「あなたのストレスはどこから?」チャートで自分のストレスタイプを探り、ケア方法が学べる『イラスト版13歳からのメンタルケア 心と体がらくになる46のセルフマネジメント』

2020/10/27 更新
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13歳は、子どもから大人へと成長し始めるとき。思春期が始まり、自分って何だろうと考え始め、周りの人との関係について、敏感に、深く考える年ごろです。10代の繊細な心と体を自分で管理していくための方法がわかる本、『イラスト版13歳からのメンタルケア 心と体がらくになる46のセルフマネジメント』を、編著者の安川禎亮さんのお話とともにご紹介します。

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自分の心を客観的に見ることからスタートする本

子どもから大人へと成長し始める10代の心の中には、たくさんの悩みがあります。そのストレスの方向性を8つの項目に分け、なぜそんな気持ちになるのか、またどう対処したらいいのかのケアについて、わかりやすく書かれているのが『イラスト版13歳からのメンタルケア 心と体がらくになる46のセルフマネジメント』です。
イラスト版13歳からのメンタルケア 心と体がらくになる46のセルフマネジメント
安川 禎亮 (著), 柴田 題寛 (著), 木須 千明 (著)
合同出版
その8つの項目とは、下記の通りです。
●緊張のケア   ●不安のケア
●怒りのケア   ●悲しみのケア
●不集中のケア  ●自己否定のケア
●体のケア    ●特別のケア

ただ、自分では自分の気持ちがよくわからず、うまく分類できないかもしれません。そんな自分のストレスがどこにあるのかをチャート式でチェックできる「ストレスチェックをしよう!」のページがあります。
ストレスチェックをしよう!(P5)
ストレスチェックをしよう!
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このチャートで、自分に必要なケアを確認することができます。そして、次のページからはケア別に1項目ずつ、気持ちの詳細をセリフの入った1コママンガと文章で示してあるので、自分の気持ちに近いものを一目で探せる工夫がされています。
不安のケア8 周りからどう見られているか気になる(P22)
不安のケア8 周りからどう見られているか気になる
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悲しみのケア18 だれも自分のことをわかってくれない(P42)
悲しみのケア18 だれも自分のことをわかってくれない
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肯定的な言葉で書かれている心の分析

各項目では、イライラしたり、くよくよしたり、といった気持ちがなぜ起こるのかについて、分析・解説が書かれています。また、必ず悩んでいる人を励ます言葉があります。

たとえば、「不安のケア7 ささいなことも気になってしまう」の項目では、次のような分析があります。

ささいなことでも気にしてしまい、1日中そのことが頭から離れなくなってしまうことがあります。気にしたことを引きずってしまい、気持ちが落ち込むこともあるでしょう。
それは、あなたがいつも周りのことをよく見ている証拠です。みんなが気づかない小さな変化にも気づいたり、だれかをそっと支えてあげたり、あなたのその慎重で注意深い性格に救われている人も必ずいます。(P20)

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4772614001
どんな気持ちにも、プラス面とマイナス面があるもの。そのことに気づくことができます。

実は心と体は直結しているということを知る

こうして自分の気持ちを分析・解説した次のページに、それぞれの解決法が書かれています。ストレスを解消する方法をストレスコーピングといい、具体的な行動を伴います。

気持ちを変えるとき、物事の「考え方」にフォーカスしそうになりますが、実は体をコントロールする方法によって、解決していくことがたくさんあります。たとえば、「自然と触れ合う」「深呼吸」「散歩する」などの方法で、これらをアクティベーションと呼びます。

アクティべーションとは、体を動かして交感神経を高めることでやる気を引き出す方法です。自律神経(P12)を整えるためには、交感神経と副交感神経のバランスが必要です(P61)

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4772614001
アクティベーション(P61)
アクティベーション
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心と体はとても密接な相関関係にあることに、気づかされることでしょう。

とても繊細で生きづらさを抱える、今の10代の心について深く寄り添うということ

大人からは見えづらい10代の心のストレスを、体と連動させて解決に導いていく方法が書かれている本書。どのようにして書かれたのでしょうか。制作秘話を、編著者の安川禎亮さんに伺いました。安川禎亮さんは北海道教育大学教職大学院長。臨床心理士でもあります。
――10代の心理に焦点をあてた本書を制作するまでに、どのような経緯があったのでしょうか。

安川禎亮さん(以下、安川):私は、教員として長年にわたって不登校生の学校復帰に関わってきました。また、臨床心理士としてさまざまな子どもたちのカウンセリングに携わっています。

