ASD息子の入学準備!母自身のとまどいの思い出から生まれた「授業ごっこ」とは
ライター:丸山さとこ
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もうすぐ進級進学の季節ですね。息子のコウは、次の学年で使う裁縫道具を「楽しみだなぁ」とうれしそうに眺めています。
そんなコウを見ながら思い出すのは入学準備のこと。4年前のこの時期、私自身のとある経験から、コウには”授業を受ける準備”をしてもらっていました。
監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。
多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。
3学期もあと少し!次の学年の準備で思い出した入学前のこと…
先日、我が家にコンパクトな裁縫セットが届きました。息子のコウが次の学年で使うためのものです。「3学期も残り少しだねー。これ使うの楽しみだなぁ!」とうれしそうに手に取るコウを眺めながら、私は彼が小学校に入学する前にしていた準備のことを思い出しました。
突然始まった“授業と勉強”に対するとまどい。
給食袋や体操服など学校用具の準備、さんすうセットや筆記具などの細かい物への記名。色々と準備が必要になっていく入学前のこの時期、4年前の私はもうひとつの準備が気になっていました。小学校という環境の変化に対する“コウの心の準備”です。
私は小学校に入学した時、突然始まった「勉強」にとてもとまどった思い出があります。園生活で「先生の話を聞く」「一日の予定に従って動く」には慣れていましたし、“小学校には授業があって、もっと長時間着席して先生の話を聞かなければならない”ということは知識として知っていました。
ですが、授業・勉強という形式…“問に答える”ということに対して、園を卒業したばかりの私は慣れていなかったのです。
私は小学校に入学した時、突然始まった「勉強」にとてもとまどった思い出があります。園生活で「先生の話を聞く」「一日の予定に従って動く」には慣れていましたし、“小学校には授業があって、もっと長時間着席して先生の話を聞かなければならない”ということは知識として知っていました。
ですが、授業・勉強という形式…“問に答える”ということに対して、園を卒業したばかりの私は慣れていなかったのです。
“勉強”というスタイルにふれておこう!
そのような経験から、コウには小学校入学前から「授業・勉強」に慣れてもらうことにしました。
“授業や勉強がスムーズにできるようになるための練習”ではなく、“授業や勉強にふれておくことで入学後の負担を減らすための体験”として行っていたので、それほど熱心に訓練していたわけではありません。
「勉強クイズ」のような形で“遊びの1つ”として取り入れることで、どこでも行える「時間つぶしの方法」にもなりました。具体的には、以下のようなことを行っていました。
“授業や勉強がスムーズにできるようになるための練習”ではなく、“授業や勉強にふれておくことで入学後の負担を減らすための体験”として行っていたので、それほど熱心に訓練していたわけではありません。
「勉強クイズ」のような形で“遊びの1つ”として取り入れることで、どこでも行える「時間つぶしの方法」にもなりました。具体的には、以下のようなことを行っていました。
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「好きな本、1冊持っておいで!」
私がよく行っていた方法は、「子どもの好きな本から出すクイズ」でした。
①まず、コウに「クイズやる?」と聞きます。「やる!」と答えたら、好きな本を1冊選ばせます。
(もし「やらない」が続いた場合は、「お母さんクイズしたいなー、何問だったら出していい?」と聞きます。)
②本を受け取ったら、「どのページにしようかなー」と選びます。
この時、出題ページを話し合って決めたりはしないようにしていました。学校の授業では子どもの気分で出題箇所を決めることができないからです。その代わり、「出題する本」をコウが選べることでモチベーションを維持できるようにしていました。
③ページが決まったら、その内容に合わせて簡単なクイズを出します。
「ヒツジは何匹いますか?」「イヌとどちらが多いですか?」「ウサギさんが泣いたのはなぜ?」などの簡単な問いなので、答える方も出題する方も楽です。
④子どもが答えたら、正誤に関わらず一緒に答え合わせをします。
「3匹!」「よし、数えてみよう…1、2、3…正解!」
「イヌ!」「どれどれ(数える)…本当だ、イヌは5匹。イヌの方が2匹多いね。」
「転んで悲しかったからだよ!」「どうして分かったの?」「ここ!」「そうだね、ここに書いてあるね。よく見つけたね。」
…という感じでクイズを行うことで、授業形式をとらずに“授業的なもの”にふれることができます。
算数や国語などの教科を想定した“問と答え”の形に慣れることができますし、テキストや図を見ながら“口頭での質問を受ける”ことを体験できるので、視覚優位なコウにはちょうど良い「授業の体験版」になったかなと思います。
①まず、コウに「クイズやる?」と聞きます。「やる!」と答えたら、好きな本を1冊選ばせます。
(もし「やらない」が続いた場合は、「お母さんクイズしたいなー、何問だったら出していい?」と聞きます。)
②本を受け取ったら、「どのページにしようかなー」と選びます。
この時、出題ページを話し合って決めたりはしないようにしていました。学校の授業では子どもの気分で出題箇所を決めることができないからです。その代わり、「出題する本」をコウが選べることでモチベーションを維持できるようにしていました。
