父と母の役割分担で「宿題問題」に対処!ASDコウの、忘れ物をして「パニック」から「嘘をつく」成長に、親も四苦八苦
ライター:丸山さとこ
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“新入生はまだ小学校に不慣れだから”ということで手厚いバックアップがあった1年生でしたが、2年生ではそうもいきません。
「1年生の時より集団行動は難しくなっているのでは…?」という心配をよそに意外にも順調な滑り出しを見せた2年生の1学期でしたが、2学期に入ったある日、先生からの電話をゴングとして長期に渡る宿題バトルが始まったのでした。
監修: 森 しほ
ゆうメンタル・スキンクリニック理事
ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックにて勤務。産業医として一般企業のケアも行っている(産業医のご依頼を随時受付中)。
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2年生で求められる「自主性」の壁。順調に見えた矢先、予想外の展開が……
先生からの個別の声かけや“小まめで具体的な指示”のおかげで小学1年生は大きなトラブルもなく過ぎていったコウですが、2年生になれば“自主的な判断”や“臨機応変な対応”が求められることも増えていきます。
『大丈夫かな?1年生の時より集団行動は難しくなっているのでは…?』と気にかけていた2年生の1学期でしたが、意外にも担任の先生からは太鼓判を押されるくらい、学校生活は順調な様子でした。
毎日楽しそうに出かけていくコウの様子を見ながらほっと一安心したのも束の間、予想外の方向から問題はやってきたのです。
『大丈夫かな?1年生の時より集団行動は難しくなっているのでは…?』と気にかけていた2年生の1学期でしたが、意外にも担任の先生からは太鼓判を押されるくらい、学校生活は順調な様子でした。
毎日楽しそうに出かけていくコウの様子を見ながらほっと一安心したのも束の間、予想外の方向から問題はやってきたのです。
先生からの電話にビックリ!「宿題を自宅でしていません」
まず、2学期に入った頃から「連絡帳に宿題や忘れ物を書いてこない(ので親が気付かない)」ということが急に増えてきました。先生から連絡をいただいて初めて気が付いたので、とても驚き反省したのを覚えています。
1年生から2年生の初めにかけて宿題の漏れが殆ど無かったことからすっかり油断をした私は、マメにチェックをしていませんでした。基本的には家事をしながら「机に向かっているな」と遠目に見ておしまいです。
そんな行動を深く反省しつつ、同時に「え?たまたまチェックした日だけ宿題をしていたってこと?」と混乱もしました。おそらく連絡帳に全ての宿題を書いていないのだろうと察しはつきましたが、そうであれば連絡帳に赤ペンでの“忘れ物の記載”がある筈です。
急にどうしたのか…宿題が難しいのか面倒なのかと本人に聞いたり先生に確認したりしたところ、どうやら2年生から始まった新ルールが影響していたようでした。
そんな行動を深く反省しつつ、同時に「え?たまたまチェックした日だけ宿題をしていたってこと?」と混乱もしました。おそらく連絡帳に全ての宿題を書いていないのだろうと察しはつきましたが、そうであれば連絡帳に赤ペンでの“忘れ物の記載”がある筈です。
急にどうしたのか…宿題が難しいのか面倒なのかと本人に聞いたり先生に確認したりしたところ、どうやら2年生から始まった新ルールが影響していたようでした。
本来は「宿題の大切さ」を教えるためのルールだった筈が…!?