かつて、私が中学校の教員になった1980年代は、いわゆる「つっぱり」「不良」「非行生徒」と呼ばれる生徒たちと、毎日正面からぶつかり合う日々でした。精一杯関わることで、熱い思いを伝えることができた時代です。しかし、1990年代を過ぎると、不登校の生徒たちが増えていきました。当時は「登校拒否」という言葉が使われていましたね。これまでの教員の経験則では解決できない時代になったと感じ、学校現場に心理学を活かした実践も取り入れるようになりました。
すると、子どもたちは、学校に行きたくないのではなく「行けない」状態なのだということに気づかされました。真面目で頑張り屋の子どもたちほど自分自身を追い詰めがちです。周りの期待に応えたい、親に心配をかけたくないと過剰な適応を自分に課し、心のエネルギーがダウンしているのだとわかってきました。

また、登校していても、心の中につらさを抱えながら、誰にも言えずに明るくふるまっている子どもたちの存在も気になります。近年はさらにストレスフルな社会になって、心身の疲れが蓄積している子どもたちが増えているのです。

こうした子どもたちのSOSに、まず周りの大人が気づいてほしい、そして子どもたち自身にも、ストレスとは何かを知り、その対処法・セルフケアの方法を身につけてほしいと切実に願って、本書を制作することになったのです。
――10代というのは、人生の中でどういう時期でしょうか。

安川:10代は、環境の変化が激しいときです。受験、進学、就職、友人関係の変化など周りの環境が次々に変わっていくのが10代です。メンタルケアの方法を知ることで、その後の人生を自分らしく生きていけるのではないか、そのきっかけになればと思い、タイトルを「13歳からの~」としました。

本書では、主に「気持ち」に重点を置き展開しています。これまでにない複雑な気持ちを味わうのは、心身の成長の時期と重なり自然なことなのですが、その気持ちをどう受け止めて対処していけば良いか、分からないまま過ごしているのではないでしょうか。
――本書には、46の子ども自身のつぶやきが書かれています。とてもリアリティがあって、どれも「あるある」とうなずきそうな内容が並んでいますが、どのように情報収集されたのですか?

安川:46のつぶやきは、すべて子どもたちの実際の声です。私は、小学校・中学校・高校でカウンセリングやスーパーバイズを行っており、合わせると150校近くになります。そこで聴くことができた子どもたちの生の声の中から、特に現代の子どもたちの気持ちをあらわしているつぶやきを掲載しています。「そうそう私もそう思う」「つらいのは、ぼくだけじゃないんだ」「こんな気持ち、誰にもあるんだな」と気づいてほしかったのです。自分の気持ちやストレッサーに気づくことから、その先の一歩が始まります。

これまでに、高校生の自殺の事例にも何度か対応しました。「悩んでいるなら言ってくれたらよかったのに」と大人は言いますが、自分の気持ちをうまく言えないのが子どもです。つらいことや不安なこと、大きなプレッシャーを抱えて我慢していたり、自分を責めていたり、自己嫌悪に陥っていたり、それでも明るくふるまって普通に生活している子どもたちはたくさんいます。

13歳頃からは特に「親に心配をかけたくない」「周りの目が気になる」という思いが強くなり、本音はなかなか言えないものです。カウンセリングの時間や保健室での会話など、そっと寄り添い、話を聴いてもらえる場面で、やっと自分の気持ちをつぶやくことができるのです。
不安のケア12 周りの視線が気になる(P30)
不安のケア12 周りの視線が気になる
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理論と実践を、つらさを抱える子どもたち自身に伝えたい

――本書の冒頭にある「ストレスチェック」は、自分では意外と気づきにくい自分の心の状態を知るためにとても役立ちます。これはどのように考案されたのでしょうか。

安川:共著者の柴田題寛先生、木須千明先生からヒントをいただきました。気軽に取り組みやすいからか、チャート式は一番子どもたちが興味を示しやすいそうです。

まずは、自分のもやもやした重い気持ちが何なのか「ストレスチェック」によって知ることが大切です。ストレスがどこからきているのか、ストレスの正体を8つの項目に分類していますが、もやもやした気持ちを言語化するだけで、不思議と落ち着いてきます。それだけでもセルフケアにつながると考えています。

本書では、解決方法を「つぶやき」ごとに紹介していますが、この「気持ち」だからこうしなければ、と本の通りにケアしなければならないということではありません。さまざまなセルフケアを紹介していますので、自分に合った対処法を試してもらうのが一番だと考えています。
――10代の子どもたちに伝わりやすい内容にするために、どんな点で工夫されましたか?

