ASD兄の大学生活。最初のハードル『履修登録』はニガテ要素満載だけど...支援課のサポートで無事クリア?!

ライター:寺島ヒロ
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遠くの学校に通っていたこともあり、中高生時代のほとんどを通学と趣味に費やしていたタケルは、全く自活できない状態で高校を卒業!今回はタケルの大学生生活についてレポートします。

監修者初川久美子のアイコン
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

ASDの兄、新しい環境で大学生活をスタート

できることはできるができないことはできないと言い切る息子
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子どものころから、できることとできないことの差の大きかった息子です。高校3年生になっても「早起き」「雑事を何かのついでに片付けること」「スケジュールを覚えておいて実行すること」が著しく苦手だったので、これは一人暮らしは無理と判断。合格した大学のなるべく近く...歩いてたやすく通える範囲にアパートを借り、当面は私がついて行って自活への道を探ろうということになりました。
ええ、最初は息子と私2人だけで引っ越し、1年もすれば私は夫や娘の住む大分に帰ってくるつもりだったんです。
ところが、大学進学というものを理解していなかった娘が「お兄ちゃんもうおうちに帰ってこないの?ヤダ!私も行く!!」と言い、タイミングよく失職していた夫が「置いてかないでよ!」と言い...

なぜだか家族全員で引っ越すことになってしまいました。
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芋づる式に家族みんなで引っ越しをすることに…
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それまで予定していたのは2DKの部屋だったのですが慌てて3LDKの部屋を探したり、荷造りが膨大なことになったりと大変でした...が、息子もなんとか第一志望の大学に合格し、家族で新生活をスタートさせました。

遅まきながら「いずれは全部一人でやるのよ!」といいつつ家事を教えているところです。

大学生活の最初のハードル、『履修登録』

さて、「大学進学と同時に一人暮らし」というプランは早々に放棄していたので、身の回りのことはゆっくりでいいと思っていたのですが、大学生活の中には”締め切り厳守で提出する必要があるもの”が結構あります。
私が特に心配していたのが「履修登録」...大学では学ぶ授業を学生が自分で選び、登録手続きを行う必要があるのですが、これが発達障害のある学生さんには難しいと聞いていたのです。というか、実は私も大学生時代に履修登録や単位計算が出来なくて留年したことがあるのです!

目の前の紙に書いてある計算問題を解くことはできても、息子があんな手順の多い複雑な作業を締め切りを意識しながら自力でこなせるとは思えませんでした。
大学生活に不安を感じる母
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でも支援課にいけば大丈夫!

でも支援課にいけば大丈夫!息子の通う大学には、学生支援課の中に『障がい学生支援室』があり、大変細かい支援をしてくれるのです。

私はこのことを昨年のオープンキャンパスに参加して知りました。オープンキャンパスの会場に、障害のある受験生向けの入学後の支援について相談できるブースがあったのです。まだ願書も出していない時期なのですが、履修登録や、課外学習でのフォローなどについて既に相談して、詳細なカルテを作ってもらっていました。

なお、この時点では匿名での作成でした。合否に影響するのでは…?と思われないようにするための配慮のようです。
障がい学生支援室で履修手続きを手伝ってもらう息子
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登録の実作業のフォローや、キャリア形成を視野に入れた授業の取り方のアドバイスはもちろん、「起立性調節障害があり朝早く起きる自信が無いので、2時限目からの授業でなるべく賄いたい」「実習や課外授業は出来るだけ多く経験したい」などのワガママな希望も聞いて必要な手続きを指示してくれます。

奨学金の申請も書類の書き方から丁寧に教えてくれました。

※支援課で受けられるサポートは大学によって異なるので、それぞれの大学の情報を調べてみてくださいね。
急に動けなくなり障がい学生支援室に助けを求める息子
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まさに"大学生活の駆け込み寺"!

障がい学生支援室などのおかげで、学校生活が思ったよりスムーズに進められるようになった息子。自分の欲しいものを自由に自分のお金で買いたいという事と、将来仕事をする時のため、お給料をもらう経験をしたいという事で、会場設営などのアルバイトも始めました。

駅から離れている場所には私が車で送迎しますが、駅の近くの現場だとひとりで電車に乗って仕事に行きます。ほんの半年前には電車の乗り換えも不安で、大学に歩いて通える範囲にアパートを借りたことを思うと、なんだか感動してしまいます。

現場で指示を受けながら瞬時に的確に動くのは、息子にとってはなかなか大変なようですが、今のところ大きな問題もなくやれているようです。

アルバイトや、大学の授業での様子については、また折に触れレポートしていきたいと思います。

執筆/寺島ヒロ

専門家コメント 初川久美子先生(臨床心理士・公認心理師)

タケルくんの大学生活のスタート期についてのコラムをありがとうございます。大学では、こちらのコラムにも出てきたように障害学生支援室といった名称で、発達障害に限らず各種障害のある学生向けの支援センターを持っているところが多いです。オープンキャンパス時にそうした話を聞き、匿名とはいえタケルくんについての情報を伝えることができたのはよかったですね。
入試時の合理的配慮はそれはそれとして申請が必要ですが、その後、大学合格後に履修登録など各種事務手続きに関することや、各授業における配慮や支援についてなどの相談ができます。履修登録の頃から支援をお願いしたい場合には、合格後すぐの申し込みが必要なことが多いです。おそらく合格後の通知や書類の中に何らかそうしたアナウンスが入っているので、よくご確認ください。
また、基本的には、大学生はもう成人なので本人が自分でどういった支援が必要かなどを説明できることが望ましいです(そこを見据えて高校時代のうちに、保護者と本人とで、お子さんの困りごとや特性について言語化しておけるといいですね)。
入学後、履修登録も一つの山ですが、各授業でそれぞれに出てくるレポートや課題等をどうマネジメントしていくかもなかなかのハードルです。大学によってはそのあたりも折々に相談できる(場合によっては一緒に予定を組んだり、進捗を確認してくれたりする)ところがあります。事前にホームページなどでご確認いただければと思います。(監修:臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
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