ゲーム、SNS…バーチャル世界でますます傷つく子どもたち

「親子だけの関係」から脱却する思春期…戸惑いながらも大切にしたい新しい距離感とはーー精神科医・田中康雄先生の画像
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10132106718
「誰かとつながりたい」という欲求から、SNSやオンラインゲーム、インターネットなどで人との結びつきを求めるようになる子もいます。

小学生にとってのゲームのおもしろさというのは、ゲームそのものが楽しいからやるという操作性の楽しみからきています。しかし思春期以降になると、求める楽しみの種類も変化し、ゲーム(オンラインゲーム)やSNSに人とコミュニケーションが取れる喜びや居場所が見いだされることがあります。もちろんそのコミュニケーションツールがリアルな対人関係を強化するのであれば有益ですが、どんどんとバーチャルな関係性に浸り切っていくと、リアルな世界でのつながりが薄くなってしまうでしょう。

リアルなところで人とつながったりコミュニケーションを取ったりすることが苦手な子ほど、バーチャルの世界を切実に必要としてしまうようにも感じています。

つまずいたときに頼れる親以外の大人の存在

しかしバーチャル世界での人間関係というのはとても希薄なものです。やはり子どもたちにはリアルな相談先が必要です。でも思春期の子どもたちにとって、その相手は親ではありません。親以外とのコミュニケーションを求める子どもたちにとって、誰かしら信頼できる大人の存在があるととても心強いものです。

医療や福祉が登場するのも1つですが、例えば柔道が好きであればそこの師だったり、小学校や幼稚園時代の先生だったり…。何かにつまずいたときに会いにいける力と人脈をもっている子は、やっぱり強いと感じています。

子どもにとって親という「ベースキャンプ」は一生もの

「親子だけの関係」から脱却する思春期…戸惑いながらも大切にしたい新しい距離感とはーー精神科医・田中康雄先生の画像
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思春期というのは少しずつ子どもが親から離れて、親も子どもから少しずつ離れて社会生活を送っていく段階です。 体も心も大人になっていく子どもにとって、いかに自己を確立し、親と決別していくかというのが、メインテーマと言えるでしょう。

とはいえ、子どもにとってのベースキャンプはあくまでも親子関係であることに間違いはありません。

難儀な思春期ではありますが、私たち大人自身もみな一度は体験しています。決して未知の世界ではありません。自分の思春期のころを思い返しながら、目の前の子どもの思春期に向き合っていきませんか。

無理せず、ほどほどのペースで。楽しみながらやっていきましょう。

このコラムを書いた人の著書

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わが子の行動が「不可解」にうつるとき、その背景を見つめて――精神科医・田中康雄先生の新刊『「発達障害」だけで子どもを見ないで その子の「不可解」を理解する』のタイトル画像
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「発達障害」というメガネを外して。医師である私が、診断名をつけることより大事にしていることーー精神科医・田中康雄先生のタイトル画像

「発達障害」というメガネを外して。医師である私が、診断名をつけることより大事にしていることーー精神科医・田中康雄先生


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