「登校後に終わらせれば大丈夫!」
先生のお話によると、「宿題は必ず出さなければいけない」という方針に基づき、2年生になってからは“宿題をしていない児童は、登校後所定の時間内に終わらせて提出する”という新しいルールがあったのだそうです。
それは多分、「宿題をすること・きちんと提出することの大切さ」を教えるためのルールだったのでしょう。けれど、コウは「登校後に終わらせれば大丈夫。家ではしたい読書や勉強をしよう!」と考えて動くようになってしまったのです。
それは多分、「宿題をすること・きちんと提出することの大切さ」を教えるためのルールだったのでしょう。けれど、コウは「登校後に終わらせれば大丈夫。家ではしたい読書や勉強をしよう!」と考えて動くようになってしまったのです。
私はルール自体に大きな穴があったとは考えていません。コウの言う理屈は一般的には屁理屈とされるものですし、宿題未提出の逃げ切りを防ぐことで一定の効果もあったのではないかと思います。ただ、「コウならそう考えるだろうなー…!」と頭を抱えました。
2年生になり、先生の指示や児童の行動に「臨機応変さ」が出てきたことも、コウの「自分にとって都合の良い解釈」に拍車をかけたようです。
物事の背景が見えにくいコウにとっては、「皆、自分の都合に合わせてルールを変えていく」のが新しいルールに見えているところもあったのかな?と思います。本人としては「自分はしっかりルールを守っている。何も問題はない」という意識があったそうです。
2年生になり、先生の指示や児童の行動に「臨機応変さ」が出てきたことも、コウの「自分にとって都合の良い解釈」に拍車をかけたようです。
物事の背景が見えにくいコウにとっては、「皆、自分の都合に合わせてルールを変えていく」のが新しいルールに見えているところもあったのかな?と思います。本人としては「自分はしっかりルールを守っている。何も問題はない」という意識があったそうです。
一度知った“旨味”は簡単には手放せなくて
コウはそれ以降、自宅で宿題をやりたがらなくなりました。チェックが強化されてからは、チェックをすり抜けられるよう連絡帳から宿題の記載を消すようにもなりました。
コウも理屈の上では宿題をする必要があるのだと分かっています。けれども、コウからしてみれば「宿題をしていなくても何も困らない」のです。
コウも理屈の上では宿題をする必要があるのだと分かっています。けれども、コウからしてみれば「宿題をしていなくても何も困らない」のです。
この頃のコウはADHDによる不注意やうっかりミスが強く目立ってきた頃だったので、「宿題やったよ」と本人が言っていても宿題の範囲を間違えたりページが飛んでいたりすることが多く、手書きの文字を読むのが苦手な私にとって、彼の宿題をチェックするのは難しい作業でした。
それでも何とかチェックを済ませ、宿題が終わっているのを確認したとしても、「あ、忘れてた」「あれ?学校では見つからなかったんだけどな…?」と宿題を未提出のまま持って帰ってくることも珍しくありませんでした。
(後に、「チェックは私には難しい」ということで夫に担当してもらうことになりました。)
一度「ルーズであること」「嘘をつくこと(その場の利益が得られる行動をとった結果嘘になること)」の旨味を知ったコウは中々手強く、4年生まで2年半かけて“お父さんにチェックをお願いする”という習慣が身につくようになりました。
それでも何とかチェックを済ませ、宿題が終わっているのを確認したとしても、「あ、忘れてた」「あれ?学校では見つからなかったんだけどな…?」と宿題を未提出のまま持って帰ってくることも珍しくありませんでした。
(後に、「チェックは私には難しい」ということで夫に担当してもらうことになりました。)
一度「ルーズであること」「嘘をつくこと(その場の利益が得られる行動をとった結果嘘になること)」の旨味を知ったコウは中々手強く、4年生まで2年半かけて“お父さんにチェックをお願いする”という習慣が身につくようになりました。
1つ1つ“解説”していく日々
親としては「それは通らないよ」と言いたいけれど…
コウが宿題をしたくない理由は明快です。「学校から帰ったら疲れてる。疲れている時にしたくないことはしたくない。宿題より他にもっとしたいことがある」ただそれだけです。
親としては「それは通らないよ」と言いたくなるようなコウの主張ですが、苦痛が大きく必要性の見えないことをするのが嫌だという気持ち自体は分かる部分もあります。
実際、学校から帰ってきたコウは「1クラスにいる人間の数が多い…いるだけで疲れちゃう…」とかなりグッタリしていますし、宿題は学力をつけるためだと言われても、コウからすれば「宿題をしなくても漢字や計算はもう覚えてるよ」といったところでしょう。
実際、学校から帰ってきたコウは「1クラスにいる人間の数が多い…いるだけで疲れちゃう…」とかなりグッタリしていますし、宿題は学力をつけるためだと言われても、コウからすれば「宿題をしなくても漢字や計算はもう覚えてるよ」といったところでしょう。
お父さんはチェック係、お母さんは…説得係!