③ページが決まったら、その内容に合わせて簡単なクイズを出します。
「ヒツジは何匹いますか?」「イヌとどちらが多いですか?」「ウサギさんが泣いたのはなぜ?」などの簡単な問いなので、答える方も出題する方も楽です。
④子どもが答えたら、正誤に関わらず一緒に答え合わせをします。
「3匹!」「よし、数えてみよう…1、2、3…正解!」
「イヌ!」「どれどれ(数える)…本当だ、イヌは5匹。イヌの方が2匹多いね。」
「転んで悲しかったからだよ!」「どうして分かったの?」「ここ!」「そうだね、ここに書いてあるね。よく見つけたね。」
…という感じでクイズを行うことで、授業形式をとらずに“授業的なもの”にふれることができます。
算数や国語などの教科を想定した“問と答え”の形に慣れることができますし、テキストや図を見ながら“口頭での質問を受ける”ことを体験できるので、視覚優位なコウにはちょうど良い「授業の体験版」になったかなと思います。
市販の教材をちょっぴり改造
口頭での出題の他、ワークシート形式にも慣れるように市販の教材も時々使っていました。これもまた、塗り絵や迷路と共に遊びの延長のような感じで行っていました。
視覚情報で気が散りやすいコウは、1ページごとに切り離せるものだと他のページが気にならずに取り組めていました。
それでも市販のワークシートだけでは飽きたりすぐに終わってしまったりするので、時々私が問題を作ってコウに渡していました。“自分で作る”とは言っても1から作る必要はなく、ワークシートの問題を見ながらモチーフや数字を置き換えるだけなので簡単でした。
「能力を鍛えよう!」という趣旨でやっていることではないので、基本的にはコウが簡単にできる難易度のものを与えるようにしつつ、彼がやる気に満ちている時は少し難しそうな問題にも挑戦してもらいました。
視覚情報で気が散りやすいコウは、1ページごとに切り離せるものだと他のページが気にならずに取り組めていました。
それでも市販のワークシートだけでは飽きたりすぐに終わってしまったりするので、時々私が問題を作ってコウに渡していました。“自分で作る”とは言っても1から作る必要はなく、ワークシートの問題を見ながらモチーフや数字を置き換えるだけなので簡単でした。
「能力を鍛えよう!」という趣旨でやっていることではないので、基本的にはコウが簡単にできる難易度のものを与えるようにしつつ、彼がやる気に満ちている時は少し難しそうな問題にも挑戦してもらいました。
そして小学校に入学。現在は…?
そんな「勉強遊び」の成果なのか、はたまた性格によるものなのかは分かりませんが、コウは小学校での生活にわりあいすんなり慣れました。
多分、「バッチリ新一年生になりました!」という感じではありません。授業中に立ち歩くことはないものの、前後に揺れたり姿勢が崩れて椅子の上で溶けたようになったりしましたし、一斉指示は入りづらく先生から個別に声をかけていただくこともありました。(事前に相談をしていました。)
それでも、コウ本人が「授業って楽しい!今日は何をするんだろうって思う。」と言いながら登校してくれるだけで、「準備しておいてよかったな」と思いました。
もちろん、準備をしておいても崩れてしまった可能性もあります。それならそれで、「あー、やっぱ本番は違うよねー!」と言っただろうなと思います。コウのためだけではなく、「一応準備はしておいた」と私が思うための「勉強遊び」だったのかもしれません。
多分、「バッチリ新一年生になりました!」という感じではありません。授業中に立ち歩くことはないものの、前後に揺れたり姿勢が崩れて椅子の上で溶けたようになったりしましたし、一斉指示は入りづらく先生から個別に声をかけていただくこともありました。(事前に相談をしていました。)
それでも、コウ本人が「授業って楽しい!今日は何をするんだろうって思う。」と言いながら登校してくれるだけで、「準備しておいてよかったな」と思いました。
もちろん、準備をしておいても崩れてしまった可能性もあります。それならそれで、「あー、やっぱ本番は違うよねー!」と言っただろうなと思います。コウのためだけではなく、「一応準備はしておいた」と私が思うための「勉強遊び」だったのかもしれません。
そんなコウも現在既に小学校高学年です。勉強ごっこはその後どうなったかと言うと…何とまだ続いています。
「できるだけ日々手を抜いて生きていきたい…!」と思って過ごしている私ですので毎日行うことはありませんが、テストで間違った問題のみ抜き出して出題することがあります。「寒」「館」「裏」が間違っていたら、“今日の体育館は寒すぎた!足の裏がこおるかと思った!!”という問題を作って出すような感じです。
好きな本からの出題も、歴史マンガや図鑑などを元に出題する形で行っています。床でごろごろしながら答えるコウの姿は「小学生…これでいいのか…?」という感じではありますが、このまま“学ぶこと”を続けていってくれたらいいなと願っています。
執筆/丸山さとこ
「できるだけ日々手を抜いて生きていきたい…!」と思って過ごしている私ですので毎日行うことはありませんが、テストで間違った問題のみ抜き出して出題することがあります。「寒」「館」「裏」が間違っていたら、“今日の体育館は寒すぎた!足の裏がこおるかと思った!!”という問題を作って出すような感じです。
好きな本からの出題も、歴史マンガや図鑑などを元に出題する形で行っています。床でごろごろしながら答えるコウの姿は「小学生…これでいいのか…?」という感じではありますが、このまま“学ぶこと”を続けていってくれたらいいなと願っています。
執筆/丸山さとこ
専門家コメント 新美妙美先生(小児科医)
これは、ものすごく丁寧な準備ですね!!!
