進化したオウム返し

更に分析してみると…

息子は5歳までオウム返しも含めて言葉が出ませんでした。小学生になって言葉が出てもほぼオウム返しでしたので、おそらくこんな会話になってしまっていたでしょう。

私「昔に比べたら、本当に態度が立派になったね」

息子「昔に比べたら、本当に態度が立派になったね」

私「お利口になったね」

息子「お利口になったね」

19歳の今は「ね」を省略して「立派になった」「お利口になった」と答えます。

それから…

この間、タクシーで運転手が「僕のお名前は?」と聞いてきました。
この時も「僕のお名前は」とならず、「山田太郎です」と相手のネームプレートを読んでいました。ある意味正しい回答です。

つまり!

今の息子の言葉は、オウム返しでもただのオウム返しではなく“語尾を少し変えた、進化したオウム返し”です。タクシーの場面では相手の質問に“字面どおり正確に答える”ことが出来るようにもなっています。
【発達障害 子育て】息子の言葉に感情が宿った?自閉症児の育児、今までで一番嬉しかったことのタイトル画像

【発達障害 子育て】息子の言葉に感情が宿った?自閉症児の育児、今までで一番嬉しかったこと

就労移行支援事業所で

息子は定型発達のお子さんや知的障害のないグレーゾーンのお子さんに比べたら、出来ないことは山のようにありますが、過去と今を比べると成長していることがたくさんあります。

ひと時もじっとしていなかった幼児期、小学校時代と比べると…
者からものに飛び移る多動な息子
Upload By 立石美津子
多動な息子
Upload By 立石美津子
窓枠にぶら下がる息子
Upload By 立石美津子
特別支援学校高等部を卒業後、電車を使って一人で通所しています。
更に事業所の支援員から「学生ではないので、就労に向けて親が手を出していたことを自分でさせるように」言われています。例えば自分で欠席や遅刻の連絡をしたり、病院受診のための早退届を提出したりしています。

また、息子のノートを見てみるとこんな風に書かれていました。

今日のテーマ「相談する」
場面:ホワイトボードの字を大きく書いてほしい
どんなに前に座っても見えないので、職員にお願いする
「字を大きく書いていただいてもよろしいですか」

職員が話したことをそのまま書いているので、どこまで理解しているか定かではありませんが、毎日10時~16時の間、こうした学習をしているなんて、落ち着きのない昔に比べたら「成長したな」と思います。

出来る子と比較したり、平均値を物差しにしたりすると進歩は見えません。でも、過去を思い出すと成長しています。過去とは一週間前と今、半年前と今、2年前と今、幼児期と今、いつの過去でもよいのです。

これからも“比べる病”に煩わされず、他者との位置関係を比べる“相対評価”ではなく、本人が出来ているかどうかの“絶対評価”をしていきたいと思っています。

このコラムを描いた著者親子がモデルの本

発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年
松永正訓
中央公論新社
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このコラムを書いた人の著書

子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方
立石美津子
すばる舎
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