コウの気持ちは分かる。でも親としては「そうではないよ」と思う。気持ちだけで動くと“コウが望んだ通りの結果”にならなかったりする。
その辺りを伝えるのは私が比較的向いているということで、チェックのメインは夫、説得(?)は私がすることになりました。
その辺りを伝えるのは私が比較的向いているということで、チェックのメインは夫、説得(?)は私がすることになりました。
チェックのメインが夫なのは、「一緒にいる時間が長い私がチェックをすると細かくなり過ぎてしまうだろうな」という予想もあってのことです。思春期に入っていく今、「見て見ぬふり」をする技術は私の今後の課題なのかもしれません。
理屈が分かっていればできる…わけではない?
コウは“理屈を理解する力”そのものは高い一方、その場の気持ちだけで見通しなく動くところがあります。なので、理屈を理解したからといって即行動を変えるわけではありません。そのこと自体は何も珍しくはないことなのだろうと思います。
「甘いものばかり食べていてはいけないと知っていてもついつい食べてしまう」
「明日の朝が辛いと分かっていてもスマホに手が伸びてしまう」
「運動をした方が健康に良いと分かっているが面倒」
どれも珍しくはない話です。もし「分かっているのに何で!?」と聞かれたら、「したかったから(したくなかったから)…」としか答えようがないのではないかと思います。
「甘いものばかり食べていてはいけないと知っていてもついつい食べてしまう」
「明日の朝が辛いと分かっていてもスマホに手が伸びてしまう」
「運動をした方が健康に良いと分かっているが面倒」
どれも珍しくはない話です。もし「分かっているのに何で!?」と聞かれたら、「したかったから(したくなかったから)…」としか答えようがないのではないかと思います。
理屈を伝えるのは何のため?
私がコウに理屈を伝えるのは、もちろん彼の行動を変えて欲しいからです。同時に、理屈を知って納得をすることで、彼の「理不尽だ!」という辛い思いを少しでも減らせたらいいなとも考えています。
全てのことを理屈で解説するのは実際のところ無理なことです。どうしても納得いかない!と思うこともあるでしょう。けれど、そういう時に「納得いかない!と思ったけれど、後から考えたらそうでもなかったな」と思い出したら、「仕方ない、一回やってみるか」と思えるかもしれません。
その上で「どうしても嫌だ!おかしいと思う!」と感じるのであれば、その時は考えたり聞いてみたり止めてみたりしてもいいのかな?と思います。
その上で「どうしても嫌だ!おかしいと思う!」と感じるのであれば、その時は考えたり聞いてみたり止めてみたりしてもいいのかな?と思います。
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その時々に合わせて、少しずつ
こうして改めて振り返ってみると、コウの特性の現れ方はその時々によってかなり違っているのだなと感じます。
2年生から忘れ物などのミスが増えるようになったのは、コウが「忘れ物をしてもパニックにならなくなった」という意味では成長と捉えられるのかもしれません。大人から見れば悪知恵にしかならない理屈を繰り出すのも、成長による知恵の1つと言えそうです。
2年生から忘れ物などのミスが増えるようになったのは、コウが「忘れ物をしてもパニックにならなくなった」という意味では成長と捉えられるのかもしれません。大人から見れば悪知恵にしかならない理屈を繰り出すのも、成長による知恵の1つと言えそうです。
環境という面から見れば、保育園~1年生まで忘れ物などが目立たなかったのは「親がフォローできたから」という部分も大きかったのだろうなと思います。
そうして考えてみると、その時々によって現れ方が様々なように見える特性そのものは、実はあまり変化していないのかもしれません。
今後もコウ自身の成長や環境の変化によって“現れ方”が変わっていくであろう特性を「ゆっくり見ていけたらいいな」と思う、何かと焦りがちな私です。コウのノンビリさを、少し見習っていくといいのかもしれません。
執筆/丸山さとこ
そうして考えてみると、その時々によって現れ方が様々なように見える特性そのものは、実はあまり変化していないのかもしれません。
今後もコウ自身の成長や環境の変化によって“現れ方”が変わっていくであろう特性を「ゆっくり見ていけたらいいな」と思う、何かと焦りがちな私です。コウのノンビリさを、少し見習っていくといいのかもしれません。
執筆/丸山さとこ
専門家コメント 森しほ先生(医師・公認心理師)
葛藤しながらも、コウくんの成長を信じて見守ってこられたのですね。
ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動症)など、発達障害の傾向があるお子さんの中には、理論的に考える力が高いケースでも、見通しを立てたり、優先順位をつけたり、疲労とうまく付き合うといったことには弱いケースがあります。
そのギャップから、「分かっているのにやらない」状態がうまれてしまうのですね。
特にASD傾向のあるお子さんは、ルールを字義通りに解釈することが少なくありません。「宿題が終わらなかったら登校後にやる」というルールを「宿題は登校後にやればよい」と考えてしまうのもそのためです。悪意ではなく、“認知のスタイル”の問題です。
さらに重要なのは「疲労」です。学校は刺激が多く、感覚過敏や対人緊張があるお子さんにとってはとても負担がかかってきます。
帰宅後は脳のエネルギーが枯渇しているため、回復を優先したくなってしまうのです。
嘘やごまかしは、お子さんにとっては自己防衛行動です。嘘を責めるのではなく、成長のあかしと捉えて向き合ってこられたこと、とっても素晴らしいですね。
具体的な宿題対策は、お子さんによって合う合わないがあるため、実際にやってみて試行錯誤していくことになります。
「帰宅後すぐ宿題」をルーティンにすることでうまくいくケースもありますし、帰宅後はまず「回復タイム」を確保してエネルギーをチャージすることでうまくいくケースもあります。
回復タイムを設ける場合は、15〜30分で時間を決めて完全自由時間(読書・動画・ゴロゴロOK)としてルーティン化するといいでしょう。
エンジンがかかりにくいスロースターターの場合は、「まずは始める」を目標にするといいですね。タイマーをかけ「5分経ったらやめてもいい」として、始めるハードルを極限まで下げると、スイッチが入りやすく、結果的に継続してとりかかることができる場合があります。
また、フォローする保護者が複数いる場合は、お父さんはチェック、お母さんは説得というように役割分担をするのはとっても有効です。
説得する係は、理屈を押しつけるのではなく、「あなたの考えは分かるよ。でもこうすると困るよね」と寄り添いながら導くスタンスをとると、お子さんの自己肯定感が育ちます。
これからも焦らずお子さんのペースを大切にしながら成長していけることを願っております。(監修:医師・公認心理師 森しほ先生)
ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動症)など、発達障害の傾向があるお子さんの中には、理論的に考える力が高いケースでも、見通しを立てたり、優先順位をつけたり、疲労とうまく付き合うといったことには弱いケースがあります。
そのギャップから、「分かっているのにやらない」状態がうまれてしまうのですね。
特にASD傾向のあるお子さんは、ルールを字義通りに解釈することが少なくありません。「宿題が終わらなかったら登校後にやる」というルールを「宿題は登校後にやればよい」と考えてしまうのもそのためです。悪意ではなく、“認知のスタイル”の問題です。
さらに重要なのは「疲労」です。学校は刺激が多く、感覚過敏や対人緊張があるお子さんにとってはとても負担がかかってきます。
帰宅後は脳のエネルギーが枯渇しているため、回復を優先したくなってしまうのです。
嘘やごまかしは、お子さんにとっては自己防衛行動です。嘘を責めるのではなく、成長のあかしと捉えて向き合ってこられたこと、とっても素晴らしいですね。
具体的な宿題対策は、お子さんによって合う合わないがあるため、実際にやってみて試行錯誤していくことになります。
「帰宅後すぐ宿題」をルーティンにすることでうまくいくケースもありますし、帰宅後はまず「回復タイム」を確保してエネルギーをチャージすることでうまくいくケースもあります。
回復タイムを設ける場合は、15〜30分で時間を決めて完全自由時間(読書・動画・ゴロゴロOK)としてルーティン化するといいでしょう。
エンジンがかかりにくいスロースターターの場合は、「まずは始める」を目標にするといいですね。タイマーをかけ「5分経ったらやめてもいい」として、始めるハードルを極限まで下げると、スイッチが入りやすく、結果的に継続してとりかかることができる場合があります。
また、フォローする保護者が複数いる場合は、お父さんはチェック、お母さんは説得というように役割分担をするのはとっても有効です。
説得する係は、理屈を押しつけるのではなく、「あなたの考えは分かるよ。でもこうすると困るよね」と寄り添いながら導くスタンスをとると、お子さんの自己肯定感が育ちます。
これからも焦らずお子さんのペースを大切にしながら成長していけることを願っております。(監修:医師・公認心理師 森しほ先生)
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