保育園・幼稚園から小学校へ、小学校から中学校へと進学すると、生活する場所や時間割、先生、友だちとの関係など、さまざまなことが変わり、生活が一変します。ASD(自閉スペクトラム症)などがあり、環境の変化になじむまでに時間がかかるお子さんにとって、こうした変化は大きな負担になることがあります。
そのため、事前に新しい環境や活動をシミュレーションしておくことは、とてもよい準備になると思います。実際にありそうな場面をあらかじめ経験しておくことで、いざ本番になって戸惑ったり、想定外のことが起きて混乱したりするのを防ぐ助けになります。また、「こんなときはどうする?」という想定場面と対応方法をまとめたマニュアルをつくっておくことも役立ちます。困ったときに誰に助けを求めればよいか、どう行動すればよいかが分かっているだけでも、安心につながるでしょう。
こうした準備は、小学校入学時だけでなく、中学校への進学時にもお勧めしたいものです。子どもの成長に合わせて、学校とも相談しながら、できる範囲で準備を進めていけるとよいですね。
ただし、大切なのは、シミュレーションそのものが子どもにとって苦痛にならないようにすることです。練習が厳しかったり、難しいことばかりを経験したりすると、「こんなに大変なら学校に行きたくない」と、かえって不安や苦手意識を強めてしまう可能性もあります。好きな遊びを取り入れたり、無理なくできる内容から始めたりして、楽しく取り組める工夫も大切です。
準備をしておけばすべてがうまくいくわけではありませんが、「これなら大丈夫そう」「困ってもこうすればいい」と思える経験を少しずつ積み重ねることが、新しい環境への安心感につながっていくのだと思います。(監修:小児科医 新美妙美先生)
保育園・幼稚園から小学校へ、小学校から中学校へと進学すると、生活する場所や時間割、先生、友だちとの関係など、さまざまなことが変わり、生活が一変します。ASD(自閉スペクトラム症)などがあり、環境の変化になじむまでに時間がかかるお子さんにとって、こうした変化は大きな負担になることがあります。
そのため、事前に新しい環境や活動をシミュレーションしておくことは、とてもよい準備になると思います。実際にありそうな場面をあらかじめ経験しておくことで、いざ本番になって戸惑ったり、想定外のことが起きて混乱したりするのを防ぐ助けになります。また、「こんなときはどうする?」という想定場面と対応方法をまとめたマニュアルをつくっておくことも役立ちます。困ったときに誰に助けを求めればよいか、どう行動すればよいかが分かっているだけでも、安心につながるでしょう。
こうした準備は、小学校入学時だけでなく、中学校への進学時にもお勧めしたいものです。子どもの成長に合わせて、学校とも相談しながら、できる範囲で準備を進めていけるとよいですね。
ただし、大切なのは、シミュレーションそのものが子どもにとって苦痛にならないようにすることです。練習が厳しかったり、難しいことばかりを経験したりすると、「こんなに大変なら学校に行きたくない」と、かえって不安や苦手意識を強めてしまう可能性もあります。好きな遊びを取り入れたり、無理なくできる内容から始めたりして、楽しく取り組める工夫も大切です。
準備をしておけばすべてがうまくいくわけではありませんが、「これなら大丈夫そう」「困ってもこうすればいい」と思える経験を少しずつ積み重ねることが、新しい環境への安心感につながっていくのだと思います。(監修:小児科医 新美妙美先生)
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