保育園や幼稚園での「加配制度」とは?障害児保育や小学校以降のサポートについても解説

ライター:発達障害のキホン
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加配制度とは、保育園や幼稚園において、障害や発達の遅れがある子ども、集団生活での困りごとがある子どもに対して通常の職員数に加えて保育士や先生を配置し、生活面や集団参加をサポートする制度のことです。
このコラムでは、加配制度や障害児保育、小学校以降のサポートについて解説します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

発達が気になる子どもの就園。どのような支援が受けられる?

発達が気になる子どもが保育園や幼稚園に入園する際、友だちとの関わりや集団生活についていけるかなど、不安に思うこともあるかもしれません。また、園生活が始まってから、気になる様子が見られ始めるという場合もあります。


そのような困りごとがある子どもが安心して過ごせるように幼稚園や保育園では「加配制度」「障害児保育」を実施している場合があります。このコラムでは、そうした制度について解説します。

加配制度とは

加配制度とは、保育園や幼稚園において、障害や発達の遅れがある子ども、集団生活での困りごとがある子どもに対して通常の職員数に加えて保育士や先生を配置し、生活面や集団参加をサポートする制度のことです。
2017年の全国の保育所を対象にした調査によると、保護者からの申請によって加配をつけられる園が全体の約4割、申請がなくても保育所独自に加配を行っている園が全体の場合ケースが2割程度ありましたあります。

また、私立の園では自治体の補助金など等による加配を実施している割合が高くなります。補助金をどのように分配して使用するかは園によって異なるため、私立の園では公立の園と比べ、申請を出しても加配をつけられないケースが多いようです。

また、公立・私立問わず、申請を出しても加配をつけられるかどうか、どのような配慮を受けられるかどうかは園によって異なります。加配を申請する際はまず園に問い合わせて、今まで加配制度を利用した子どもがいたかどうか、その際はどのような配慮を行なっていたかなど確かめると良いでしょう。
保育所における障害児保育に関する研究報告書(みずほ情報総研)
https://www.mizuho-ir.co.jp/case/research/pdf/kosodate2017_03.pdf

障害児保育とは

障害児保育とは、障害のある子どもに対して、必要な支援を行いながら保育を行うことです。通所支援施設だけでなく、保育園や幼稚園でも特別な配慮が必要な子どもを受け入れていることがあります。基準は、自治体や園によってさまざまです。例えば、以下のような基準があります。

・障害者手帳の保持者
・特別児童扶養手当対象者
・医師等による診断を受けていること

など

例えば東京都練馬区では、(1)申込みに必要な書類一式、(2)『心身状況表』、(3)『主治医等見解書』、(4)身体障害者手帳、愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳等を所持している場合は、障害の程度が分かるページのコピー の提出が必要です。
入園に関すること(練馬区)
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kosodatekyoiku/kodomo/hoiku/hoikuen/nyuuen/index.html
ほかにも市区町村独自の基準を設けているところがあるので、詳細はお住まいの自治体に問い合わせて確認する必要があります。また、園ごとに受け入れ人数が決まっていることもあります。希望する場合は、申し込み期日などを確認しておきましょう。

加配の先生とは?

加配の先生とは具体的に、どのような支援をしてくれるのでしょうか。詳しく説明します。

どのような支援を受けられるの?

加配の先生は配慮の必要な子どもに対して、それぞれのケースにあわせた支援を行います。具体的には、以下のようなサポートがあります。

・身辺自立の支援
例えば食事でスプーンやフォークをうまく使えない場合や自分でトイレに行けない場合などに、サポートを行います。加配の先生と家庭で連携しながらトイレトレーニングを行い、オムツを卒業できたという声もあります。

・友だちとの関わりや集団参加をサポート
うまく友だちと遊ぶことができずトラブルになってしまうときや、集団参加が苦手な場合など、加配の先生が介入してサポートします。友だちと遊ぶときのルールや声かけの仕方などを隣について教えることで、少しずつ自分の力で関わったり集団参加できるようになっていけることがあります。

・保護者とのコミュニケーション
子どもの発達や家庭での関わりなど、保護者は子育てについてさまざまな不安を抱えていることも多いでしょう。そんなとき、担任の先生のほか、加配の先生に相談できることがあります。客観的なアドバイスを受けられることで保護者が状況を整理できたり、悩みに寄り添ってもらえる安心感があるでしょう。

また、多くの自治体では発達支援に理解の深い専門家が施設を巡回しており、加配の先生は専門家の助言にもとづいた支援を行っています。

配置職員の基準

加配の先生は、子どもの数に対してどの程度ついてくれるのでしょうか。

半数近くの自治体で、具体的な基準は決まっていません。「障害の程度を問わず一律の配置基準を設けている」という自治体もあれば「障害の程度により基準が異なる」という自治体もあります。

障害の程度を問わず一律の基準を設けているところだと、「3人もしくは2人に保育士1人」という基準を定めている自治体の割合が多く、約3割の市区町村では子どもとマンツーマンになるよう基準を定めています。

申請方法や費用は?

公立の園には多くの場合加配制度があり、私立の場合も自治体から補助金を受けて実施している場合があります。自治体によって補助額は異なるため、自治体ごとに確認する必要があります。

加配を支援する補助金には、「療育支援加算」と「障害児保育加算」があります。「療育支援加算」は障害児保育を行う園に適用され、「障害児保育加算」は小規模保育、事業所内保育、家庭的保育といった地域型保育を支援します。

なお、加配制度を利用するのに保護者の自己負担はありません。

加配制度の申請方法

加配制度の申請方法は、自治体によって異なります。ここでは一例として、神奈川県横浜市の申請方法を記載します。

【障害者手帳がある場合】
(1)保護者が「児童状況書」と手帳の写しを保育園または幼稚園に提出
(2)園側で「児童状況確認書」、「障害児保育教育対象児童等認定(変更)申請書」を作成
(3)障害児等認定、加配区分決定
(4)支援開始

【障害者手帳がなく、いずれかの障害を診断された場合】
(1)保護者が「児童状況書」 、判定機関の意見が 分かるもの 「児童意見書・診断書」 または 診断書 (任意様式)を保育園または幼稚園に提出
(2)園側で「児童状況確認書」、「障害児保育教育対象児童等認定(変更)申請書」を作成
(3)障害児等認定、加配区分決定
(4)支援開始

【障害者手帳がなく、障害の診断はないが支援と判断される場合】
(1)特別支援保育教育対象児童として申請。保護者が「児童状況書」を保育園または幼稚園に提出
(2)園側で「児童状況確認書」、「障害児保育教育対象児童等認定(変更)申請書」を作成
(3)障害児等認定、加配区分決定
(4)支援開始
参考:障害児保育教育対象児童等申請・認定確認書|横浜市
https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/kosodateshien/shinseido/yoko/yoshiki/R4_youchien.files/0107_20220319.pdf
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