自閉症息子の「友達」づきあいは、母の思う「友達の定義」とは違うけれどーー息子と友達の心地よい距離感

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「友達を作って一緒に遊ぶことはよいことだ、楽しいことだ」。つい親はこう思ってしまい、自閉症のある我が子に対して「一人遊びばかりしていないで、みんなのところへ行って遊びなさい」と言いたくなります。でも、本人の気持ちはどうなのでしょうか。

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立石美津子
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友達と遊ぶよりも一人が心地いい

『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。

自閉症のある息子を見ていると、「友達と関わりたくない」とか「関心がない」訳ではないと思います。人に興味を持って追い掛け回すこともありますが、それが相手の気持ちを考えない一方通行のこともあるので、トラブルが起こることもあります。また、私が考えるような友達関係を望んでいないのだろうとも思うことがあります。
息子は幼い頃は一人遊びがほとんどでした。たまに戯れることがあったとしても、それは相手の持っている玩具が欲しいときだけでした。

親が思い描くような友達関係を19歳になる今も結ぶことはありません。本人もそれを望んでいないようで、友達と約束してどこかに遊びに行くことは一切なく、一人行動が基本です。

さて、この写真に写っている子は中学、高等部で一緒だった仲間A君。一つ年下で、息子と似たような特性があります。
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中学時代、特別支援学級に通っていた頃の二人
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特別支援学校高等部時代の二人
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お互い馬が合うのか、在校当時から、よくじゃれあっていました。現在は、A君は特別支援学校高等部の生徒、息子は卒業しているので、あえて都合を合わせなければ、普段会うことはない2人です。

同じ日に宿泊したショートステイ。挨拶しないで帰った息子

学校時代から仲が良かったので、親同士話し合って同じ日にショートステイを申し込みました。 ショートステイの翌日には、息子はトイレ散策、A君は電車の旅と、それぞれ予定がありました。

前日の夕飯時はこんな仲良くしているのに…
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翌朝、息子はA君に何の声もかけずに、トイレの旅に行ってしまったようです。
そこで、A君のママに「息子が何の言葉もかけずに、先に帰ってしまったようでごめんね」と伝えたら…

A君ママから「息子が、『立石君はいい人すぎる』と言っていたよ」と返事がありました。息子が黙って帰ったことを気にすることもなく、A君も颯爽と電車の旅に出かけたようでした。

バザーに会いに来てくれたけれど

バザーがあったときのことです。私は店を出していました。
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本人たちも会いたがっていたのでA君家族をバザーに誘いました。

私と息子は売り子なので8時半からスタンバイ。A君家族は12時30分にやってきました。顔を合わせた2人はこんなに笑顔。なのに…
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息子は12時35分に「バイバイ」と言い、(予定していた)トイレ散策に出かけてしまいました。接触したのはわずか5分!
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お互い気を遣うこともなく、社交辞令もありません。不快にもなりません。ママ友と「あの2人の関係、羨ましいね」と話しました。

就労移行支援事業所でのランチタイム

就労移行支援事業所の昼休みも、同じような光景があるそうです。

支援員さんによると、訓練生は同じ店に行くのにバラバラに行き、バラバラの席に座って各々食べている、というのです。そんな一定の距離を置いた関係が快適なのでしょう。

「友達ともっと交わりなさい」と親の考えを押し付けてはいけない。そう思った出来事でした。

このコラムをかいた著者親子がモデルの本

発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年
松永正訓
中央公論新社

このコラムをかいた人の著書

子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方
立石美津子
すばる舎
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