたけど、今度の担任は一行だけ。たまに書き忘れていることもある、はずれ先生なの」「今度の先生は字が汚いから良くないわ」といった内容でした。

私はすかさず現場の状況を伝え、「たった一行しか書いていない先生は汗水たらして子どもと遊んでくれている時間を大切にしているのかもしれないよ、連絡帳の文面だけで先生の良し悪しを評価してはダメだと思う」と伝えました。

息子は特別支援学校高等部卒業後、就労移行支援事業所に通っています。そこでも連絡帳があるのですが、本人に知られたくないことは電話やメールでやりとりしています。

課題の多い連絡帳、皆さんはどうお感じになりますか?

このコラムをかいた著者親子がモデルの本

発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年
松永正訓
中央公論新社

このコラムをかいた人の著書

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