出された問題を解くために必要な力

たとえば、授業中に先生がこんな問題を口頭で出したとします。

「Aさんは10個の飴を持っていました。4個をあげるとAさんは飴を何個持っているでしょうか?」

これに答えるには、まず先生の話に「注意」を向けることが必要です。外を見ていたり、ノートにお絵描きをしていたりしては聞き取れません。

次に、先生の話したことをしっかり聞きとって「知覚」し、個数を忘れないように「記憶」します。また、先生の話した問題の「言語理解」も必要です。

さらに、ここから答えを考えていきますが、暗算するためにはほかに考えごとなどせずに「注意(集中)」する必要があります。

認知機能すべての力をフル稼働

最後に大切なのが、この問題では次の2通りの解釈ができることです。
「Aさんは誰かに4個の飴をあげたのか?」
「Aさんは誰かから4個の飴をもらったのか?」


いったい先生はどちらを意図したのか「判断・推論」する必要があります。
以上から、先生が口頭で出した問題を解くためには認知機能のすべての力が必要なのです。

もしその中の1つにでも弱さがあれば、問題を解くことはできません。学習につまずきを抱える子どもは、認知機能の働きのどこかに、または複数に弱さをもっている可能性があるのです。そのような弱さを見つけトレーニングしていくのが、コグトレなのです。

紙と鉛筆があれば始められるトレーニング

具体的には、「数える」「覚える」「写す」見つける」「想像する」という5つの分野を対象にしたトレーニングを行います。紙と鉛筆があれば、今日から始められます。

次に実際に、コグトレの問題をご覧いただきましょう(8月刊行の『医者が考案したコグトレ・パズル』より抜粋)。
まずは「写す」問題から。問題に取り組むことで、「見る力」の基礎力を強化していきます。下の図は、「写す」問題の一部で、「点つなぎ」「くるくる星座」です。「点つなぎ」では正確に形を見る力、「くるくる星座」は考えながら見る力をつけていきます。
「写す」問題全体を通して、漢字の書き取りや図形問題の基礎力をつけるのに役立つでしょう。

点つなぎ

見本の通りに点をつないで、上の絵を下に写します。
点つなぎ
点つなぎ(『医者が考案したコグトレ・パズル』より)
Upload By 宮口幸治

くるくる星座

上の星座と同じ形になるように、下の★〇●を線でつないでいきます。
くるくる星座
くるくる星座(『医者が考案したコグトレ・パズル』より)
Upload By 宮口幸治
次に「見つける」問題です。この問題では、「見る力」の応用力を強化していきます。

下の図は、「見つける」問題の一部で、「黒ぬり図形」「違いはどこ?」題です。「黒ぬり図形」では形の輪郭を見る力、「違いはどこ?」では形の違いを見つける力をつけていきます。
「見つける」問題全体を通して、広い観点で物事を見る力、図形問題の応用力をつけるのに役立つでしょう。

黒ぬり図形

ある形の影を見つけます。①~④の図を黒くぬったものを、1~10から選びます。
黒ぬり図形
黒ぬり図形(『医者が考案したコグトレ・パズル』より)
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違いはどこ?

上の絵と下の絵には、3つの違いがあります。違う部分に〇をつけましょう。
違いはどこ?
違いはどこ?(『医者が考案したコグトレ・パズル』より)
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答えはこちらです。
「違いはどこ?」の問題の答え
違いはどこ?(『医者が考案したコグトレ・パズル』より)
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