やらなければいけないことを身体が拒否!集中できない、気持ちが下がる意外なワケ。ADHD息子の振り返りから感じた環境を整える大切さ

ライター:かなしろにゃんこ。
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授業と休み時間の切り替えができなかったADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は小学校時代は業間休みにはじめた工作を中断できない、時計ばかり見てしまって授業に集中できなかったりしていました。
中学では気分の切り替えに音楽でテンションを上げる方法を見つけて受験勉強を乗り切ったのでした。

授業に集中できなかった小学生時代、意外なアレも原因だった!?

業間休みに始めた工作を授業の時間になってもやめられず、先生に教科書を出すように言われるリュウ太。
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ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は、小学校時代に廊下で寝ながら授業を受けていた子でしたが(笑)

授業に集中できなかった原因に『気持ちの切り替え』が難しかったこともあったそうです。

息子(現在22歳)とNHKの発達障害をテーマに取り上げた番組を一緒に見ていて『切り替えができない』特性の話が出てきて、
息子が「オレもできなかったなー、社会人になってようやくできるようになったけどね」と言うので、
ナゼ切り替えができなかったのか聞いてみましたら、意外なものが勉強意欲を下げていたからなんだそうです。
授業中に時計が気になって何度も見てしまい、授業に集中できないリュウ太。
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まず1つ目は休憩時間

息子の通っていた学校では、2時間目と3時間目の間に20分の業間休み(地域によっては中休みといいますよね)がありました。1時間目2時間目は落ち着いて勉強できるのだけれど、業間休みで頭の中が遊びのモードになってしまうと、そこからの気持ちの切り替えが難しく、3時間目からの勉強に集中できなくなるのだそうです。

そして2つ目が時計です。
好きな教科のときは3時間目でも調子よく勉強できていたそうなのですが...時計があると授業中に何度も見てしまって、テンションが下がっていたんだそうです。
時間に支配されているような気持ちになるリュウ太。
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「集中して書き取りをしていても、ふと時計を見たときに、まだ10分しか経ってないとか、あと20分もあるとか考えると気持ちが下がっていったんだよね」といいます。

“気持ちが下がる自分”もイヤだったそうで、時計を見ないで過ごしたい、でも視界に入るから授業中についつい見ちゃう、そしてその度に「あと〇分か…」と考えてしまっていたそうなのです。そんな自分に疲れてしまっていたんだとか。
「時間を意識しない状態のときの方が、勉強や作業が捗るんだよね」と言うリュウ太。
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実は時計がない部屋のほうが勉強とか作業がはかどるんだよね。オレみたいなタイプは教室に時計がないほうが勉強に集中できるのかもしれない!

時計は先生だけが卓上で見るなりして、時計がないと見通しが立たなくて不安になるタイプの子は腕時計や卓上時計を用意するとか。時計が目に入らなければ、授業の時間があっという間に感じていたかも」といいます。

なるほど!時計がない場所で勉強させるのはいいかもしれないな~と思いました。

中学時代は、音楽も気持ちの切り替えスイッチに

中3の頃のリュウ太が、勉強時に聴くと決めている音楽を流す様子。
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息子は中学のときに通っていた塾で、『イヤホンで音楽を聴きながら課題に取り組んでよい』という特例を許してもらっていました。

塾の先生は息子が発達障害であることを理解してくれていて、一人ひとり集中の仕方が違うことを分かってくれていたからだったのですが、息子は「塾の先生のおかげで勉強モードになれる方法を見つけられた」といいます。
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受験期なのに勉強しないADHD息子に、途方にくれていた母。救世主に"お任せ"した結果は…?

聴いている曲の長さで時間をはかっていたリュウ太。
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勉強のときに聴く音楽っていうのを流すと、今から勉強タイムだ!って頭の中のチャンネルを切り替えられるようになったんだよね。

この香りを嗅ぐと懐かしい気持ちになる~のと同じ感覚で、この曲を聴くと勉強モードになる!みたいな感じなんだよね。それに、“5分の曲と4分の曲を何曲聞いたから、このくらい時間が経過している”っていうのが時計を見なくても分かるから、ストップウォッチみたいに時間をはかるのにも使えたよ」といいます。

中学時代、音楽ガンガン流して塾の課題をする息子に私は「音楽なんか聞いていて、覚えられるのかな?」と疑問だったのですが...
好きな音楽で気分を上げることができていたことの説明。
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息子「気分が下がってるときには勉強したくないんだよね。だからスイッチを入れて、気分を上げるしかないわけ!自分に効果的だったのが音楽だっただけのことなんだけどね。

小学生のときは本当に気分が乗らないことをするのが苦痛で、切り替えが大変だった。学校のルールなんかどうでもいいから、自分の気持ちに素直になろうと思って、気分が下がっているときは廊下で寝たりしてたわけだけど...我慢して取り組むと気分が悪くなるから、無理しないでいたって感じなんだよね。

我慢して机に座ってきちんと授業に取り組めるようには結局ならなかった。中学生のときもまだ切り替えが難しかったから、形だけは授業に参加してる風で座っていたけれど、勉強に全く集中できなかった。

社会人になったらイヤでも切り替えしなきゃいけないことがいっぱいあって、今は鍛えられたから平気になったよ」

規則に従って生きる中では、体に無理を強いていることもたくさんありますよね。
やらなきゃいけないけれど体が拒否してしまうし、自分の心のままに過ごすほうがいいに決まってる...子どもの頃のリュウ太がそんなふうに思っていたのも自然なことのように思います。気分が乗らないことをするのは大人でも苦痛ですもんね。

子ども達はたくさん我慢やムリをしていると思います。学校では無理ですが、家では気分が下がるものから距離を置くことや、音楽で気分をアゲアゲにして課題に取り組むことなど、それぞれに合わせた方法で環境を整えることって大事なんだなと思いました。

息子なりの環境設定、工夫をしていたのだと、大人になった息子と話して分かったのでした。

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