安川:10代の子どもたちに興味を持ってもらうことと、セルフケアの例を分かりやすく伝えることです。10代の子どもたちの実際の声を載せたことや、チェックリストを入り口にしたことで興味を持ってもらえるのではないかと思っています。

セルフケアの基軸になっているストレスマネジメントの理論と実践を、つらさを抱えている子どもたちに伝えたいという想い、また、周りにいる大人に子どもたちのSOSを受け止めてほしいという思いを大切にしました。

セルフケアの例では、日常生活の中で誰にでもすぐに試せる方法を紹介しようと心がけました。呼吸法については数か所で述べていますが、深い呼吸をするだけでも心拍数が下がることは医学的にも証明されています。
まずはゆっくり深呼吸しよう(P65)
まずはゆっくり深呼吸しよう
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「たったこれだけ?」と思う読者もいると思いますが、それだけでも知っていれば、パニック状態になった時に必ず役に立ちます。やってみよう、試してみようと思ってもらえるように工夫したつもりです。
――この本を10代の子どもたちにどのように活用してほしいとお考えでしょうか。また、周りの大人(先生方、保護者の方)について、どのように役立ててほしいとお考えでしょうか。

安川:10代の子どもたちが、この本を通してまずは自分の気持ちに気づき、自分でケアしてみようと思ってくれたら嬉しいです。そして、「がんばり過ぎたから、少し休もう」「緊張してきたから、まずは深呼吸しよう」「人ごみに疲れたから、自然にふれてみよう」など、心の切り替え・コーピングが自分なりにできるようになったら、さらに嬉しいです。「ストレスは自分のケアで軽くできるんだ」と自信を持ち、生き生きと、時にゆるゆると頑張ってほしいと願っています。

先生方や保護者の方には、10代の子どもたちのSOSを受け止めてほしいと願っています。ここに載っているような「もう何もしたくない」「ささいなことが気になってしかたがない」など、何気ないつぶやきを大切に聴いてほしいと思います。

「今までがんばってきたじゃないか。やる気を出せば大丈夫だ」「小さいことは気にしないで。前向きに考えたら良い」こんな励ましの言葉がマイナスに働くこともあります。

「そうなんだ」「いつからそう思うようになったの?」「それはつらいね」等、短くても共感の言葉で受け止めてほしいと願っています。思春期の子どもたちは、身体的には大人に近づいても精神的にはまだまだ不安でいっぱいなのです。

また、大人たち自身が10代だった時代と比べるのもナンセンスです。新しい時代には新たなストレッサーがあり、誰もが、変わりゆく環境に精一杯適応しようと、戸惑いながら頑張っているのです。それを理解しながら子どもたちに接してもらいたいなと願っています。
――最後に発達ナビをご覧いただいている皆さまへメッセージをお願いします。

安川:子育てや教育現場も、悩みの連続です。楽しいこともたくさんありますが、ストレスフルな現代社会においては大人も心身のバランスを崩しがちです。自分のストレスを知り、ストレス対処法を学ぶことは大人にも必要です。

カウンセリングや講演を通して、多くの保護者の方々や先生方にストレスマネジメントの理論と実践を伝えてきましたが、「私はこんなにストレスをためていたのですね」と驚かれる方がほとんどです。日本人はとても真面目で、それが美徳でもありますが、「○○でなければならない」と自分自身を追い詰めがちです。心身をゆるめることは怠けるということではなく、『時にゆるゆるすることで、長く頑張る自分になれる』と捉えるのはどうでしょうか。

しんどいなあと思った時は、少し休み、自分をいたわるのが大切です。セルフケアによって「心」と「身体」のバランスが調えば、自然と前に進めるようになります。その感覚を子どもたちと共に身につけていってほしいなと願っています。

繊細な心に向き合う時に大切にしたい、具体的なアドバイスが溢れている

この本を読んでいると、10代だけでなく、大人が読んでも役に立つことがたくさん登場します。10代の頃から「大人」の世界で生きている、今の子どもたち。大人は、自分の10代の投影だけではサポートしきれないことがたくさんあります。

親子それぞれが読んで、支え合うことができる、そんな1冊になるでしょう。

取材・文/関川香織

13歳からのメンタルケア 心と体がらくになる46のセルフマネジメント

13歳からのメンタルケア 心と体がらくになる46のセルフマネジメント
安川 禎亮 (著), 柴田 題寛 (著), 木須 千明 (著)
合同出版
13歳からのメンタルケア 心と体がらくになる46のセルフマネジメント
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